第158話 ダラダラ
「こちらのノア様の?ですか?」
あ、疑問と好奇心が混ざり合った目でベルナルディがノアを見る。
ぎゃお。
「おお。ぶっちゃけるとな、ティが近くこいつを連れて旅に出るっつうから、身分証が欲しいんだよ」
「ああ、そういうことですか」
そそ。それだけだよ。ノアは普通の子だからそっとしておいてね。
「冒険者ギルドは年齢制限があるが、商業ギルドはないじゃろ? 登録料と年に1回商業ギルドに貢献すれば年間費もかからんからな。通行料など払うよりはティなら安くなるじゃろ。必要なくなれば、ノアだけ脱退してもいいしな」
「本当にぶっちゃけましたね」
本当だよ! デルおじ! ベルさんも苦笑しているよ。
「確かに年齢制限はありませんが、このような小さい子は滅多に登録しません」
「ダメか?」
「いえ、正規の手続き、料金をお支払いしていただければ、問題ないとは思います」
「おっ! だってよ! よかったな、ティ!」
よかったけど、胸がひゅっとなったよ。俺が男だったら下半身がひゅっとなっただろうがな。
「ベル、いい判断だぜ、このティの弟だ。期待していいとわしは思うぜ」
「ほう。そうですか。そうですね」
ベルさんの目が細まる。
デルコ、やめてやめて。ハードルあげないで。
思わず、隣のノアをきゅっと抱きしめる。
<だから、堂々としていろというのに>
うるさいわ! 私はお前のようにずぶとくはないのだ!
<図太いも何もそやつは何もしておらぬではないか。お主の勘ぐりすぎだ>
いや、ベルナルディのあの目が食ってやると言ってる! 私にはわかるぞ!
「わかりました。すぐに手続きしましょう」
そこで、すっとベルナルディはひいて、すぐにノアの手続きに入った。
ふう。勝ったのか?
<だから、初めから勝負などしておらぬ>
スヴァ、突っ込みはもういいから。
それから数分で、手続きも済み、無事商業ギルドのノアの身分証もゲッドできた。
「ノア、なくさない」
嬉しそうにギルドカードを胸に下げるノアが激カワである。
はっ。和んでる場合ではない。
早くここを出るのだ。
席を立った、デルコに着いて行かないと。
ノアの手を引き、デルコについて部屋を出ようとした時、ベルから声がかかった。
「ティティさん」
その声にティティが肩越しに振り返る。
「な、なんですか?」
黙って帰してくれよ。
「冒険者ギルドで、大きな依頼を達成されたようですね」
ティティはぎくりと身を強張らせる。
うわああ。商業ギルドにも通達されてるのか。
秘密にしてくれって言ったのに。
「ああ、ご心配しないでください。商業ギルドにも同じ依頼が出されていましたからね、その関係で少し情報が回って来たのですよ」
少しってどのくらいか。よし、ここはしらばっくれよう。
「な、なんのことですか?」
<そこでどもってはだめだろう>
うるさいスヴァ。仕方ないだろ。根が正直なんだから。
「ふふふ。失礼しました。ただ、今後何かあれば、冒険者ギルドよりも商業ギルドに先に相談いただけると、嬉しいですね」
えっ。冒険者ギルドに頼ったのがいけなかったのか? だって、比重は冒険者ギルド寄りだもん。仕方ないよね。
「お願いできますか?」
ええっ。ここではいって言ったら、言質とられちゃう。
「ははは。善処いたしますう」
とだらだらと汗をかきつつ、退散した。
商業ギルド!やっぱ、苦手だああ!
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