4話 / 伏字万歳
「ただいまー」
「あ、おかえりなさい。レイ君!」
学校から帰ってきた俺に、いつもの様にユウが迎える。
そんなユウの手に何かが握られているのに、俺は気付いた。
「何持ってんだ?ユウ」
「あぁ、これですか?漫画ですよ」
「漫画?」
「はい」
ユウが漫画読むなんて以外だな……。
「何読んでんだ?」
「あぁ、えと……」
何を躊躇してるんだ……?
「どうした?」
「あ、いえ。言っていいのかと思って……」
「?いいに決まってんだろ。何読んでんだ?」
もう一度聞いたら、ユウは答えた。
「ジャ●プです」
「ジャ●プ!?」
「はい」
えぇー……!!
「どうしました?」
今度は逆に、ユウの方が聞いてきた。
「え、いや何でもない……」
マジか。幽霊もジャ●プ読むのか……!やっぱ人間と変わりはないんだな。
そんな俺をよそに、ユウは更に読み進めている。
「特に銀●とワン●ースが面白くてですねー」
「うん、いや待て。やっぱ待て!」
俺はユウを止めた。
「はい?」
「はい?じゃねぇよ!そろそろ危ねぇ!!」
「何がです?」
「さっきからジャ●プとか銀●とかワン●ースとか!!伏字に限界がある!!」
「あ、マズかったですかね?」
「うん、多分マズい!!集●社に怒られたりするかもだし!!この小説4話目なのにいきなり危ないよ!?存続の危機!!」
「いやぁ、面白かったんで、つい」
「ったく、やめてくれよ……。4話目でいきなり伏字ネタ繰り出すとか何考えてんだ作者は……」
「まぁまぁ、次回はちゃんとするんじゃないですかね」
「だといいけど……。それよりユウ、お前、どっからそんなもん持ってきたんだ?」
「あぁ、これ、借りたんですよ」
「借りた?」
「はい」
これには素直に疑問に思った。
「借りたって、誰から?」
「ボクの恩人です」
俺は、ユウからあの時聞いた話を思い出した。
「あの、お前に名前つけてくれたりした幽霊か?」
「はい」
「以外だな、何でそんなやつがジャ……漫画なんて持ってたんだ?」
「知りたいのであれば、お教えしましょうか?」
急に聞こえたユウとは少し口調の違った声に、俺は振り向いた。振り向いた先には、ダンディー、という言葉が合うような、いかにも喫茶店でも営んでいそうな男だった。
「マスター!」
ユウが呼ぶと、その男は微笑んで応えた。
「どうですかユウ君。私が借したジャ………漫画は」
今言いかけたぞ。まぁ俺もだけど。
「とっても面白いです!ありがとうございます、マスター!!」
「それは良かった。また言ってください。いつでも借しますので」
ユウとかなり親しげに話してる?もしかして……。
「あの、あなたがユウが言ってた恩人……?」
「あぁ、申し遅れました。その通り。私が、ユウ君を助けた者でございます」
「えと、じゃあ、あなたも幽霊……?」
「はい。生前、喫茶店を営んでおりました。『マスター』とお呼びください」
喫茶店のとこまで読みが当たった。スゲーな俺。
いや待て、幽霊が一人増えた。
人間俺一人かよ!!
どうも、拓溟です。
4話目にして伏字ネタ。どうかご勘弁ください(汗)
そして新キャラ登場ですね。幽霊二人、人間一人。頑張れ、レイ君!
次回は幽霊の能力紹介、他色々です。
ではまた次回!!