8話 / テスト②
・前回の軽いあらすじ
学校にユウが着いてきた!!
よりによってテストの日に!!
「嫌です☆」
「……は?」
ユウは相変わらずニコニコしている。なんだよ嫌ですって……。ニコニコがニヤニヤに見えてきた。
「なんで嫌なんだよ。帰ってくれればいいんだって」
「えー、嫌ですー」
「だからなんで!?」
「だってボクがいないとつまらないじゃないですかー!」
「はぁー!?」
「僕がここで帰ったらこの小説成り立たないじゃないですかー。レイ君一人じゃつまらないですし」
「なっ……!!」
言いたい放題だなオイ!
つまらないって……。でもまぁそれもあるかもなぁ。俺がただただテスト頑張るだけの小説なんて、つまらなくて俺だったら多分読むのすぐやめるな……。
「うーん……、悔しいが否定できん……。」
「でしょう?だから帰れませーん☆」
なんか腹立つけど、しょうがないか。
「じゃあいてもいいけど、邪魔するなよ。テストなんだから」
「はーい、気をつけまーす☆」
不安しかないな……。
休み時間が終わって、テストが再開された。
次は英語か。ユウの事も不安だが、こっちも不安しかしかないな……。
とりあえず席について、用紙が配られるのを待つ。そこで気がついた。
(全然勉強してねーー!!)
休み時間にちょっとでも教科書見直しとくんだった!!ユウとあんなやりとりしてる場合じゃなかったー!!
そんな事を考えてるうちに用紙がまわってきた。とりあえず名前を書いておく。
「始め!」
合図とともに、皆が一斉に問題を解き始めた。
さっぱり分からん……。
もとから英語は苦手だった。文法とかもさっぱりだ。そこに全く勉強していないときた。そりゃできなくて当然ですとも……。
既に始まって30分程経過している。何問かできた。何問か。
このままじゃヤバイ…。赤点確定かー……。
全く分からない英文を眺めながら頭を抱えていると、後ろから声が聞こえた。
「大丈夫ですかぁ?」
振り返ると、そこには案の定ユウがいた。俺はテスト中だから小声で言った。
「なんだよユウ、邪魔はするなって言ったろ…」
「邪魔してないですよー。気になっただけです」
「気になったって……」
「だって、解答用紙ほぼ空白でテスト中に頭抱えてる人見て気にならない人います?」
「……いないな」
「ですよねー☆」
ぐ…ムカつく……。だが言い返せん……。
「てかユウ、声でかいぞ。ボリューム下げろ」
「何言ってるんですかー。ボク幽霊だから、霊感強い人以外には姿見えませんし声も聞こえませんよ?」
「あー、そういやそうだった」
今まで普通に会話してたから完全に忘れてたな。
「で?何しにきたんだ?」
「それはモチロン、全く勉強してないレイ君の為に憑依霊であるこのユウ君がお手伝いをしに来たんですー☆」
嫌な予感しかしない。
「え、お前英語できんの……?」
「できません☆」
「やっぱりな!」
じゃあなんで来たんだよ。お手伝いて……。
「英語できないんじゃどうやって俺の手伝いすんだよ?まさかまた他の奴ら眠らせたりするんじゃないだろうな。それじゃ俺、何の解決にもなってないんだけど」
「ふっふっふっ、それはですねー……」
どうせろくな事じゃない。
「ボクが答えをパクってきます!!」
「回答泥棒!!」
そんな事だろうと思った。
「泥棒だなんて人聞き悪いですよー。幽霊だからこそできる技です☆」
「だろうな。もう幽霊モノでテストの話とかあったら大体の人が最初に思いつくわ。」
「ですよねー。じゃあボク早速行ってきます!」
「オイオイ待て待て!!」
俺はユウを引き止めた。
「どうしたんです?」
「いや、もう少し自力でやらせてくれ。分かりそうなのが一つある……」
「えー、そんなのボクが見てきちゃえばすぐ終わるじゃないですかー」
「や、確かにそうだけど!よく考えたらおかしいだろ!?全く勉強してない英語苦手な俺がこのテストで高得点取ったら!!」
「そんな事言ってたら成績下がりますよー?」
「いや、もう結構下だし!英語は!!」
う……。自分で言ってて傷ついてきた。
確かにユウが他の皆の回答パクってくればそれで終わりだ。だけどそれやったら点数高くなりすぎてカンニングバレないか?
もしそうなったら、成績もっと下がる気がするんだが……。
「どうするんですー?ボクとしてはお役に立ちたいですけど」
「う〜、どうするか……」
優柔不断な俺を急かすように、ユウが声に出してカウントダウンし始めた。
「早くしてくださーい?10…9…8……」
「あーくそ!!仕方ねぇ!分かったユウ頼む!!」
「分かりました!では行って……!」
その時、
〈キーン コーン カーン コーン〉
聞き慣れた音と共に教室内の全員が顔を上げた。
「はい、テスト終了ー。後ろから集めてー」
「ゥギャーーー!!!」
教室中がビクッ!となって一斉に俺を見た。
心で叫んだつもりが、漏れていたようだ。
我に返った俺を、気まずい空気が包んだ。
「最ッッッ悪だ……」
テストはろくにできず、ユウと話して時間切れになった挙げ句、叫んで教室中の視線が俺に……。
思い出したくもない黒歴史が、俺の年表に刻まれた気がした。
「いやー災難でしたねーw」
「笑い事か!!」
他人事みたいに笑いやがって、5割はお前のせいだろ!!
「こりゃ赤点だ……。次で挽回しなくては……」
「レイ君ならその挽回のチャンス、無駄にしそうですよねーw」
「うるせぇ!絶対無駄にしねぇよ!!」
取り敢えず今日は終わった。俺は帰る準備をしていた。
「おーう零!!どうしたあんなデカイ声出して?w」
「ゲン……。いいだろ、ほっといてくれ……」
「いやーほっとけねーよ。だってあんな面白いことあるか?テスト終わった途端『ゥギャーーー!!!』って!絶対あれテストできたなかったからだろ!w」
「う……」
毎度のことながら言い返せん……。
「と、取り敢えず今日は俺帰るから。また明日な!」
「おう!明日ちゃんと来いよー!w」
「分かってるって!」
俺はゲンに背を向けて帰ることにした。
廊下を歩いて、下駄箱に着いた。
靴を履き替えていると、珍しくユウが黙っている事に気が付いた。どこか一点を見つめている。
「どうした?ユウ」
「え、あぁ。何か視線を感じたと思ったのですが……」
「視線??幽霊のお前が?」
ユウが誰かに見られていた?
まさかな。
「うーん…。気のせいだったのかもしれません。行きましょう、レイ君」
「お、おう」
なんか腑に落ちないけど、ユウがユウがそう言うならまぁ大丈夫だろう。
俺たちはそのまま昇降口を出た。
「やっぱり、憑いてる……!!」
廊下の隅の人影が揺れ、奥に消えて行った。
どうも、拓溟です。
今年最後の投稿。テストの話、2話目です。ユウ君、結局何の約にも立てなかったね……。レイ君の英語のテストの結果はご想像にお任せします。
さて、もうあと少しで今年も終わり、新しい年がやって来ます。年末って意外と早く来るもんですねー。皆さんは年末、何をしてますか?私は紅白が楽しみです!
次回、新キャラ登場の予感!
ではまた次回!良いお年を!!