第203話 宿に帰宅
なんとか暗くなる前にマノリ村の宿に戻れたティティたちを待っていたのは、不機嫌なルミエールだった。
ただ、ノアが居ないのにすぐに気が付いたのか、すぐに表情を改める。
「ノアがいないようですが、どうしたのですか?」
ビクッと身体が震えてしまった。
ルミエール、直球だ。安定の無駄を嫌うルミエール、ここにあり、である。
メンバーが1人いないのだから、救助がいるのか否かの確認もあるんだろうが、ずばりかよ。
ズキンと胸に痛みが走ったじゃねーか。
ふう。落ち着け。
痛みをなんとかやり過ごして、ティティは答えた。
「ノアは国守さまのところに、しばらくいることになりました」
それだけなんとか答えた。
ふう。言えた。声震えてなかったよな?
「そうですか。わかりました。まずは部屋で汚れを落として、食事をとって一息いれてください。話はその後、ゆっくり聞きます」
「わかりました。スヴァ行こう」
ルミエールでも、今すぐそれ以上は追及はしてこないだけの気遣いはあったようだ。
よかった。
くう。飯、喉通るかな。
<食事は無理やりでもとれ。飲み込め。じゃないと倒れるぞ>
との、スヴァのきつい助言もあり、宿の食堂での夕食はなんとか完食した。
<うそをつくな。一口食べたら、止まらない感じだったぞ>
くっ。スヴァめ! そこ突っ込むか?
<色々あって、お腹が空いてたんだ! 悪いか!>
<いや、よい。食べられれば、動ける。気力も沸いてくるからな。その分ノアにも早く会えるだろう>
<‥‥うん。ありがとう、スヴァ>
なんだよ、スヴァ。泣かせるつもりか。やめろよ。今俺、涙腺ゆるゆるなんだぞ。
そんなやり取りがあった後、私は頼りになるスヴァを横に、いよいよ話し合いである。
場所はルミエールとヒースの部屋でである。
ちなみにノアがいれば、ティティとブリアとノア、それにスヴァが相部屋だった。
ノアああ(涙)。
<ちゃんとしろ! 話す範囲をちゃんと決めたのか? 不要なことは話すなよ>
椅子に座ったティティの足首をスヴァがびしりと叩いた。
<わかってる>
うん。気を引き締めないと。
今、ティティは、ルミエール、ヒース、ブリアと丸いテーブルを囲んで腰を掛けている。
テーブルの上には、お茶が並んでいる。お菓子も欲しい。
けど、それを言える雰囲気ではないね。
ルミエール、ヒース、ブリアがティティに注目している。
「さあ、話してください」
そう、ルミエールが切り出した。
全部! 詳しく! 聞かせてもらうぞ!
というオーラがルミエールからにじみ出ているのが恐い。
ヒースやブリアもルミエールほどではないが、ティティが話し出すのを待っている。
うん。どこまで話そうか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
続きを少しでも読みたいっと、思っていただけましたら、ブクマ、評価をよろしくお願い致します。
励みになります~。




