第143話 祭りか? 祭りだ!!
ティティの複雑な気持ちを知らぬまま、ブルコワは同意するように頷く。
「本当だ。そうすれば、街も以前のように活気が出てくるだろう」
「そうなって欲しいです」
「ところで、ティティルナはこの後どうするのだ? やはり西の辺境へと旅立つのか?」
ブルコワは以前ティティが話した事を覚えていたらしい。
「はい。いくつかの用事を済ませた後に、できるだけ早くに旅立とうと思っています」
そうだデルコのところに顔出さないと。水筒を頼みっぱなしである。
それと、弟の様子を見に行ってもらうように冒険者ギルドに相談したい。
「そうか。残念だ。できれば、この地に長くとどまって欲しかったが、自由な冒険者を引き留める訳にも行くまい」
お、ブルコワ領主わかってるね。
「だが、できればもう数日この地に留まって欲しい。実はな不作の原因を解消できたし、加え田畑の実りも回復する目処もついたので、この2年してなかった豊穣祭を今年は開くことにしたのだ」
「お祭りですか!」
ティティの瞳が輝いた。祭は大好きである。
「不作の原因が植物スライムだけだったのか、今後引き続き調査は必要だが、今年の冬は無事越せそうだからな。祭りを開く事にしたのだ。祭りの最後には神への祈りをささげる儀式が湖で行われる。見応えあるぞ」
「見たい! ぜひ見たいです!」
「そう言ってもらえるとやりがいがあるというものだ。楽しみにしておれ」
「はい!」
「出発する日が決まったら知らせてくれ。それに合わせて西への紹介状を用意しておく」
「わかりました!」
そういえば、紹介状書いてくれるって言ってたっけ?
祭りってきいて、頭がとんじゃったよ。
ふふ。祭が楽しみすぎる。お金にも余裕ができたし、思いっきり楽しみたい。
終わりよければすべてよしか。
お金ももらえたし、ジオルの心残りを精算できるめどもついた。
結局この地に植物スライムを仕掛けたのは誰かわからないままだが、それはこの地を守る領主さまの仕事である。
気になるところであるが、そこまでティティは関わるつもりはなかった。
それより、祭だ祭!!
ティティの心はもう祭でいっぱいだった。
区切りがいいので、短めでした。