表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/474

第151話 ぷつん

「まずはヒースさんからでいいですかね」

「ああ、もちろん」

 場所はカレドニア家の裏庭。そこにヒースとティティが、向かい合うようにして立つ。ブリアは2人から少し離れて見守っている。周囲には綺麗に手入れされた花壇があり、その外側には高い木が屋敷の壁に沿うように立ち並んでいる。うんうん。少し少ないけど、花有り、木々も元気である。

 いいね。

「失礼します」

 いつものようにヒースの両手をとって目を瞑る。

「最初は少しづつ、徐々に増やしていきます。苦しいとかあったら、言ってくださいね」

「了解した」

 最初の頃は人の体内に聖力を入れるのに、抵抗があった。

 痛みや吐き気など、不調がでるのではないかと。

 魔力を他人の体内にいれると反発があると聞いていたからである。

 それが全くなかった。逆に身体が調子がいいくらいだそうだ。

 聖力はやはり癒しの力なのかもしれない。

 だから聖力を大量に流し込んでも大丈夫だろうと、この方法に踏み切ったのだ。

「じゃあ、行きますね」

<スヴァもいいか?>

 足元にいるスヴァにも確認をとる。

<ああ>

 スヴァまでティティに影響しないことを祈りたい。

「行きます」

「お願いする」

 そうして、ティティは、聖力を動かす。

 目を閉じるとすぐに感じる。

 ティティの体内には2つの道がある。

 1つは魔力が通る道。

 もう一つは聖力が巡る道。

 相対する力なのに、喧嘩することなく、2つの力はティティの体内を周っている。

 その1つ、聖力に意識を集中する。

 聖力を集める。

 両腕に、両手に、両の指先に。更にその先、ヒースの両の指先、両手に、両腕へと。

 体中の聖力を集中させていく。最初は細く、徐々に聖力を強める。

「どうですか?」

「ああ、身体全体にレディの聖力が巡っている、すごいなすごい量だ」

 ヒースの身体に変調は見られないようだ。

「どうですか。何か掴めそうですか?」

「ああ、何かそう、身体の周りに優しいとてもやさしいものを感じる」

 何かを掴みかけているだろうか。それなら。

「もう少し、行きますよ!」

 かなり、しんどいが、ここで掴んで欲しい!

「ああ!!」

 ヒースが短く叫んだ。

 目を開けてみると、ヒースの身体が微かに光っている。どうやら、身体からティティが流し込んだ聖力が漏れているようだ。

「ヒースさん、私の聖力を使って、聖素を引き込めませんか?」

「やってみる!」

 ヒースの長めの髪がまるで風に吹かれたように舞っている。

<ティティ! もうやめろ!>

 スヴァがストップをかける。

「もう少し!」

 ここでやめる訳にはいかんだろっ!

 せっかくヒースが聖素を掴みかけてるのだ。

 ああ、でも。くそ! もう限界が近い。いや、もう限界だ。

 目がかすみ、頭がガンガンして来た。

<やめろ! 切れ!>

 スヴァの叫びを最後に、ティティは意識を失った。

ティティ、頑張りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ