第202話 泣きを耐える
短いです。
「ヒース、ブリア」
ティティは程なくして、ヒースとブリアと合流した。
彼らが待機していたのは、祠のある場所だ。
打ち合わせ通りである。
ティティの前後を歩いていた筈が、2人はいつの間にかここに戻っていたらしい。
「ああっ! 小さなレディについていけなかったのは、精進が足りなかったのか!」
ヒースは頭を抱えて苦悩。
「ヒースは足りないでしょうけど、私は日々の訓練は真面目にしていたのに」
と、ブリアも一緒に行けなかったことを悔しがっていたようである。
お供できなかったのはしょうがない。時間があるので、2人は聖力循環の訓練をしていたのだ言う。
そうだねっ。訓練するには最適の場所だ。聖素も豊富だよね。なんせ国守さまのお膝元だ。
「それで小さなレディ、御使い様にはお会いできたのかい?」
ヒースが尋ねて来た。
「はい。お会いして、ちゃんとお礼を言えました」
うん。それ以上に濃厚な話し合いもありましたがな。
「そう。よかったわ。それで、これからどうする?」
ブリアが静かな口調で尋ねて来た。
2人ともノアがいないことに気づいているのだろうに、ティティを気遣って直接聞いて来ない。
ティティが弟がいないのに、まったく慌てていないから、ノアに危険がないのを察しているからもあるだろう。
気遣いのできる2人である。
助かります。大丈夫だと祠まで来たものの、2人の顔見たら、やっぱ泣きが入りそうになったからね。
ティティは空を見上げる。
太陽が大分西に傾いて来ている。
「ぐずぐずしていると日が暮れてしまうので、急いで森を出ましょう」
「わかった。このメンバーで引き返していいんだな?」
ヒースが確認するように尋ねる。
「はい」
今はそう返事するのが精一杯だよ。
「わかったわ。急ぎましょう」
そうして3人と1匹はマノリ村の宿を目指して歩き出した。
ダメだなあ、私。
まだ冷静に話せそうもない。
それに、ここで話し、ルミエールにも同じ話を繰り返すは辛すぎる。
説明は一回で終わらせたい。
ヒースも、ブリアも深く聞いて来なくて助かった。
鼻水たらして泣いてしまうところであった。
宿に着くまでにちゃんと心の整理をしないと。
さっきはもう大丈夫と思ったのに、だめだなあ。
外見は女の子だけど、中は男子なのに。
情けないなあ。
今日はもう一話投稿します。




