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第157話 最後にやってくれたぜ

「これはこれはデルコ様に、ティティ様、ようこそお越しくださいました」

 担当者が違う人になればいいなあとの望みむなしく、ベルナルディがにこやかな顔をしながら、部屋に入って来た。

 通された部屋は前と同じ2番部屋である。

「と、もう一人おられるようですね」

「はい、こちらは私の弟のノアです」

 ティティの隣にすわったノアがティティの袖をぎゅっと掴みながらも、小さく頭を下げた。

「ノアです」

「ご挨拶ありがとうございます。ベルナルディです」

 営業用のスマイルでも、ノアはほっとしたようだ。

 うんうん。確かに私に向ける笑顔よりは優しいかな。

 ノアの登録は、新人登録のカウンターに行って登録をするつもりだ。

 こっちの用事を済ませてからゆっくりね。

「ベル、前に話してあった、鉄製の水筒が完成したのでな、その本登録をしたいんじゃ。ほれ仕様書じゃ」

 ベルナルディがティティたちの向かい側に座るなり、早速デルコが話を進めてくれる。私は基本座って聞いているだけだ。ノアも大人しくしてくれてる。いいこや。

「それは素晴らしいですね。デルコ様はこのところ続けての登録です。商業ギルドとしてもその貢献には感謝の念が堪えません」

「なに、これも、すべてティのアイデアだからな。わしはそれを作っただけじゃ」

「ほう、ティティ様はとても優秀なのですね」

「そうかもな。色々なおもしろい事を知っとるな」

 デルおじ! もう黙って! なんかベルナルディの瞳孔が大きくなったようで怖いからっ。

 隣に座るデルコの膝をきゅっとつねりたくなった。

 そしてなぜか冷や汗がでる。

 てか、部屋がすごい寒くない? 気のせい?

 ベルナルディさん、そんなに私を見ないで欲しい。

 なんか前にもまして、ロックオンされているような。

 だからやだったんだよ。ここに来るの。なんか色々この人鋭そうだし。

<おどおどするな。勘ぐられるぞ。平然としていろ>

 スヴァがティティの足元であくびをしながら、アドバイスを放つ。

 そ、そうだな。別に悪い事をしに来ている訳でもないからなっ。

 よしと、ベルナルディの顔に視線を向ける。

 げえ! やっぱ怖い!

 すかさず視線を外すティティだった。

 やっぱ。なんか怖いよ。

 早く登録終わらないかなあ。

 と内心でぼやくティティだった。


 先に概要が提出されていたとあって、金属製の水筒の登録はスムーズに進んだ。

 それでも、後で本部と連絡をとり、最終的な本登録になるらしい。

「利益の配分は、均等でいいのですね?」

「ああ」「はい」

 ベルナルディの問いに、デルコ、ティティは頷く。

 今回技術力が半端なくいる水筒である。

 ティティが1割、アイディア料のみでいいと言ったんだけど、デルコがこれまた頑固で譲らなかった。2人の押し問答の末に均等分けに決まったのである。

 まあ当分登録はないかもだから、定期的なお金はありがたい。売れればだけど。

 デルコは売れるぞっと自信満々だけど、少し高めな値段になりそうだから、どうかな。

「では、本登録完了の知らせは、前と同じでデルコ様にお知らせしますね」

「おお、それでいい」

「承知致しました。他に何か、ございますか?」

「おお、そうだ。またカウンターに行くのも面倒だ、ベル、ここにいるティの弟の商業ギルドへの加入手続きをしてくれんか?」

 デルおじーーーーっ!

 なんてことを!

 それはそっとやりたいって言っといたよね!

 忘れちゃったの!?

デルコマイペース。

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