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第116話 おいっ! 私は?!

 そうして連れて来られたのは、円形状の訓練場である。そこでは剣を持った騎士たちと杖を持った魔法士たちが訓練をしていた。

「ふわあ」

 当たり前だが、皆真剣だ。そして動きが機敏だ。それは騎士だけじゃなくて、魔法士の人たちもだ。

 魔法士の人は後方支援が多いと思うが、この地域ではある程度の武術も心得が必要なのかもしれない。なにせ国境を守ってるんだもんな。

 しばらく訓練を眺めているとティティはある事に気づいた。

 騎士の人たちは結構30代、40代と思われる人がいるのに、杖を持った魔法士にはいない。10代、20代ばかりだ。たまたまだろうか。

「魔法を使う皆さん、若い人ばかりですね」

「ああ、小さなレディは知らないのかな? 魔法士は短命なんだよ」

「えっ!?」

「はっきりとは原因は特定できてはいないが、早い者だと20代半ばから身体の不調が始まる。それが徐々に顕著になり、虚弱になり、引退。そうしても一般人や騎士よりも寿命が短いね」

 そう告げるヒースの顔に暗さはない、すべてを受け入れているようだ。

 ブリアの顔にも動揺はみられない。

「そんな」

 ティティは大きなショックを受けた。

<まあ、そうだろう>

 スヴァが心話で同意するように相槌を打つ。

<えっ? スヴァ知ってたの?>

<いや、知らなかったが、考えてもみろ。魔法は魔素を取り込み魔力に練り上げて使う。その魔素は元々負のエネルギーだ。言わば毒だ。毒は一時すごい効果を発揮するだろうが、それを続けていればいずれは身体が壊れて行く。魔素を取り込み処理するように作られている魔族でさえ、許容量を超えれば、命を落とすのだ。人間であれば、それが加速するのも当たり前だろう>

<そんな! ならば、魔法なんて使わなければいいのに!>

<一度手に入れた、強大な力を使わずにはいられないだろうな。獣を狩る手段、魔物を狩る手段、そして最たるは人を殺す手段として最も有効な手段の一つだ。なにせ人間は人同士で争いをする種族だ。戦争になれば、より強い武器を求める。それの最もなるものが今は魔法だ。そんな有効な手段を手放すわけがない>

<そんな!>

<こやつらも、身体の犠牲を踏まえた上で、ここにこうしているのだろう。それを止める権利はない>

<ヒースさんたちは魔法士が短命な理由はわからないと言ってたよな。だったら、今スヴァが言った事をヒースさんたちに伝えたら、考えなおしてくれるじゃないか?>

<どうかな。やめたら、命は助かっても職がなくなるのではないか?>

 そうか。彼らは魔法士として領主に仕えているのだ。

 魔法を使わなくなったら、ここにいられないかもしれない。

 そこで、大変重大な事にティティは気づいた。

<おい! 私は大丈夫なのかよ! 私もスヴァに教えられて魔法使っちゃってるじゃないか! ほら亜空間って一種の魔法なんだろ! 私も早死にするのか!?>

 うそだろ。俺はスヴァと一緒に旨いもん食って楽しい事をして、前世の分まで長生きするって決めてたのに!

 今世でも早世(そうせい)っていやすぎるだろぉ!

また問題が持ち上がってきました。

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