第154話 弟よ、すまんな
「びええええ!!ねえねぇぇぇ!!」
倒れてから2回目の目覚めの促しは、弟の泣き声だった。
倒れた後に目覚めた時には、泣き疲れて起きなかった弟。
どうやらティティがご飯をたらふく食べた後にソファで寝てしまい、誰かがベッドで寝ている弟の横に運んでくれたらしい。
そしてしばらくして弟が目覚めたがまだ姉が目が覚めない。不安になってまた泣き出したらしい(←今ここ)
ティティは慌てて起き上がると、弟を抱きしめた。
「あー、よしよし。私は大丈夫だよー」
いきなり起き上がっても、めまいはしない。だるさはまだあるが、先程とは段違いによくなっている。あ、また腹は減ってる。
あんなに食べたのに、もう消化してしまったらしい。
まったく燃費の悪い。身体である。
「ねえね?」
ノアが不安そうに自分を見上げる。大きな目から涙がぽろりと零れ落ちた。
「ごめんね。不安にさせたね」
寝巻のそでで、そっと涙を拭いてやる。
ノアは唇を震わせると、ぎゅっとしがみついて来た。
「ねえねー‥」
「うんうん、大丈夫、ねえねはいなくなったりしないから、大丈夫だよ」
それでも信じられないのか、しばらくノアはずっとティティにしがみついたままだった。
ごめん、弟よ。
しばらくしてようやっと落ち着いた後、再びソファに席を移して、ティティはご飯を食べまくった。
その横には、ノアがべったり。
姉の食べっぷりにひくかと思ったが、にこにこしている。
どうやら、逆に安心したらしい。
スヴァもいつの間にか足元に座っていた。
<スヴァ、済まなかったな。助かった>
<全くだ。あまり世話をかけないで欲しいものだ>
<善処するといいたいところだけど、もう1回世話をかけるぞ。ブリアさんの聖力全注入をするかんな>
<まだやるのか>
<おうよ!>
<懲りないやつだな。お人好しめ>
<ひひひ。悪いな>
<もういい。聖力、体力を戻せ>
<あいよ。なあ、スヴァ>
<なんだ?>
<私も大概だが、お前もお人好しだと思うぞ>
スヴァから足に猫パンチをくらった。
おい、それはご褒美だぞ。
「にひひ」
ティティはケーキにかぶりつくと、嬉しそうに笑った。
私は仲間に恵まれてる。
ティティが倒れてから3日後、聖力、体力が万全になったところで、ブリアが休みをとり、聖力全注入作戦を決行。
場所は同じ、カレドニアの屋敷の庭。ヒースも休みを取ってもしもの時に備える中で、それは行われた。
結果、ヒースに引き続きブリアもティティの聖力の中に聖素のかけらを感じる事に成功。
それと引き換えに、やはりティティはぶっ倒れた。
けれど、2回目だからか、目覚めは早く、ご飯をもりもり食べて、3日後に回復した。
結構ハードな作戦だったけど、無事に2人が聖素のヒントを掴むことができるようになったから、よかったんじゃね?と思うティティであった。
ご飯も沢山食えたし、満足である。うん。
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