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第194話 辿り着いたねっ

 脱落者1人を出しつつも、前へと進む。

 不思議と一匹の動物にも、魔物にも出会わない。

 うん。試しの儀式中なのかねえ。

「あ、祠だ」

 そうして進んだ先、少し開けたところにそれはあった。

「ほ、ほこらあああ!!」

 なんかすごいヒースが感動している。

「祠ね」

 ブリアもほっとしたように肩の力を抜いたようだ。

「よかったねえ。ここまでたどり着けたのすごいよ!」

 マジで。国守さまの第一審査、通過したんだからっ。

「ふっ! 私はいつも正義の名のもとに、正しき行いをしているからなっ」

 ヒースがむんと胸を張る。

 うん。ヒース腹黒さまったくないからね。それがよかったのかもね。

 ブリアも真面目で善良だもんね。

 祠はだいぶ人が来ていないのか、かなり汚れていた。

「よし! 遅くならないうちに、ちゃっちゃとお掃除しちゃおう!」

 ティティは収納袋から、掃除装具を取り出す。

「おお、マイ道具を購入してよかった!」

 ヒースに預かっていたブラシを渡すと、嬉々として掃除を始める。

「ノアも! ノアも、きれいにする!」

「はいはい」

 ノアにははたきを渡して、祠の中を払ってもらう。

 中のものも出して、綺麗に拭かないとね。

 収納袋には桶に何杯も水を汲んで入れておいたから、それを使う。

 魔法で水も出せるみたいだけど、本当に必要な以外は使わないほうがいいからねっ。

 ブリアも祠の周りの草むしりを始めた。

 そうして4人で掃除をすることしばし。

 小さな祠はぴかぴかになった。

 うん。気持ちいいね!

「お供えもしてと」

 収納袋からネクタールを一つ取り出してお供えする。

 これから会いに行くけど、ここにもね。

「さて、掃除も済んだし、先に進もう! 国守さまのところに着いたら、お昼にしようね」

「あい!」

「おう!」

「ええ!」

 うんうん。3人よいお返事。

 ティティは視線を足元にいるスヴァに向ける。

<了解した。だが、すこし腹に何か入れていたほうがよくないか。倒れるぞ>

 そうだな。私ちょくちょく食べないと倒れるからな。

「と、そう思ったけど、串焼きを一本ずつ食べていきましょう!」

「あい!」

「小さいレディ~。気が抜けたじゃないか」

 ヒースがぼやく。

「じゃ、ヒースは食べない?」

「食べるとも!」

 そうだよね。補充は大切っと。

 祠にも串焼きお供えしようっと。


 そして串焼きを食べた後。

 4人と1匹で出発。前へと進む。

 歩く事しばし。

 私の感覚ではもうつきそうな気がする。

 と、思った刹那。

 ふっと。前を行くヒースが消えた。

「ヒース!?」

 咄嗟に振り返って、ブリアがいるか確認する。

「ブリア!」

 ブリアも消えていた。

「やっぱ、弾かれちゃったかあ」

 2人でも最奥までは入れてもらえなかったようである。

「ねえね」

 ノアが不安そうに見上げてくる。

「大丈夫。2人と一緒に消えなかったからね」

「あい」

 それでも不安なのか、ノアがぎゅっと手を握って来た。

 それに答えるようにティティも握り返しながら、呟いた。

「残念~、ヒース、ブリア。でも祠までたどり着けただけでもすごいんだよ」

<そうじゃな。あの2人は清き心の持ち主じゃったからな。そこまで許したのよ>

 突然頭に響いたのは、懐かしい国守さまの声だ。

 その声にはっと前を向くと、そこは先程の森の景色とは全く違っていた。

 大きく開けた場所に天をつくほどの大樹。

 その大樹は他では見た事のない木。

 垂れ下がった枝にはいくつもの大きな色とりどりの不思議な実がなっている。

 その大樹の元に、大きな白い牛の姿をした国守さまがいた。

「よう来た。さあ、近くへお寄り」

ヒース、ブリア脱落。残念でした。

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