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1「異世界転移」

初めまして、妃良々と申します。

よろしくお願いします!

ここは……一体どこだろうか……。

とりあえず、ここが今までいた場所ではないことは確かだ。

どこかの教会のような内装の建物の中に私はいた。

周りには黒いグローブを着た数人の人達。あいにく顔がいみえないので、性別は分からない。そして、私の目の前にいる2人の人物。見るからに立場が上だとわかる身なりをしている。

とにかくとんでもないところに来てしまったのではないだろうかと、私は悟ったのであった。




私──如月澪音はとにかく機嫌がよかった。

もう今にも昇天してしまいそうだった。

手には紙袋。

その中身は──数十冊の薄い本。

同人誌、と言うやつだ。


私が今いるのはコミケ会場の出口の前。現在の時刻は午後四時過ぎ。ちょうど片付けを終えやっとの事でコミケ会場から出てきたのだ。

いつもなら買うだけなのだが今年は参加をしてみた。初参加だ。緊張していたがとても楽しかった。作品も沢山買えたし……。


Boy's Love──略してBL好きの根っからの腐女子である私は、毎週仕事が休みになる度にイベント会場を巡る日々……。それも、今でこそ出来る話なのだろう。

最近大学を卒業し、ようやく念願の社会人になったからだ。とは言うものの新人で、会社でもよく怒られてはいるのだが……。だが、それもBL本のためを思うと我慢出来た。どれほどの苦痛でも、BL本のため、推しのため。それを生きがいとして日々頑張っている。友人からは、「澪音からBLを取ったら何も残らないんじゃない?」と言われる始末……。まあ、否定はしていない。正確に言うと、正論すぎて出来ないのだが。閑話休題。

とにかく私は腐女子も腐女子。りんごが腐りきって木から落ち、腐敗して、変な匂いのする……そんなやばい女なのである。

それに、なんでも美味しく頂けるタイプの人間で、地雷も特にないため、どんどんどんどん、好きな作品が増える一方。減ることを知らない、私の推し達は、私を金欠の沼へと引きずり込んでいくのであった。


そして、私は数年前から趣味で小説を書き始めた。BLの小説の。Webで早い時には週に1話のペースで更新している。最近は、仕事の都合上なかなか更新出来ていないが……。まあ、そんなこんなで、今回初めて、買う側ではなく売る側を挑戦してみたのであった。


その帰り道。来た時と同じように電車に乗るために駅へ向かう。電車の時間には余裕があったため、時々手に持った紙袋を見つめ、ニヤけていた。多分周りから見たらヤバい女だったであろう。現にちょくちょく視線を感じていたし……。でもまあ、自覚はあるから大丈夫でだと思う。多分……。


そして、さっきも今までと同じように、ニヤけていた……はずだった……。そう、そのはずだったのだ。でも突如地面が光った。それはもう、ピカーっと。そして気がつくとそこは今までいた場所ではなかった。色々な人が通っていた歩道とは大違いの綺麗な建物の中。周りには通行人や、コミケ会場にいたような人たちでは無い、黒いグローブを着た数人の人達と身なりのいい2人の男。その人たちの視線を受けながら、紙袋を抱え込み突っ立っている私……。もしかしてこれ、いわゆる異世界転移というやつでしょうか?


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