表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/474

第134話 遠い。でも行く!

短めです。

「西の辺境領ですかあ」

「遠いぞ。行くのか?」

 こことは反対側の魔王領との境界を守っている領地である。

 ティティの足ではかなりな日数をようするだろう。

 だがそれでも、答えは決まっていた。

「はい。特に行きたいところもなかったので、英雄様に会うという目的ができたのが嬉しいです」

「だが、道中長い。危険だぞ。もう少し大きくなるまで待った方がいいのではないか?」

「ご心配ありがとうございます。でも、できれば早く会いたいのです」

 そう。思い立ったが吉日ってね。ずっともやもやしたまま、過ごしたくはない。自分の目で元気な姿を見て、安心したい。

 ジオルが死ぬ直前まで気にかけていた少年だ。

 それで一つ肩の荷が下りる。

「わかった。では、私が西の辺境伯に紹介状を書こう。折角行くのだ。見るだけでなくお会いするといい」

「ええ?! いえ、そんな! 相手は大貴族さまですよ! いいです! そこまで望んでませんから!」

 ティティは両手を激しく振った。

 平民のティティには不相応である。

「これも、今回の褒賞と思ってくれてよい。ただし、ライアン様次第だ。西のから話があれば、断りはせんとは思うが」

 褒美と言われれば、ティティに断るいわれはない。

 むしろ嬉しい。

 たとえジオルとして会えなくても。

<甘えればいいだろう。我も我らが消失した後の事が気になる。詳しく聞ければなおよし>

 そっか。そうだよな。スヴァの言葉に頷く。

「ありがとうございます! お言葉に甘えます!」

「うむうむ。やっと笑ってくれたな」

「え?」

「城にいる間、ティティルナはいつも難しい顔をしているから、ここが嫌いになってしまったのかと思ってな。まあ、仕方がないのだが」

 そこでしょんぼりする、ごついおっさん。

 まだ気にしてたのか。

 ま、それだけの事を、私に言っちまったもんな。

 私もまだちょっともやもやしてるしな。けど。

「嫌いにはなりませんよ。ただ、植物スライム除去が成功するか心配だったのもあるかと」

 だって、私の話を元に、大それた作戦が決行されてんだから。実は違ってましたではすまされないだろう。

<最初に、推測と言っておいたのだから、問題ないだろう>

 スヴァがしれっと言う。

<ばっ! そうもいかんだろう!>

 これだけ人も物も動かしたのだ。すごい金がかかってる。

 弁償しろと言われても、できる筈がない。

<だから、領主が裏付けをとったんだろうが。それでゴーサインを出したなら、それはもう領主の責任だ。お主が責任を感じることはない>

<まあそうだろうけども>

 うわ。元魔王様。すげえきっぱりだな。流石だ。

「そんな心配をしておったか。ティティルナの助言を受けて、有用と判断したのはわしだからな。そこまでティティルナが心配することはないぞ」

<ほらみろ>

「ありがとうございます」

 やっぱ、上に立つ人は違うなあ。

「田畑の様子はこの後様子を見んことにはわからんが、今日の作業は後少しで、終わる。ティティルナの心配事も少し消えるな」

「はい」

「もう少しここに居られるなら、田畑が元気になる様子もわかるかもしれんぞ。そうすれば、憂いなく旅立てるかもしれんな」

 憂いなく。

 その言葉にティティの心に影が差す。

 ああ、本当憂いなく、旅立てればいいのに。

いつもお読みいただき、ありがとうございますv

読んでくださる方々が増えて、とても励みになります。

更に、評価、ブクマをしていただけたら、とても嬉しいです~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ