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第174話 ぬぬぬ! ぶう!

 そう思っていた時期も、ありました。正確を記すなら2日前までだ。

 ルミエールリーダー、思った以上に全く遊びがなかった。

 効率の重視の旅を実行したのである。

 収納袋を利用した身軽さをいいことに、馬の機動力を最大限に生かし、寄り道は一切なしなのだ。

 これにはティティは大いに不満であった。

 そりゃ、視察メインのお人たちはそれでいいかもしんないけど、私たちは違うんだから!

 旅の醍醐味は目的地を目指しながらも、寄り道して、楽しみながら進む。これだろう。

 なのに、全く遊びの部分がないとはどういう事だ。

 色々な村に立ち寄りながら、その地ならではの名物料理を楽しむ。

 それが必要なのだ!

 それで遅れて途中で野宿になっても構わない。

 のにだ。この効率重視の若様は、馬でひたすら駆けて、必ず村や町の宿に宿泊。それも些末な宿ではなくお貴族様が利用する宿で宿泊するのである。

 百歩譲ってそこまではいいい。だって、宿泊代は出してくれるからだ。

 それでも! 宿を決めた後、村や町を散策させてくれないのはどういうことだ。

 大いに文句を言いたい! 

 宿に泊まるだけなんて納得いかーん!

 そう思って、旅を初めて1日目の夜、宿屋にて、決死の覚悟で文句を言った。

 だってジオルはともかく、ティティは村から出たことがなかったんんだぞ。

 もっと、色々見て回らせろ!

 それも社会勉強なんだぞ!

 そう意気込んで、思い切ってルミエールに直談判した。

 が、冷たい目で。

「貴女は弟を無駄に危険にさらす気ですか?」

 と、ぐさりとやられた。

 ぐっ! そんな気はない。ないけどもや!

 せめて買い食いだけでもさせて欲しいと言ったら、

「その油断が、弟を危険にさらすんですよ」

 ぐうの音もでない。

 ちくしょー。

 確かにノアは無駄に美幼児だからな。攫われる可能性は高いかもしれない。

 くそっ。これは西の辺境伯の地での観光を楽しみにするしかないか。

<お主の口(頭)ではかなわぬな。あきらめろ>

 ぬう。スヴァにも見放された。

 まあ、その強行軍のお陰で、ティティの出身の村の近くも、ノアが気づくことなく通り過ぎられたのはよかったかもしれない。

 ノアは母親や兄たちより、ティティの傍にいたいと言ってくれたが、もしも村やましてや家族を見かけでもしたら、気持ちがゆらぐかもしれない。

 帰すつもりはないのだ。それは可哀そうだろう。

 それだけがこの強行軍の唯一のよかったところか。

 だが、ぐぬぬぬ。ぬう!!

旅って寄り道したいですよね。

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