第188話 やっぱり肉が一番
中央広場にはたくさんの出店が出ていた。
「ねえね、ノア、おなかすいた!」
「そっか! なに食べたい?」
「ん~。おなかがぽんぽんになるもの!」
「ノア」
くう。思わずぽろりと涙がこぼれそうになる。
うん。極貧だったのが、ここででちゃうね。
わかるよ。
「そうだね。おなかぽんぽんになるもので、おいしいものを食べようね!」
「ん!」
このマノリ村では通常豆、乳製品、卵、そしてもちろん果物が主に食べられている。肉は滅多に食べない。ただし、年4回ある奉納祭では、肉を使った料理がこれでもかというくらい屋台で作られ、村人や観光客は大いに盛り上がる。
肉に対しての助成金も村長から出る。
祭りで英気を養うという意味合いもあるらしい。
最終日だけでも祭りに間に合ったのは僥倖といえるだろう。
私たちの旅もここで半分。このマノリ村で、ノアの体調を整える為、2、3日は滞在する予定になっている。
そう遠慮はいらないのである。ティティはノアやスヴァとともに、屋台を大いに楽しむつもりである。
「さて、最初はどうしようか?」
先に触れた通り、村人たちは大いに肉を楽しみにしている。ティティだって肉は大好きだ。
けれど、肉はぶっちゃけどこでも食べられる。
もっといえば、ここは国守さまのお膝元だからか、羊、牛は食べられない。
羊は言わずと知れた、ゴールデンシープ、シルバーシープ、国守さまの忠実なる眷属である為、牛は国守さまが好んでとるお姿だからである。
ゆえにこの村では豚、猪、熊、兎、後は魔物系の肉を中心に食べられる。
ちなみに、ティティは国守さまの愛し子と言われているが、好き嫌いなく食べる。
とは言っても、羊は毛を取るために飼育されることが多いから、滅多には食べないが。牛系肉は大好きである。国守さまもそこら辺はあまり気にしてないようである。
話しを戻そう。
ここの村人たちは肉は滅多に食べられないご馳走であるが、ティティはお金があればいつでも食べられる。
そこでまず選ぶのはー。
「ねえね!ノア、おにくたべたい!」
<肉を所望する>
「うん。まずは串焼きを買おうか」
「ん!」
<うむ>
1人と一匹の望みは叶えねばなるまい。
「ほら。熱いからね、気を付けて食べてね」
「ん!」
ノアは目を輝かせて豚の串焼きを受け取ると、はむりと食べた。
「おいちっ!」
はい、ノアのおいちっいただきました。
可愛いなあ。
<ほら、スヴァも>
スヴァのマイ皿にも、串を外して豚肉を置いてやる。
<うむ>
こちらもはむり。
はい。スヴァのしっぽぶんぶんいただきました。
愛い奴。
2人の幸せそうな顔を見つつ、私も串焼きをはむり。
「おいひい」
うむ。理屈抜きでやはり肉は正義であった。
それから王道の焼き鳥も買って、ノアとスヴァとで食べた。
大人の3人もつかず離れずの距離で、肉や酒を楽しんでいるようだ。
うんうん。今日はゆっくりしてね。
肉って食べると元気出ますよね。マジで。