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第192話 ちょっ! まって!

「わかりました。私もお手伝いしましょう」

 えっ。マジ? 東の領主さまの息子が掃除?

 いやいや。いいよ。掃除させたとバレたら、領主さまの家来の人たちとかに怒られそうだからさ。

 うちのボンに何させとんのじゃって。

「まっ」

 てとティティが、とめる間もなく、ルミエールは、自分用の掃除道具を買いに行ってしまった。

 呆然としてるところに更に。

「私もルミエールさまに負けずに買ってこよう! ブリア! 小さなレディたちの護衛を頼むぞ!」

 おいおい! ヒース! 君もお貴族さまでしょ? それにかなりお世話になってるのに、掃除なんてさせられないよ。それに勝負してないから!

 制止しようと手を挙げる前に、ヒースも部屋から出て行ってしまった。

「ちっさい祠だから、私だけで十分なんだよ」

 それに2人とも掃除の仕方知ってるのかな?

 はあと大きくため息を一つ。

「せっかく買った道具が無駄にならないといいな」

 どうせあの2人のことだから、値段の高いものを買ってきそうな気がする。

 それで使わなかったら、もったいないよね。

「どういうこと?」

 ブリアがティティの呟きを聞いて、尋ねる。

「うん。アーリデアルトの森ってさ、別名迷いの森、不可侵の森って言われてるでしょ?」

「ええ、聞いた事があるわ。実際はどうかわからないけど」

「ルミエールさまやヒースさんも知ってるよね?」

「そうね」

 やっぱりそうか。

 ティティはノアをよっと持ち上げてベッドに乗せる。

 続いてスヴァも。

<スヴァ、ノアの相手頼む。話長くなりそうだからね>

<了解した>

 スヴァがノアに前足をちょいちょと動かすと、ノアが目を輝かせてスヴァにじゃれつく。

 意外とスヴァは面倒みがよいのである。ありがとう。

 ちょっとの間よろしく頼むね。

 さて、ルミエールに詳しく話すと面倒そうだから、アーリデアルトの森について少しブリアに話しておこうか。何かあった時に、ブリアが知ってたら何とかなるっしょ。

「その話、本当の話なんだよ」

 そう説明を始めながら、ティティは自分もベッドに腰かける。

 ブリアも椅子を引き寄せて座る。

「アーリデアルトの森はマジで入る者を識別してるんだよね。村人が日々の糧を得ようと森の浅いところに入るならともかく、深く入ろうとすると、ほとんどの人は、いつの間にか森の外に追いだされちゃうんだ。悪意ある者が逃げ込んだ場合、2度と出て来れないってのもあるあるなんだよ」

 ジオル時代に村の人から聞いたし、国守さまに確認したら、否定しなかったから、本当だろう。

 その時の国守さまの笑顔が恐かった。

 アーリデアルトの森は深く分け入る事ができれば、鉱石などの資源や動植物が豊富な地なのだが、近くにマノリ村しかないのはその為である。

 森に入れないなら、お宝があっても指を咥えてみてるしかないからね。

「ティティはよく知っているのね。それは実体験からかしら? それとも御使いさまから直接聞いたの?」

「あー、うん。両方かなっ?」

 なにが基準かわからないが、ジオル時代(ぜんせ)で、森に入れなかったことがない。

 だから今回も大丈夫だろう。

「そう。ティティは国守さまに信頼されているのね。羨ましいわ」

「そうかな? えへへ」

 実際はほとんどジオル時代に得た知識だ。

 ティティになってから会うのは今回が初対面だからね。

「国守さまとお会いする時、時間の進みが違うから、もしお会いできれば、ブリアも国守さまと沢山話ができるんじゃないかな?」

「それは森全体の時間の流れが違うのかしら?」

「うーん。わかんない。国守さまがいる場所なのかなあ。考えたことなかった」

「調べてみたいわね」

「やめといたほうがいいかも。それで弾かれちゃったらいやでしょ? 疑問はまず国守さまに聞いた方がいいよ」

「そうね。そうする。だめね。つい不思議な現象は確認したくなっちゃうのよ」

 ブリアが困った顔をする。

「ううん。それは普段なら大事なことだもんね」

 うん。勉強熱心なのはよいことである。

「ティティと話していると、とても勉強になるわ」

 ブリアがすごい優しい目でティティを見る。

「あははは」

 その信頼の眼差しが辛い。全部話せないのが辛いぞ。

「私やヒース、それにルミエールさまは、私たちは国守さまにお会いできるかしら?」

「うーん。それはわからない」

 ティティは大丈夫だ。国守さまが会いに来いって言ってくれてるからね。拒絶されない。

 きっとノアも大丈夫。スヴァは微妙だ。

 顔見知りだから入れてくれると思うけど。

 ルミエール、ヒース、ブリアは本当、国守さまの胸三寸だ。

 できれば、祠のあるところまで3人行けるといいね。

 せっかく掃除道具買ったんだもん。

 使えるといいよね。

まだ出発せず。ブリアとまったり。

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