2ノ第19話: 神殿ダンジョン③、神殿奪還
ラッキーなことに、俺はキングアントを倒してしまったようだ。
それも二匹同時に!
安心した俺は、その後意識を失っていた……。
あれ……もしかして死んでるのか!?
いや違う。すごく気分がよく、気持ちい感触が伝わる。
これは! 天使マリアちゃんのひざ枕だ!
「リュージさん無事で良かったです」
意識もうろうとする中、マリアちゃんの優しい声が聞こえる。
前にも経験したことがある、あのヒーリングだ!
魔法学校の時、散々これにお世話になりました。
「地響きがしたので、もしかしたらと思い来てみたら、やっぱりリュージさんでしたね」
「あ、ありがとう。マリアちゃん」
さすが感の良いマリアちゃん。
胸騒ぎがしたのか俺を真っ先に見つけてくれるなんて。
おかげで助かったよ。
「ねえちゃんすげーな。能力者か?」
「ヒ・ミ・ツ、です」
「リュージ兄ちゃんと付き合ってんのか?」
「えっ!? いや、その、わたし――。イヤン『――ビリビリビリ』」
マリアちゃんの乱れた魔力が電気ショックのように俺に襲いかかる。
祝福のひざ枕がまるで処刑台のように変わっていた。
「――あわわわわっ」
◇
「なにがどうして、こうなっているのだ!?」
エルフ族の皆や、ミリア達も駆けつけてきた。
そんな俺はというとビリビリしていて瀕死状態。
「ケントよ。何が起きたのじゃ?」
「リュージ兄ちゃんがキングアントをぶっ倒したんだぜ!」
「この可愛らしい少女のひざ枕で今にも死にそうに『ピクピク』している彼がやったと言うのか?」
「うん。長老さま。俺見てたよ!」
「なんじゃと! 一人で倒すなんてお主――何者じゃ!」
この爺さんやたら驚いているが偶然同士討ちになって倒せただけで、本当は俺一人じゃ無理だった。
誤解されているようだが、まあ倒したことには間違いない。
「えっへ~ん。僕の師匠だからな。今度、必殺技を教えて貰えるんだ!」
待て待て、スカートめくり技のことだけは言うなよ!
せっかくの功績が台無しになっちまう……。
「長老さま。これを機に神殿を奪還しましょう! 反撃に移りましょう! 最低でも侵攻を防ぐためにバリケードの設置をしましょう」
エルフの若者戦士が声を大にして言う。
キングアントが居なくなった今がチャンスとみて、威勢たっぷりである。
しかし長老は首を横に振る。
「無駄じゃよ。また侵略されてしまうだけさ」
「長老、今が神殿奪還のチャンスなんですよ!」
「じゃがの、ワシが知る限りもう一匹キングアントがいるはずじゃ」
「我らも立ち上がりましょう。後一匹ぐらい我らでなんとかなります!」
「あのー、そのことなんですけど……。二匹共、倒しちゃったかも……」
「なんじゃと!!」
この爺さん。
リアクション芸人じゃないんだから、そんな派手な驚きポーズをとらなくてもいいと思いますが……。
「うん。長老さま。俺見てたよ! 二匹同時に『ガッシャーン』っとやっつけちゃったよ。すげー投げ技だったよ。空高く舞い上がりキングアントをキングアントめがけて『グッサッ』っと挿し込んだんだよ!」
「「「おいおい、聞いたか? 聞いた聞いた。すげーぞー。」」」
ケント少年の実況報告にエルフ族の皆は真剣に聞き入っている。
まぁかなり違うが……、結果は合っている。
「長老様、負けていられません! 我らも立ち上がりましょう!」
「「「やりましょう! やりましょう!」」」
エルフ族の若者戦士は皆で手を上げ狼煙を上げる。
「じゃがの、神殿の防衛は過酷じゃぞ」
「あのー、そのことなんですけど……。安全に追い払える方法があるかも……」
「なんじゃと!!!」
だから爺さん。
リアクション大きすぎるんですよ!
こっちがびっくりしちゃいます。
「世界樹の泉をここまで引き、水で満ちた新しい神殿に変えるのです」
「水なんぞ引いてなんの役にたつのじゃ」
「世界樹の泉はアント達を寄せ付けない効果があるかもしれません。今までに里にアントが現れたことはありましたか? 世界樹に近くなるほどアントは近寄らないのではないでしょうか?」
「言われてみれば……世界樹の周りにはアントが現れることは無い」
「まだ推測の域でしかありません。しかし、可能性は高いと思っています」
「これは重大発見かもしれんぞ、皆の者、泉の水を持ち実験してくるのじゃ」
エルフ族の若者戦士達はダンジョン奥へと走っていった。
「ところでリュージ殿。世界樹の泉の件の根拠はなんだね……?」
「いや感ですよ。ヒントはケントくんの秘密基地です。ケントくんは敵陣に秘密基地を築いている。神殿はアントが住み着き侵略されてしまっているが、ケントくんの秘密基地は敵陣なのに無傷なのだ。不思議と思いませんか?」
「お兄ちゃん。秘密だったのに……」
バラしてしまった。
もう秘密基地とは呼べないな。
「ごめんよ、ケントくん。でも神殿奪還は君の活躍ということになる。勇者への第一歩として好ましい成績じゃないか!?」
「そうだね! 僕は勇者になる男だ!」
◇【~5分後】
「長老様~、すごいです! これは使えます!」
「ほぉ」
「彼の説に間違いありません。アントは世界樹の泉を嫌うようです」
「よーし! 皆の者。神殿へ水を引くのじゃ。次の襲来が来る前に水の神殿を完成させるのじゃー!」
「「「了解です!」」」
「あ、それとチョット待つのじゃ。ものには順番ってものがある」
「なんですか?」
「先に橋を直すのじゃ。あんな高いところから落ちるバカがでちゃ困るからな」
「そうですね~。そんなバカ居るとは思いませんが、工事は安全第一ですからね! 右よし、左よし、さあ作業始めるぞー」
ハイハイ。どうせ俺はバカですよ……。
◇
こうして神殿の修繕と、奪還作戦が始まった。
世界樹の泉から水を引くチーム。
神殿の隅々に水路を作るチーム。
そして、『落ちるな危険』の橋を直すチーム。
日本語になっていないかもしれないが、そこはイメージという事で。
なんなら看板も立ててもらったほうがいいかな?




