第181話 譲れないもの(笑)
翌朝。
ノアは熱もすっかり引いて、元気になった。朝ごはんもしっかり食べられた。
移動に耐えらえるかなと心配が顔に出たのかもしれない。
ルミエールがもう一日ヨハネ村に滞在すると宣言した。
うわあ。意外と子供に優しいんだとルミエールを見つめたら、嫌な顔をして宿の宿泊延長の手続きをする為に受付に行ってしまった。ツンデレか。
「小さなレディ、よかったな」
ヒースがポンと肩を叩いた。
「はい」
うん。後でお礼を言っておこう。
また嫌な顔されるかな。にひひ。
休養の為の滞在なので、お店をひやかしには行かず、私もノアとお部屋で静かにしていた。
これで私だけ遊びに行ったら、顰蹙ものである。ちゃんと空気読めるよ。私。
うーん。だけど、部屋でお話だけしているのも退屈。
今度気軽にお遊べるグッズを作っておきたいな。
ノアの為にね。決して自分の為じゃないよっ。
一日じっくり休んだ為、ノアの顔色も回復。
念のため、熱さましの薬や栄養剤を買っての出発になった。
その日を境にぴっちりきっちりなルミエールが、ノアを気遣ってか、今までよりも休憩を挟んでくれるようになった。
問題があれば、即対応。
対策ばっちり。そこはきっちりなルミエールである。
気遣い感謝だ。
きっとお礼を言うと、日程がずれると困るからだなんだと言うに違いない。
素直じゃないのが、可愛くないけど。
あ、可愛いとか綺麗とかは彼には禁句か。
気を付けよう。
初対面で地雷を踏みぬいたから、気を付けないと。
いじわるな面もあるが、いい奴なのかもしれない。
しかし油断はせんぞ。
領主の息子だからなっ。
すまんな、ルミエールよ。
隙は見せんぞ。私はできる幼女なのだ。
<いや、普通だろう>
馬の背に揺られながらも冷静なスヴァ。そこで突っ込みはいらないから。
ともあれ、ルミエールまでノアを気遣っているのだ。
実の姉である自分も我慢してノアに接しなければなるまい。
観光ができるのは3か所。
苦渋の選択であったが、2つ目の村では食事だけにして、アミューズメントは我慢しようと思う。今寄らなければ、一生寄れないということではないからな。
でも美味しいご飯は譲れない。
すまん、ノア。
楽しみだけが目的じゃないぞっ。
そうしてこの旅を通して、ノアがどのくらい耐えられるか見定める目安の一つにもなるしっ。
<誰に言い訳している。いいではないか。美味しいものは正義なのだろう?>
あ、そこも突っ込みいらないから。
そんなこんなで、ルミエールのお馬さんに揺られているうちに、今日の宿場に着いた。
この村では、身体を休めるだけで、外に食べに行くのは我慢して、早寝した。
ノアも病み上がりだし、仕方がないだろう。
くう!
私は我慢できる子だ!
内容のうすーい回でした(笑)