第117話 聖力? なにそれ?
<お主は大丈夫だ>
<なぜに?! なんでわかるんだよ!>
<お主は魔力の他に、聖力も使えるからな>
<聖力? なんだそれ?>
<呼び方があってるかわからん。我が勝手にそう名付けただけだからな。我がいう聖力とは大気のエナジー、自然が生み出す陽のエネルギーを体内で練ったものだ>
<私、そんなの練ってないけど?>
<生まれついた力だろうしな。無自覚なのであろう。だが思い出してみろ。お主は一度それを自覚しただろう>
<いつだよ>
<我が魔力の使い方を教えた時だ。腹の真ん中に2つの違う力が感じられるとお主は言ったであろうう>
<ああ、あれ>
<そうだ。元魔族である我は感じる力は一つだ。魔力のみだ。だが、お主は2つの力を感じ取れると言った。人間は2つの力を使えるのかと思ったが、今の話を聞いて違うという事がわかった。お主のように2つの力を使える人間はまれなのだろう。ゆえにお主は早死にせぬ>
<難しすぎてわっかんねえよ>
<お主は魔力によって痛めつけられた身体を癒す力も同時に持っているから、大丈夫だということだ。多少魔力を使ったところで聖力が体の調子を整えてくれる。だからよっぽど無茶な使い方をしなければ、長生きする>
<そっか>
ほっと肩の力が抜けた。
<我らは魔力で死ぬより、魂のエネルギー不足で死ぬ確率の方が高いぞ。それを逃れる為にもしっかり食べねばならない>
<そっか>
なんかこの世って結構気を付けてないと死が近いって感じるな。
「レディ?! 小さなレディ!」
身体が軽くゆすられて、はっと意識を外に向けると、心配そうに覗き込むヒースの顔。
「大丈夫?」
その横にやはり心配顔のブリア。
スヴァと話し込んでいる間、ずっと黙っていたティティを心配したらしい。
「いきなり、びっくりしたかい。すまない」
「ヒース、私たちの間では常識でも、一般人にはそうではないのよ。それをこんな小さい子に言うなんて、無神経だわ」
「そうだな。小さなレディ、すまなかった」
ヒースが真摯に謝ってくれる。
「いえ! お話してくれてよかったです」
「よかった? どうして?」
ブリアが不思議そうな顔をする。
だって、私も魔力を使うからだよ! こんな重要な事知らないでいたら、怖いじゃないか!
まあ、いきなり知って、死に直面したようなショックを受けたけど、私は長生きできるとわかってほっとしたけど。
そこでまたティティははっと気づいた。
<スヴァ! ねえ! そのさっき話してくれた聖力って、ヒースやブレアさんは使えないの?>
<こやつらが使えるかどうか、我にはわからぬ。だが、魔法士が短命というのが常識ならば、使えない奴が多いのだろうな。そもそも長生きしている魔法を使う人間はおるのか?>
<えっ! 私が特殊ってこと?!>
<先程、そう教えただろう>
何それ。ばれたら、魔法を研究する人に寄ってたかって実験材料にされちゃうんじゃない。
そんなのいやだ!
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