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あいう  作者: かれーめし
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宣戦布告 2

 武装組織マチリーク・アルミア。

 日本国領土である北海道、その他国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島、利尻島、そして最近は樺太をロシアから割譲されて占領している。

 人口約480万人、その内軍に属する構成員数はおよそ190万人。ただし何らかの形で国民はマチリーク軍部と関わりを持っているため、人口全てがマチリーク兵という見方もある。

 マチリークは国連からはロシアの傀儡で、正式な国家ではないと見做されており、不本意であるものの名実ともに世界最大の武装組織と呼ばれているが、その発足自体は比較的最近である。

 元々は上記の島は樺太がそうであったように第二次世界大戦中に当時のソ連が侵攻し、奪い取ったものだったがその6年後に反スターリン派の兵士達により大規模な反乱が起きた。

 原因は本国から派遣されたソ連軍側の幹部連中が裏では甘い汁を啜りながら、日本軍捕虜だけでなくソ連兵にも高圧的な態度で激務を課したことにあると言われている。

 内乱は旧日本兵も加担した大規模なもので、当初は樺太まで反乱軍が占領していたが、やがて鎮圧に本腰を入れたソ連軍によって奪還された。

 そのまま徐々に反乱軍は押され、やがて壊滅すると思われていたがその最中にスターリンは死に、冷戦が勃発した。

 後任のソ連第一書記フルシチョフは、第三次世界大戦に備えてこれ以上北海道を奪還するために兵力を割くことは不毛と捉え、反乱軍と和議を結ぶと奪い取った樺太以外は一方的に日本に返還し、反乱軍の問題を日本に押し付けた。

 樺太は油田があり、反乱軍が本土まで進軍した際にちょうど北海道と挟む場所に位置するため、戦略的に重要な存在だったのだ。

 日本側は当然ながら対処に困り、北海道の反乱軍に対しては本土に危害を加えないなら自治を認めるとの声明を出した。

 反乱軍側もそれ以上ソ連側と争うことはやめ、北海道の領地経営に着手した。

 しかし、その後も内乱を繰り返して70年代までは大小様々な武装グループが点在しており、目に余ったため自衛隊や国連軍が介入してきたが、皮肉なことにこれを退けるために島内である程度の団結が生まれた。

 それから90年代までは小康状態を保っていたが、98年に通称「第二次函館戦争」が起き、これに勝利した武装組織が函館を首都に北海道ら島々を統一。これがマチリーク・アルミアである。

 ソ連軍と和睦後も内乱を飽きもせず繰り返していたため、マチリークには現在ソ連生まれの人間は死んでほとんどいないと見られている。

 また、北海道にはかなりの数の日本人が住んでいた。最初の内戦勃発前に反乱軍が彼らを本土へと追い出したものの、間に合わなかった、あるいは捕虜として連れてこられた日本兵が多くおり、現在のマチリーク人は日露混血の人間が半数を占めている。

 現在のマチリーク在住日本人の親の親世代は日本に帰りたがっていたが、今のマチリーク生まれマチリーク育ちの人間は日本に思い出がないため、思い入れもない。

 その比率は純潔の日本人が4、ロシア人が1、ハーフが5と言ったところである。公用語は日本語であるが、インテリ層はロシア語を第二言語として幼い頃から学んでいるため流暢に話せる。

 しかし、ソ連に反旗を翻したものの日本への差別感情はマチリークにおいても残っており、マチリーク軍の幹部のほとんどは純潔のロシア人か日露混血である。

 2010年今現在は、少なくともマチリーク内では内戦は起きておらず、ある程度は平和な状態であるが、それでも他国にとっては脅威でしかない。

 北海道は鉄が多く埋蔵しており、優れた兵器廠があるため他国の力を借りずとも兵器の製造ができるのだ。

 鎖国のような状態とはいえ、現代の科学技術も吸収している他、北海道は旧日本軍の重要拠点であったため、その地盤も丸ごと引き継いでいる。

 軍の資産は年々増加し、2005年には総資産が2兆円を突破した。同士討ちとはいえ戦闘慣れしているため、単純な日本対マチリークの戦争でならマチリークの方が勝つとすら言われている。

 そのマチリーク軍が、ついに日本に宣戦布告をした。それが何を意味するのかに日本国民が心から気づくのは、まだ少し先である。

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