第172話 秘密は女の子のたしなみよ
問題その2。
このスヴァとの心話でのやり取り、これにも関わってくる。
即ち、スヴァのことをどこまで話すかだ。
テイマーとは魔物を従える事ができる能力である。その能力についてはそれぞれ個人差がかなりあるらしい。
例えば、命令して魔物を従わせるだけ。あるいはテイムした従魔が、何を伝えたいか読み取れ、ある程度意思の疎通ができる。
けれど、100パーセント意思の疎通ができるなんてのはない。
もしかして、高位のテイマーならばありなのかもしれないが、ジオル時代でも聞いた事がない。
ましてや、スヴァのようなチビな魔物が人語をしゃべり、普通に会話ができるなんて普通ではない。
魔族や知能のすごい高い魔物ならば、会話はありだが、こんなちんまいスヴァではまずありえない。
ノアだけなら、絶対秘密だと言って、スヴァが話せることをばらしてもいいのであるが。他の3人となると考えてしまう。
ちんまい魔物を装った魔族と怪しまれたらたまらない。
魔族は即討伐対象なのだから。
それにそれが間違っていないのである。
今はちんまい魔物だが、元は魔族のボスの元魔王なのだから。
ティティは首を振る。
言えん。ぜったい言えないよ。
ヒースやブリアが信用できない訳ではないが。すでに聖力循環を秘密にしてもらっている。これ以上主君に秘密を持たせるのはいかがなものかと思ってしまう。
ルミエールに至っては、東の辺境領の領主の息子である。
この旅で知り得たことは100パーセント領主に報告されるだろう。
<我のことは話すな>
<でも、お前すっげえ不便じゃねえか?>
<そうでもないぞ。心話は使えるのだからな。それに先程も言った通り、一時の不便だ。苦ではない>
<そっか。スヴァがいいなら。黙っとくか>
ならば2つの問題は解決か。
なんか、俺この年にして人に言えないことが多くね?
ああ、もっと単純に行きたいもんだ。
7歳にして複雑な人生なんて歩みたくないぜっ。
出だしは説明って感じですね。
すいません。