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第164話 見かけで判断

「お、俺? 貴方、男の子?」

 しまった。地が出た。

「そんなのどっちだっていいじゃないか! ノアに謝ってくれよ!」

「ここにある果物は君が買えるほど安くはないのよ。もしあなたの弟が果物を傷つけていたら、警邏に突き出さなくてはならなかったわ。私に感謝して欲しいくらいだわね」

 くそ! この店員むかつく! もう俺らを完全に客と見てねえだろ!

「払ってやるよ! いくらだよ!」

「1つ大銀貨1枚です」

「マジか!?」

 これにはティティもびっくり仰天である。

 大銀貨1枚って、果物1個でまじかよ。うそだろ。

 下町広場の露店では銀貨2枚だったぞ。その5倍かよ!いくらなんでもぼったくりじゃね!?

 しかし、ここで引き下がれない。

 くっ、この出費は痛いが仕方ない。

 弟は俺が守るぜ!

 ティティは鞄から、財布の巾着を出すと、その中から、大金貨を1枚取り出し、店員に突きつけた。

「これで! ネクタールを触ってもいいな!」

「えっ! まさか!」

「なんだよ! 私が払えるのおかしいってか?!」

「いえ! 失礼しました!」

 店員は目を見開いて大銀貨を見つめた。まさか、こんな小さな冒険者ごときが払えるとは思わなかった為、正規の値段の2倍の金額を告げたのだ。

 そこに騒ぎを聞きつけたのか、奥から白髪のいかにもオーナーだろうという初老の男が出てきた。

「なんですか。騒がしいですね」

「いえ、あの」

 店員が途端、しどろもどろと狼狽える。

 おお。上司か!これは言いつけてやるぞ! それで同じような対応されたら、もうこの店では買わんぞ!

「私の弟が、ネクタールに触ろうとしたら、この店員が弟の手を払ったんだ。ネクタールはやわいからさ、急に触ろうとしたノアが悪いけど、何も払い落とすことはないだろうって言ったんだよ。そしたら、触ったら、商品にならなくなるし、それを弁償できないだろうっていうから、今、それを払ってやったんだよ、大銀貨1枚きっちりな!」

 ふんと鼻息荒く、言い放った。

「大銀貨1枚ですか?」

「そうだよ! ないと思ったんだろうけど、ちゃんと金は持ってるんだ。すっごいえらい恩人に食べてもらいたくて、できるだけ沢山果物が欲しいだよ。下町には売ってないものがこの店にあるってヒースに聞いてたから、来たんだ」

「ヒース? もしかして、ヒース=カレドニア様ですか?」

 やべっ。名前出すつもりなかったのに。なんか店員さん追いこんでみるみたいで、極まりが悪い。

「そ、そうかな。ははは。知り合いってだけだよ。それだけだから」

 店員の顔が青から真っ白になっている。

 オーナーは深々と頭を下げた。

「これは大変失礼致しました。ご無礼の数々お許しください」

「いや、もういいよ。私もちゃんとした格好してくればよかったんだよね」

 謝れるとばつが悪い。

 大半の人は身なりで判断する。わかっていたんだが、ここのところ、それがなかったから油断してしまったのだ。

「いえ、こちらの監督不行き届きでございます。誠に申し訳ございません。今後はお客様にお不快な思いをさせる事がないように、徹底して参ります」

「いや、別にいいよ。私の店じゃないし。それにどこもそんなもんだしね」

「いえ! お客様に貴賤はございません。重ねて謝罪致します」

「もういいよ。それよりネクタール売ってくれるかな?」

「もちろんでございますとも! それとこのネクタールは大銀貨1枚ではございません」

「へ?」

「うちのものが勘違いしたようです。大変失礼致しました。銀貨5枚でございます」

「本当?」

 店員を見ると、ぶんぶんと頷いている。

「そっか。それなら、少し沢山買えるかな。いや、その人、いや、その方々にはすごい助けてもらってさ、ネクタールがすごい気に入ったみたいだから。なるべく多く食べて欲しくて」

「さようでございますか」

「うん」

「今回はお詫びをかねて、ネクタールは好きなだけお持ちください」

「えっ! それはだめだよ! すごい損しちゃうだろ!」

「それだけの事をしたのです。わたしどもの気持ちとしてお受け取りを」

「うーん。じゃあ、受け取らせてもらうね。その方々にもオーナーさんのことを言っとく」

「ありがとうございます」

「じゃあ、その分のお金で他の果物を貰おうかな」

「畏まりました。では、わたくしがご案内いたします」

「よろしくお願いします」

「ねえね、後でこの実食べてい?」

「うん。1つだけな。後はお土産にするからな」

「やったあ」

 ノアの笑顔が可愛い。

 結局は得したし、店員さんがあまりに悲壮な顔をしているから、一言付け加える。

「オーナーさん、あまりあの店員さんを責めないでやってね。あの店員さんが普通の感覚なんだと思うよ。お貴族様と平民の冒険者、それも年端も行かない私と同じ扱いは難しいって」

「お言葉ありがとうございます」

 あ、なんか、余計火に油を注いだ感じか。

 これは、買い物を済ませて早々に立ち去った方がいいな。

 すまん、店員よ。悪気はなかった。

 恨まんでくれ。でも、君も悪いんだよ。ノアを叩くから。

 ティティは買い物をすませると、店を引き上げた。

 果物はカレドニアの屋敷に届けてもらうようにしてもらった。

 得した。気分悪い対応もあったけど得したから、いっかな。

 言っとくけど、ネクタール全部はもらってないよ。13個だけ。

 10個はお土産。3個は。ノアと私とスヴァ用だ。

 ヒースとブリアには別のものを買ったよ。

 これでお土産は万全だ!

本日PV50000超えました~。

本当ありがとうございます~。

これからも、どうかよろしくお願いします!

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