第148話 まとまったねっ
自覚したら、余計にお腹空いてきた。
ベッドをちらりと見ると、まだ弟は寝ている。
起こすのはかわいそうだな。弟の分は自然に起きたら、ご飯をもらうか。
「はっ! すまない。私は今究極の選択にとらわれてしまっていたよ!」
ヒースは頭を振りつつ、座ってくれる。
やれやれ。そんなに大げさな事でもないと思うけどなあ。
<情報は受け取る側によってその重さが違うのだ>
<何、小難しいこと言ってんだよ>
<2人もお主のように考えらえたら楽であったろうな>
<なんだよ?>
スヴァは答えず、後ろ足で耳を掻いている。
なんだ? ノミか? 今日はきっちりと洗ってやらねば。
<スヴァ、お前もなんか提供できる小ネタあったら、教えてくれよ>
<あいわかった>
今度は素直に頷いてくれた。よしよし。
「で、今言ったような小ネタをお渡しすれば、大丈夫そうですか?」
「大ネタよ」
ブリアが即座に言いなおす。
ブリア、その点は譲れないらしい。
「わかりました。そのブリアさんいわくの大ネタで、お2人は乗り切れそうですか?」
「ああ、問題ないだろう」
「うん、無理やりにでも誤魔化すわ」
「よかったです。また思いついたことがあったら、都度お話しますね」
「「了解した」」
ハモらんでいいからっ。目が爛々としてこわいわっ。
「そ、それではこの話はこれでおわりで。改めて、弟ともどもしばらくお世話になります」
ティティは頭を下げた。
「もしよろしければ、少しですが、滞在費も払います」
弟まで厄介になっちゃうからね。これで無料での滞在は心苦しい。
「小さなレディ、こちらとしては君の滞在は大歓迎なんだから気にしないでいい。」
「でも」
「滞在してくれてる間は、聖力の訓練手伝ってくれるのだから問題ない」
「それに、大ネタをくれるのだから、こちらがもらいすぎよ」
そうなのかな。こちらの方が大分優遇してもらってるような気がする。
が、ヒースがいいって言うならお言葉に甘えるか。
これから弟の分の生活費も稼がなくてはならないんだから、切り詰められるとことは切り詰めなきゃだからなっ。
「ちなみにブリアさんはどうするんですか?」
「ティティが滞在する間は、私もカレドニアの屋敷に泊まるわよ」
うん。それが許されるなんてすごいな。
詳しく聞きたいところだが、今は自分の事で手一杯なので、控えておこう。
「そうだ。お2人の次のお休みはいつですか?」
「なんだい? 突然だね」
「すいません。実は、その思いついた訓練方法があるので、早く試してみたいと思いまして」
昨日の夜思いついたことだ。
「なんだって! 君は次から次へと、私を驚かせて! 困ったレディだ」
「あの、試すのだめですか?」
「ダメな訳ないだろう! 今手詰まりなんだからね。本当は僕らが考えないといけないことなのに、君に頼ってばかりだ。私はダメな男だ。ああ、私には美貌しか取り柄がないのか」
頭に手をやりつつ、また苦悩するヒース。
おーい。戻ってこいよー。
「植物スライムの駆除が終わったので、明日は2人ともお休みよ」
流石ブりア、いつものことだとヒースをガン無視である。
つよい。
「では、明日試してみてもよいですか?」
「こちらこそお願いしたいわ」
「じゃあ、その為にもたくさん夕食を食べようかな」
「そうね。行きましょう」
ブリアは立ち上がると扉にティティを誘導した。
「おい! 私を置いていくな!」
「うるさい。ノア君が起きるでしょ!」
追いすがるヒースの頭をブリアはパコンと叩いた。
ブリア強し。
ヒースさんを導けるのはブリアさんしかいないね。
あー。でも何とか話がまとまってよかったよ。
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