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第199話 ノアの行く末

「どうしたらいいんですか! どうしたら、ノアは長生きして、面白可笑しくすごせますか?!」

 ティティは縋るように国守さまに尋ねる。

「ふっ。面白可笑しくすごせるかはわからぬが、長生きするのに手を貸すことはできる」

「本当ですか!?」

 やったあ!

「ああ、それもあってこの場に通したのじゃ」

「ありがとうございます!」

 やっぱ、国守さまだよな。頼りになる!

 俺、一生ついて行きますよっ。

「ふふ。其方が悲しむ姿など見たくはないからの」

「随分と気に入っているようだな」

 黙って事の成り行きを聞いていたスヴァが呟く。

 その瞳には疑いの色が浮かんでいる。

「おいおい、スヴァ! やめてくれ! そんな目を国守さまに向けるなよ! せっかく国守さまが好意で言ってくれてるのに!」

「それが100パーセント好意ならば問題ないがな」

「なんだよ、スヴァは疑り深いな。ノアが長生きできるならそれでいいんだよ」

 それが最優先なんだから!

「くくく。ティティになってもその性格は変わらぬか。ほんに愛い奴だ」

「だって、国守さまは私を悪いようにしたことなんてないですから。それに私、俺は、国守さまが大好きですから」

「あははは。大好きか。まったく其方はおもしろい」

「好き嫌いが基準とは。子供か」

 スヴァが苦虫をk噛み潰したような顔で呟く。

「子供だよ。100パーセントな」

「そういう意味ではない」

「ふふふ。まったく其方たちを見ていると飽きぬな」

「それっていいこと?」

 まあ、国守さまを楽しませてるのはいいことだろう。

「ふふ。あまり長くここにいると供のものが心配するからな。話を進めるぞ」

「あ、はい。すいません」

 ルミエールさまたちは供じゃないけどな。私たちの方が供だろう。

 でも追求しないよ。今はノアが長生きできるようにする方法をちゃんと聞かなきゃだからな。

「お主たちはこれから、この国の英雄になった者に会いに行く途中であろう」

「そうです」

 国守さまはなんでもお見通しだな。

「英雄なる者は西の地にいるな。そこに行って帰って来るまで、そこな弟をここで預かろう」

「え!?」

「やだ! ねえねとはなえるのやあああ!」

 それまで黙って話をきいていたノアが叫ぶ。

 そしてぎゅっとティティにしがみついた。

「ノア」

 ティティとしてもノアと離れるのは抵抗がある。

「私が一緒にいてはだめですか? ノアが大丈夫になったら、一緒に西に向かうのではだめなんでしょうか?」

「ならぬ」

「なぜですか?」

「お主が傍にいると、妨げになるからだ。お主が傍にいると、弟は甘えが出てしまうだろう」

 ティティは唇を噛んだ。

 確かにそうだろう。国守さまがノアに何をするにせよ、姉の自分がいないほうがいいのかもしれない。

「其方が西へ行って帰ってくる間の時間があれば、其方の弟が健やかに成長できるようにしておいてやる。だから、其方が用事をすませる間、ここに置いていけ」

 そういうことなら、寂しいけれど、国守さまに預けるしかないだろう。

 だって、少し、ほんの少し離れるだけで、ノアの命が助かるのだから。

 ノアを説得するしかない。

明日でいよいよ200話です!

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