第179話 宝はどこだあ~♪
そうしてやってきました村はずれのハサラ砂地。
草原の中、結構な広さのまあるい砂地。その砂はさらさらで少し白みがかっている。
村からの一本道。砂地のすぐそばに形ばかりの入り口があり、そこで入場料を支払った。
子供大銅貨5枚、大人8枚。少し高いなとは思うが、これで半日楽しめるならばよしである。
男性陣とスヴァは見学、ブリアとティティとノアがざるを持って挑戦である。
ちなみにこの砂場、砂蛇を朝に放して、砂場をまんべんなく耕してあるらしく、運がよければ、樹脂石が見つかるよと受付のおっさんが言っていた。
そっか。全然見つからないと、観光客来なくなるもんな。
ちゃんと、整備してるんだな。
「よし! ノア! がんばろう!」
「ろー!」
そして挑戦する事しばし。
「みちゅけたっ!」
最初にノアがあたりを引いた。
それは緑色の大人の小指の第一関節くらいの大きさ。透明度の高い石を引き当てた。
「よっしゃ!」
更にそれから半時ほどして、今度はティティが引き当てた。
これまた透明度の高い青い石で、子供の親指大の大きさのもの。
「すごいよ! 幸運の神様が降臨してくれたね!」
ちなみにそんな神様がいるかは不明である。
「ノア、ブリアさんの分をがんばろう!」
「ん!」
そう後はブリアだけ。
3人は一生懸命、ざるで砂を探った。
しかし3つ目の宝は見つからない。
ノアも疲れてきているようだ。
腕の動きが鈍い。
砂って結構重たいからね。
ふぬ! 私が頑張るよ! と掬うざるの動きを早めた。
しかし努力むなしく時は過ぎゆくばかり。
「もういいわ。ティティたちの分は見つかったから、引きあげましょう」
ブリアはがっかりした様子を見せずに笑った。
「ブリアさん、ごめんなさい」
私が見つけた分はノアにあげるから、あげられない。
かといって、ノアが見つけた分をあげるのも。折角ティティの為に見つけてくれた石だ。
くっ。弟を優先する私を許してくれ、ブリアさん。
「いいのよ。さっき行った販売所で買うから」
「わかりました! 私が必ずやブリアさんに似合う石を選びますから!」
そこは任せて欲しい!
「ノアも! ノアもてつだう!」
「ふふ。頼りにしてるわ」
そうして砂地遊びは終了になった。
その後ティティたちはハサラ石の販売所に行って、見つけた石に革ひもを使ったネックレスを作ってもらった。
ブリアに似合う石も、ヒースを巻き込んで、ノアとしっかりと選んでイヤリングにした。
なぜか代金はヒース持ちになっていた。
「疲れたけど、楽しかったね~」
「たのちかった!」
このハサラ砂地観光は1日がかりになるだろうとルミエールが余裕を持って予定していたが、早めに終わってしまった。とはいえ、これから出発しても次の村へと辿り着けないだろうと、ヨハネ村にある数少ない店を見てまわることにした。
やったね!
そう思ったのもつかの間、ハサラ石の専門店から出たあたりからノアの元気がなくなった。
疲れが出たのだろうとそのまま宿に帰る事にした。
ノアの方が大事だからね。
けれど、それでも、夕方からノアは熱を出して寝込んでしまったのである。
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