第138話 究極、塩むすびっしょ!
話しがまとまったティティとヒースとブリアは、植物スライムの討伐終わった後、テフラ湖に残った。そして湖の北側に広がる林に足を向けた。植物スライムに大地のエネルギーを吸われてしまっているだろうが、木々が枯れるまでではないので、きっと街中で訓練をやるよりもきっと、聖素を掴みやすい筈だ。
林の中の少しばかり開けたところで3人は訓練を始めた。
ティティは周りを見回しながら、1つ頷いた。
うん。いいお天気だし、光がきらきら光ってるからきっと聖素もあるね。
わからんけど。
「では、時間もないですし、始めましょう。どちらからやりますか?」
「今日は私から。よろしくね」
ブリアがすっと一歩前に出る。
「わかりました。それでは手を」
ブリアの両手を握り、目を瞑って意識をうちに向ける。
聖力、聖力っと。
すぐに白っぽい暖かい力を発見。
私も訓練に協力するようになって、力を意識するの早くなったかも。
んっと、聖力を指先に集中っと。そして押し出す!
瞬間、ブリアの身体がぴくっと揺れる。
どうやらうまく流れたようである。
ほっとして目を開けると、ブリアはまだ目を瞑っている。
どうやら、身体に入ったティティの聖力の感触を確かめているようである。
そんなブリアからそっと手を放すと、ヒースに目を向けた。
「次は私だね」
ヒースにもブリアと同じように聖力を押し込むと、とりあえずティティの役目は終了である。
「あーなんか小腹がすいた」
肩掛け鞄から取り出すように見せかけて、亜空間からおむすびを取り出し、足元にいるスヴァに1つやると、自分もはむりと食べた。
「うまいなあ」
空気がいいからだかろうか、宿の部屋で食べるよりもおいしく感じる。
塩むすび最高だ。
色々な具もいいけど、最後に辿り着くのは塩のむすびではないだろうか。
それぐらいうまい。
思わず、もう一個取り出して食べる。
視線を感じて下を見ると、スヴァがこちらを見ていた。
「あ、スヴァももう一個食べるか?」
<いらぬ>
「そっか? 遠慮するなよ? 欲しかったら、すぐに言えな」
そう言いつつ、ティティはもう一つ取り出した。
うん。外で食べると食欲が増す。
<お主、聖力の操作がスムーズになったな>
<あ、やっぱりわかっちゃう。私もそう思ったんだよね~>
少し胸を張りながら、心話で答える。あんま一人でブツブツ言ってると気持ち悪いよな。
<我との融合での影響があるとはいえ、適応が早い。うむ、これは観察を続けねばならぬな>
<まったく元魔王様は、研究熱心なんだから。あんま深く考えなくてもいいんじゃね? すぐに出来て、2人の役に立ってるんだから>
それが重要っしょ?
<お主は不思議には思わないのか? 魔法士の2人があんなに聖素や聖力の感覚を掴むのに苦労しているんだぞ>
<それは、ほれ、元から身体に巡ってるものだったしなあ。2人は馴染みがないから苦戦してんだよ。何、きっと何回か、聖力に触れれば、きっとそこから聖素を掴んでくれるさ>
<お主は本当お気楽ものよ>
「なんだと! 喧嘩売ってんのか!」
今の流れだとなんか馬鹿にされてるような気がする。いやしてるだろう!
腰に手を当てて、スヴァを睨む。
「小さなレディ? どうかしたかい?」
はっとして、2人がいる方向をみると、2人とも手を止めてティティを見ている。
いけない。どうやら訓練の邪魔をしてしまったようである。
「何でもありません。すいません。どうぞ続けてください」
くそう。スヴァのせいだ。再びスヴァを睨むが、知らんぷりである。
これでまた騒いだら、また2人の訓練を邪魔してしまう。
我慢だ。大人になれ。ティティ!
ティティはおむすびを取り出すと、勢いよくかじりついた。
食べなきゃ腹の虫が治まらない!
ティティ、間食食べ過ぎ(笑)