表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/474

第133話 居場所をゲッド!

 ブルコワが驚いたようにこちらに顔を向けた。

「は、はい。そのつもりです」

 な、なんだ。そんなに驚くことか?

「まだ幼いから、しばらくはこの地におるかと思っていた」

「ああ、そうですね。でも、ほら、親と街で鉢合わせしたくないですし」

 この街まで足を伸ばすことはないと思うが、やっぱり近いと落ち着かない。

「そうか」

 およ。なんか領主さま、落ち込んでいる。なんでだ?

「どこへ向かうのだ?」

「そうですね‥‥」

 まずは国守さまのところかな。それと後もう一人会いたい人間がいる。どこにいるのかなあ。

「まだ決まっておらぬのか?」

「いえ! 行きたい場所はわからないですが、会いたいというか見たいお方がおりまして」

「見たい人?」

「はい。直接は無理でしょうが、一目でも見れればいいなと」

「誰なのだ」

 うん。聞いてみるか。ゴルデバさまなら知ってるかもしれない。えらい人だもんね。

 ジオルが死ぬ間際まで、気にかけていた人物。

「実はこれも人づてに聞いたのですが、私が生まれる前、今から7年前、魔王討伐があったとか。その時は異例の魔王討伐で、勇者が不在だったと」

「よく知っておるな。どこでその話を?」

「この前ご飯食べたお店に、古い絵がかかっていて。カッコいい少年の絵でした。それでお店の人に聞いたんです。魔王の討伐したお話を。勇者がいない為に、色々な国の強い人が集まって魔王を倒した。すごいなあって思って」

 カミラと食べた店の壁に絵が飾ってあった。ジオルの記憶そのままの少年の姿。その絵をガン見しちゃったよ。するとカミオがジオルが死んだ後の事を話してくれた。

 ティティは目をキラキラさせて、続けた。さも興味があるぞと見せないとね。

「特に活躍したのは、その絵の少年、この国の公爵様のご子息さまとか。その方は魔王討伐後も王都での在留をよしとせず、今も国を守るために、危険な地域へと自ら赴いているとか」

 ティティはその話をカミオから聞いて、生きて戻ったんだと、ほっとした反面、公爵の息子が何やってんだよ。まだ11歳だったんだぞ。大仕事を済ませたんだ、大人しく王都にいろよと怒鳴りたくなった。考えるとまた腹が立ってくるが、それを押し殺して更に言い募る。

「私、その英雄様を一目見たいって思うのです。特に行く当ても決めていなかったので、どうせなら、その方を一目でも見られたらと。でも、現在その方がどこにおられるのかわからないのですよね」

 なんか騒がれたくないようで、居場所は秘密なのだとか。

「それでも、王都にいけば、何か手がかりはあるかなと。なので、王都にまずは行こうかと考えています」

 その前に国守さまのところだけどね。

 それにうまい具合に居場所がわかったとしても、自分は平民。あちらは大貴族のご子息さまで、英雄様だ。もう会って話すこと、挨拶する事さえ難しいだろう。況してや今は姿かたちも違うのだ。だからせめて、本当に元気にやっているのかだけでも確認したい。

 ずっと気になっていたのだ。7年前。短い間だったが、懇意にしていた少年のことを。目の前でジオルが死んでしまったことを、変に気にしていないか。

「ああ、ライアン様か」

 ゴルデバが呟く。

「はい。この地へもいらしたとか」

「ああ。寡黙な方でな。顔は恐ろしく整っているが、感情を表に出す方ではないので、子供には少し怖いと感じるやもしれぬ」

「へ? そうなのですか? でも英雄さまでしょ。それも高い志を今も持って働いていらっしゃるし、すごい方ですよね」

 ブルコワの言に、驚いて変な声が出てしまった。

 確かに7年前も生真面目すぎるところはあったが、無表情ではなかった筈だ。

 少し堅苦しいところもあったが、慣れればよく笑う少年だった。

 より真面目になったのだろうか。

「そうだな。そうなんだが。遠目で見る分にはいいだろう。うむ」

 ブルコワは顎に指で掴み、難しい顔をしている。なんか含みがあるな。それに何気に彼を落としてるぞ。いいのか?

 ともあれ、騎士として働いているのであれば、元気なのだろう。

「ライアン様は、今は魔王領に隣接している西の辺境伯のところにいらっしゃる」

「ふわ! 所在を知ってらしたのですか?!」

 ラッキー! 遠回りしなくていいね。

「うむ。まあ、わしも一応国境を守っているのでな。英雄に助けを求める場合もあるかもしれぬということでな」

「そうだったのですね。そんな重要な情報、私に伝えてもよかったのですか?」

「ティティルナは言いふらしたりしないだろう?」

「もちろんです!」

 言わないよ!それで何か影響があったほうが怖い。

「ならばよい」

 この信頼が怖い。まあ、私というより、国守さまへの信頼なんだろうけどね。

 でも、少年の居場所がわかったぜ! よっしゃ!

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

続きが読みたいっと少しでも思っていただけたら、どうか評価、ブクマをよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ