第171話 しょっぱなから苦悩
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今更ながらだが、問いたい。
なぜだ。なぜにこうなった。
ポコポコと馬の背に揺られながら、ティティは旅に出るまでのやり取りを振り返る。
植物スライムの案件が片付いたら、西へ旅に出る。
ノアと私、そしてスヴァの2人と1匹で。
そう思っていたのに、あれよあれよという間に、同行者が3人追加された。
子供と一匹だけの旅よりも遥かに安全になったかもしれないが、それ以上に問題がありありである。
まず1つ目。
これから西の辺境へと旅をするのに、ティティが持っていた荷物が圧倒的に少なかった。
なんせリュックが1つである。
これは旅をなめてんのかっというレベルだろう。1人旅なら、誤魔化しようもあるが、弟のノアもいるのだ。準備不足と罵られてもいいくらいだろう。
内情としては、ティティは亜空間が使える為、そこに荷物は放り込んでおけば、実際は手ぶらでもよいくらいなのである。
それはそれで色々憶測を呼んでしまうから、リュックは背負っているのだ。
スヴァは相棒なので、ティティのすべての事情に精通している。
お供がノアだけならよかった。まだ4歳だ、いくらでも誤魔化しようがある。
だが魔法士には誤魔化しようがないだろう。
亜空間が使えるのは、魔族のみ。これは絶対秘密だ。狩られてしまう。ならば亜空間ではなく、アイテムボックス持ちであるとバレれば、自動的に魔法が使える事がバレてしまう。この世界で魔法が使えることは希少だ。加えヒースとブリアには聖女が使う聖力も使えると知られている。これは東の辺境伯に囲われてしまう可能性大だ。
けれど、一緒に旅をするならば、これは避けては通れない問題である。
ならば、亜空間、もといアイテムボックスを使わずに、旅をするか。
それには首を横に振るしかない。
亜空間を使うことに慣れてしまったティティは、その快適さを短期間でも手放すことはできない。
だって、亜空間から好きな時に好きなだけ食べ物を取り出して食べたい。
ひもじい思いはいやだ。ご飯我慢するのはマジ辛い。それはいやだ。非常食じゃなくて、美味しいものを食べたい。
ノアにもひもじい思いをさせたくない。
どうする。苦渋の決断をするか。
<シルバーシープから渡された、収納袋を使えばよかろう>
そこにティティの前に座るスヴァからポンと最適解が投げられた。
<西の辺境領までであろう? ずっとこの先一緒に旅する訳でもあるまい。ならば、その間だけ、収納袋を借りても国守も文句は言うまい。それに魔法士の坊主と小娘にはもう知られている。それにもう一人加わったところで何の問題もあるまい>
なるほど、そっか。
不本意ながらも、国守さまの愛し子であると認識されてしまっている為、今更である。
収納袋。これは見た目の袋の容量以上にものを入れられる魔道具である。入れられる容量に寄って値段が段ちに違う。ただし、小さな容量でも、馬鹿高いお値段であるということはここに記しておこう。
<そっか。そうだよな。ちょっと借りてもいいよな!>
今でも借りているのだ。返すまでちょこっと利用しても怒らないだろう。
牧場の家畜が一冬越せるくらいの牧草を入れられほどの容量である。
この旅でティティが使う分には十分な容量であり、言い訳に最適である。
イリオーネさんの忠告もやぶらなくてすむぜ。
<スヴァ! お前すっげえな!>
<我はなぜお主が、気が付かないのか、そちらの方が不思議だ>
<うっせいわ!>
くそ~。可愛いからってずばずば言っても許されると思うなよ。
まあ、許すけどな。