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第113話 私が偉いじゃないから

 国守さまが去った後。

 荒れた部屋での話し合いなどできる筈もなく、場所を変えて、ティティはまた領主と向き合っていた。広いお城だ、いくつもの応接室があるらしい。

 そりゃそうだ。尋ねてくる客が1日1人1組とは限らないのだから。

 そのため、部屋は速やかに用意された。

 これまた先程よりも豪華なお部屋。お尻を包みこむような柔らかなソファ。

 ローテーブルの上には、美味しそうなお菓子と良い香りのする紅茶。

 そういえば、さっきはテーブルの上には何もなかったなあ。

 やっぱ犯人扱いだったのだろうか。

 折角メイドさんが入れてくれたのだ、色々あって疲れたし、紅茶飲ませてもらおう。

 毒が入ってないよとの合図の為、領主さまが口を付けるのを待つのが礼儀かもしれないが、喉が渇いてしまったのだ。

 そんなの待ってらんないよ。

 ティティはカップに手を伸ばすとぐいっと飲んだ。

 ふう。すっごい美味しい。香りよしである。

 それにしても領主さま側が皆沈痛な顔をしている。

 すっげえ気まずい。

 そんな顔するくらいなら、子供を犯人扱いするなよって言いたい。

 けど、原因がわからず領地が荒れ、領民が疲弊していくのをみるのが辛かったんだろうなと考えると、子供であろうと犯人を隠すような振舞いをしているように見えるティティを締め上げようとした気持ちはわからなんでもない。

 でも! ティティの気持ちを傷つけたのは、すぐには許さんからな。

 ともあれ、これで話し易くはなったわな。

 それに、俺の後ろに国守さまが付いているってわかったから、俺の言った事を疑わないだろうしな。

 結果オーライなのか? はあ、さっさと話して、さっさと帰ろう。

 あ、私、お金いらねえって言っちゃったけど、本当くれないのかな。

 こんなに大変な目にあってそれは嫌だな。

 カッコ悪いけど確認しよう。

「あの」

 ティティの声にテーブルを挟んだ向かい側に座るブルコワが顔を上げる。

「色々誤解があったみたいですけど、もうとけましたよね」

「もちろんだ。もうお主の事を疑ってはおらぬ。本当に申し訳なかった」

 そこまでまたブルコワが頭を下げる。

「あ、もう謝罪はいいです。それよりも一つ確認ですが、褒賞金はもらえるのでしょうか?」

「無論です! 希望の金額をおっしゃっていただければ、ご用意いたします!」

 はあ? この人何言ってくれてんの! 私が無茶なお金請求したら、どうするつもりか。

 これもバックにいると思ってる国守さまの影響なんだろうな。なんか脅しているみたいでやだ。

「相応だと判断した金額をもらえればいいです。よかったです。私つい要らないって言ってしまったんですが、やはり相応の報酬はいただきたいので」

 もらえるものはもらわないと。やな思いもしたしね。

「かしこまりました」

 わあ。なんかすごい偉くなった気がするね。うむ。今なら疑いなしで聞いてくれそうだし、言っちゃうか。ティティをひどく傷つけてくれたから言いたくないけど、街のみんなは助けたいからね。

「あの追加情報です。植物スライムはその名前の通り、植物のような魔物なので、取り除くのは容易です。肥大化した植物スライムの身体を少しづつそいでいけばいいだけです。特に抵抗はないでしょう。最後は手のひらに乗るくらいまで処理する事はたやすいと思います。ただ、核を潰す時には何らかの抵抗があるかもしれません。なので、もし殺すならば、最後は注意が必要かと」

「そうですか。わかりました」

 領主さん丁寧な言葉遣い。もうお腹いっぱいです。居心地悪すぎ。

「あの」

「なんでしょうか?」

「普通に話していただければ!」

「ですが、御使い様の庇護する方に、ぞんざいな扱いをする訳にはいきませぬ」

「領主さまに敬われると私がやりにくいので。普通にお願いします!」

「わかりました」

「それと、国守さまが私に目をかけてくれてるという事はどうか内緒にしてください。これから旅するうえで、面倒なことにしかなりませんから」

「旅に出られる、いえ、でるのか?」

「はい。もう少ししたら、少し気になる事があるので、それを確認しに行きたいのです」

 それに国守さまのところに行かないとね。

「わかった。あの場にいた者には、ティティルナが御使いさまの愛し子だということは内密にするよう徹底しておく」

 うん。こちらの言い分あっさり通ったね。ならば、もう一つくらい付け加えてもよいかな。


バックの力って大きい。

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