第105話 美食家か?
短いです。
少し早めの夕食を堪能した後、ティティとカミオとスヴァは店を後にした。
「カミオさん、今日はありがとうございました」
深々と頭をさげる。
「いえいえ、私も楽しかったですし、それに夕ご飯も奢ってもらってしまって」
カミオが心底すまなそうな顔をする。
7歳の子供に奢ってもらったのが、抵抗があるのだろう。だがそれは気にしないでほしい。
それよりも行ける食堂が増えた事の方がプラスなのだから。
これから飯の選択肢が一つ増えたのだ。
「イリオーネさんにもお礼を言いたいですが」
「やめておいたほうがいいわね。ティティちゃんはそれでなくても本日目立ちすぎているから」
「あー‥」
そっすね。
「私からイリオーネさんにティティちゃんがお礼を言っていたと伝えておきますね。報告のついでもあるので」
報告がついでなのかい。
思わず突っ込みそうになったが我慢した。
「わかりました。それでは私このまま宿に帰ります」
「はい。お疲れさまでした」
そうして、カミオとは冒険者ギルドのちょい手前で別れた。
その足で真っすぐに宿に向かう。
今日は夜食を買う必要はないのだ。
なぜなら、先程の食堂でたっぷりとうまいものを仕入れたのだから。
<おい。道でにまにまするのはやめろ>
カミオがいる手前、ずっと黙っていたスヴァが彼女と別れた途端、突っ込みを入れて来た。
<なんだよ。スヴァだって。あの食堂のご飯うまかっただろ?>
<そうだな。屋台の肉もうまいが、店でじっくりと作られた食事はうまいな>
<だろだろ? それに同じものばっかだと飽きるしな>
まあ贅沢はいえないけどな。
<一味付け加えて、味を変えたいなら乾燥ハーブを作ってみるか?>
<は? なんだよそれ?>
<野生に生えているハーブを乾燥させてそれを調味料に使うのだ。一味違うぞ>
<マジか。なんでそんなん詳しいんだよ>
<長い間生きていると色々なものを知る機会が多々あるのだ>
こいつ。実は美食家なのか。
でも、食事には文句をあまり言わないよな。
とにかくもその情報はありがたい。
<山でお前の知ってるハーブとやらが、採れるなら、早速作ってみようぜ! 食事はうまいほうがいいに決まってるからな!>
<うむ>
「よし! 今日は色々あったからな。風呂に入って早めに寝ようぜ!」
ティティは、足早に宿に向かった。
あー、明日は少しゆっくりしたいなあ。