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第145話 お城には泊まらないよっ!?

「国守さまにも、ご領主さまがよくしてくれたと伝えておきます」

 おそらく国守さまから見放されるのが、怖いのだろう。

 大丈夫。それは私もそれは望んでないからね。

 虎の威を借る狐のようでいやだが、きっと領主はこの言葉を望んでいる。

「おお。ありがたい。よろしく頼む」

「こちらこそ、過剰すぎるお気遣いありがとうございます。あの! 弟にかかった費用をお支払いいたします」

「よい。それも褒美と思ってくれ。しかし、お主の弟はまだ非常に弱っている。旅に耐えられる状態じゃないぞ」

「ええ。そうですね。弟の体調が整うまで、もう少しこの街に滞在しようと思います」

「おお! そうか、そうしたほうがよい。旅は大人でも大変なのだ。況してや子供2人、万全の体調で臨むのがよかろう」

「はい。そう致します」

「うむ。一人で弟の面倒を診るのは大変だろう。もしよければ、弟がよくなるまで城に滞在してもいいのだぞ」

「いえ! それは流石に図々しすぎます!」

「遠慮する必要はないぞ!」

 わあ。どうしよう。押し切られそうだ。

 これはもう奥の手だ。

「あの! 実は私! 数日前からヒースさんのお屋敷にお世話になっておりまして!」

「何? ヒースの屋敷に? なぜじゃ?」

「実は、その、植物スライムの他に、私が知ってる不思議アイテムや魔物がいないかなどを尋ねられまして。それをお話するのに、滞在させてもらっているのです」

 正直に言ったら、囲い込まれてしまう事必至だ。これはヒースが依頼してくれた内容で押し通そう。

「それも冒険者ギルドを通して、依頼で受けてしまってまして! 隠すつもりはなかったのですが、領主さまから受けた依頼と同時期に依頼を受けてしまってて、すいません!」

 普通の依頼ならありだが、この地の存亡にかかわる案件との重複は、不快に思うかもしれない。

「そうであったか。よい。ヒースたちが聞きたがるほどだ、きっと有用な事柄なのだろう」

 おお、怒られなかった。これも国守様のおかげか。きっと国守さまからの情報と思っているのかもしれない。はずれです。元魔王様からだよん。

「まだまだ聞きたいと言ってくれていたので、少し滞在が伸びても了承してくれると思います」

「そうか。ヒースの屋敷ならば安心だ。新しい知識はこの地の発展にもなろう。よろしく頼む。わしからも其方の弟を含め、面倒をよくみるように言っておく」

「は、はい。ありがとうございます」

 ティティは顔をひきつらせた。

 苦しい、心が苦しいよ。詳しく聞かれないでよかった。

 ああ、これはヒースとブリアに話を合わせてもらわないと。

 速攻2人に相談だ。

 きっとヒースやブリアはブルコワに私から何を聞いたか聞かれるだろう。

 聖力の事は私が教えたというのは秘密にしてほしいから、他のネタを渡しておかないといけないか。

 なんか、あったかなあ。あまり話すとなぜにこの小娘にそんな知識があるのかと思われてしまう。

 国守さまのせいにしてもいいんだけど。あまり頼りすぎるのもなあ。

<スヴァ、後で相談にのってくれよ>

 足元でずっと黙ったまま伏せていたスヴァに頼む。

<了解した>

 あー。どうしたものか。

 泣き疲れて寝てしまった弟を胸に抱えつつ、内心で頭を抱えるティティだった。

ティティの苦労が増えていきます(笑)

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