第122話 そですか。1つですか。残念。
「待ってください! それだったら、最初からお話なんてしませんから! 私は聖力を練って溜める器官がなくても、聖力が使える方法をこれからお伝えします!」
「そうか」
「ごめんなさい。早とちりしてしまったみたいね」
ヒースとブリアの顔色が少し戻った。
「いえ、私も話し方が悪かったです」
マジ話下手でごめん。
<そうだな。お主は説明がまずかったな>
<うるせえよ!>
じゃあ、スヴァが変わってくれよって叫びたい。
はあ、冷静に冷静に。まだ肝心なところを話してないんだから。
「ただ、聞いただけなので、果たしてそれがお2人にできるかどうかは不明です」
「でも、可能性はあるんだね」
「はい」
「ティティは魔法士ではないから、知っていても試せないものね」
ブリアがわかっているというように頷く。
いえ、私も魔法士らしいですとは言えない。これ以上ややこしい立場になりたくない。
「ははは。そ、それでそのやり方なんですが」
2人が固唾を飲む。
「お2人は魔力循環はできますよね」
「ああ」「ええ」
2人は頷く。
だよね。当たり前だよね。
「魔力循環する時って、まず魔素を取り込んでお腹の下の方で魔力を練って、それを身体に巡らせていくと思うのですが、その、力は一種類しか感じませんか?」
「え?」「何?」
2人が戸惑ったように、首を傾げる。
「あー、えっと、まあ通常は1つしか感じないと思うのですが、念のため2つあったらなあって」
2つ感じたら、私とおんなじだし、話は簡単だから、一応聞いてみる。
2人は律義に腹に手をあて、力を確認してくれる。
「1つだ」
「1つね」
「そうですか」
残念だ。
「では、その魔力を身体のどこか一か所の封じ込めてしまう事は可能ですか? あ、できれば魔力を練る場所とは違うところにです」
「可能だよ」
「そうね」
「よかった」
ならば、今から言う事が試せそうだ。
「お2人には身体に聖力を循環させる道がありません。なので、魔力を循環させている道を使って身体を浄化します」
「「ええっ!」」
2人が息を飲む。
「そんなことが可能なのか?!」
ヒースが勢い込んで尋ねる。
「わかりません。私も聞いた話ですから。ただ、それができれば、身体の負担は劇的に改善する筈です」
「確かに。小さなレディの話が事実で、もしそれができれば、そうなるだろうな」
ヒースが顎に拳を当てて唸る。
「私たちは漠然と魔法と言う膨大な力を使うから、その力に身体が耐えられないから、短命なのかと思っていたよ」
「そうね。けれど、それだけじゃなくて、魔素や魔力自体が身体を蝕むなんて。そんな事どの文献にもなかったわ。これがもし証明できれば、すごい発見になるでしょうね」
ブリアも難しい顔で呟く。
「それをぜひ立証したいが」
ヒースがブリアを見る。
「そうね。ぜひとも挑戦したいけど、重大な問題点があるわね」
なに?どういうこと?
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