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第159話 なんでだ?

「じゃな。街を出る前に、必ず店に来いよ」

「うん」

 商業ギルドを出た後、出る事別れたティティとノアがやって来たのは、冒険者ギルドだ。

 植物スライムの駆除が決まってからは、ずっと貴族街のヒースの屋敷にいた為、冒険者ギルドに来るのは久しぶりであった。

 今日は依頼を受けるのではなく、ヒースとブリアの聖力の訓練もちょっと進んだので、顔出ししないと怒られるかなあとやって来たのである。

「ノア、疲れてない?」

「ん~。だいじょぶ。ねえねといっしょだから」

 ぐふ。可愛いことを言ってくれる。

 でろんと顔が崩れそうになるのを堪えた。ねえねは頼りになるねえねを目指すからねっ。

「そう、疲れたらすぐ言ってね」

「ん」

 ノアはティティとつないでいる手とは別の手で、胸元をぎゅっと掴んでいる。

 さっき貰った商業ギルドのタグカードがどうやらとても気に入ったようである。

 くぅ。うちの子のしぐさが一つ一つ可愛すぎるっ。

 ふう。落ち着け私。ティティはノアに気づかれないように深呼吸してから、冒険者ギルドの扉を開けた。

「わああ!」

 ノアがはしゃいだ声を上げる。目もきらきらさせて、きょろりとさせている。

 ぐふ。弟の可愛パンチが辛い。

 ノアの頭をぐりぐりしたいのを我慢しつつ、カウンターに目を向ける。

 と、ばちりとカミオと視線があった。

「あ」

 挨拶をしようと、片手をあげたところ、ばびゅんと飛んできたカミオにその手を捕獲された。

「えっ!」

 何事?!

「やっと来ましたね、ティティちゃん。お待ちしてましたよ。ささっ。こちらに」

「え? ええ? えーーー!」

 戸惑うティティをものともせずに、奥へと引っ張りこむカミオだった。

 なんなのおおお?



 それから5分後。

「どうしてこうなった」

 ティティは今冒険者ギルドの訓練場で、無精ひげを生やした知らないおっさんの目の前に立たされている。

 ノアとスヴァはカミオと一緒に危なくない場所でこちらを見守っている。

「よう。おまえさんがティティだな。今日はカミオからお前さんの実力を計るために呼ばれたもんだ。よろしくな」

「はあ。なんでそんなこと」

「さあな。詳しい事はこれが終わった後、カミオに聞いてみな」

「終わらないと、帰れないんですね」

「おう」

「わかりました。よろしくお願いします」

「武器はどうする?」

「では剣で」

「了解」

 おっさんから木剣を渡される。おっさんも木剣を構える。

 この体でどこまでできるかわからない。

 もともとジオルもたいして強くなかったのだ。

 怪我しないように、それを第一にやろう。

「いきます!」

 木剣を構えると、ティティはおっさんにむかって行った。

「えい!」

 コンパクトに剣を振るう。

 身軽さを生かす。

 まともにやり合っていては、勝てない。

 ヒットアンドアヴェイでいこう。続けているうちに隙ができるかもしれない。

 が、そんなに甘くなかった。

 すべて躱され、転がされてしまう。

 小さいからよく転がる。痛いよ。

「くっ」

「ほらほらどうした。もう終わりか?」

「まだです!」

 ティティはなんとか立ち上がると、おっさんに向かっていくが、まったく歯が立たない。

 これは無理だ。元々ジオルも対人戦は大の苦手なのだ。

 戦いはテイムした子たちに任せきりだったのだ。

 よし、多少卑怯かもしれないが、仕方ない。

 少し離れたところで見ていたスヴァに頼む。

<スヴァ、吠えて隙を作ってくれ!>

<なんだ。まともにやらんのか?>

<無理!>

<わかった>

 その返事と同時に、スヴァが吠える。

 ビリビリと地面が揺れるような声。

 チビなのに、すげえ声だ。

「なんだ?」

 一瞬おっさんが気を取られた。

「やり!」

 ティティは渾身の力だで木剣を振りかぶった。

「あほ」

 だが、おっさんは余裕でそれをいなして、ぽこんとティティの頭を木剣で一発。

「ぴぎゅ」

 目の前に星が飛んだ。

「おい?!」

 そんなおっさんの言葉を最後にティティは、気を失った。

ティティはヨワヨワです(笑)

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