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第6話: 【1】クエストやりたい。

 ホーンラビットの狩りを終えた俺は、魔石を換金するために冒険者ギルドへと向かう。

 

 あの後コスプレ女が色々聞いてきたが、適当にあしらって追い払った。

 彼女には悪いが、俺は一人で狩りをする方が性に合っているのだ。

 それに気の強い女に振り回され、尻に敷かれるのはゴメンである。





 冒険者ギルドの前に来た俺は、再び立ち止まっていた。


「はぁ~、またここか……」


 嫌な予感しかしない。

 俺は魔石を握りしめ、いったん呼吸を整える……。



「よし! 行くぞ!」


 と、いきがった割りにはビクビクしながら扉を開ける。

 

 扉を開けるとおっちゃんはすかさずこちらを睨んできた。

 スキンヘッドで葉巻ををくわえた姿はマジで怖いです。

 

 しかしなんとしても魔石を換金し、竹槍を卒業したい!


 俺は目線をそらしながらも歩み寄る。

 ギルドのおっちゃんは怖いけれども、俺は勇気を振り絞って言った。


「あの、魔石の換金をしたいです!」

「ん、どこで盗んできた?」

 

 え~、そうなるのか……。

 

「いえ、ちゃんとホーンラビット倒して取ってきたんです」

「そんなわけねーだろ、冒険者学校も行ってないお前がどうやって取ったんだ」

 

 信じてもらえない……。

 

 どうしようかと悩んでいると、後ろから聞き覚えのある元気が良い声がする。


「――じゃっじゃじゃーん!」


 ウエスタンドアを勢いよく開けて登場するは、ドヤ顔がムカつくあの誘惑的女豹コスプレ女の姿であった。

 まさか俺をつけて来たのか? そんなわけないか。


「こんにちわ、ガルシアさん、もう――葉巻の吸い過ぎはだめよ!」

「お、君か……君にはまいったな……」


「その子、狩りで取ったのよ。わたし横で見てたし、一緒にもやったわ」

「そうなのか?」


 あのツルツル葉巻ボスを一撃で言いくるめるとは……。

 この女、ただ者じゃないな。


「えぇ、だから換金してあげて」

「おいボーヤ、わるかったな。換金してやるぜ」


 態度が一変し、おっちゃんの睨んでいた顔はもう無くなっていた。

 しかし、坊や呼ばわりは変わっていない。


「えーと、3,4,5……5個だな。……ほら報酬だ」


 数えてみると、たった500ゼルであった。

 竹槍を用意して、狩場まで行って、時間かけて狩りしたのにこんな金額。

 時給換算したら100ゼルぐらいか、アルバイトのほうが全然マシじゃないか。


「なんだ、どうした?」

「こんなに少ないとは……」


「これでもおまけしてやったんだぜ。ホーンラビットではこんなもんだ」

「で、ですよね……」


 予想以上の少なさに、俺はがっかりしていた。

 もっと強いのを倒さないとダメってことか。


「クエストでもやれば、普通の狩りよか、がっぽり入るがな」

「――クエストやりたいです! ――やらせてください!」


 何も考えず儲かるという言葉に反応し、俺は返事をしていた。

 とにかくお金稼いで武器を買わないと、だから何でもやってやる。


「ボーヤはまだダメだ。学校も行ってない、資格も無い、お前みたいな初心者にはクエストを出すわけにはいかない」


 またそれか、いまさら魔法学校なんて行ってられない。

 確かに俺が初心者なのは認めるが……。ところで資格ってなんだ?

 

「ねぇ、私がクエスト受けるわ! そして、この子を雇います。それなら問題ないでしょ? ほら……冒険者カードならあるわよ」

「君か、……それなら問題は無いが」


 おお、なんという救い(ぶね)。あなたは天使ですか!?

 ……あれ、何か忘れているような?

 俺はその何かを考えつつ、女の子のほうを見てみると……。


 ――『ドヤ顔』

 

 あぁ、思い出した。――この屈辱忘れるべからず。

 このままではこの女の言いなりになってしまう――ダメだ。この条件だけは()めない!


「なによ、その不満そうな顔は! ――私はあなたより強いし、美人だし、好条件だと思うの!」


 いや、だから! 美人は余計だろ!

 

「もし、引き受けてくれたら……私の大切なもの……あげるわ」

 (あげるわ...)

   (あげるわ...)

 

 何かいい響きが、脳を突き抜ける!




「これよ! 私の大切な物、でも成功の(あかつき)にはこれを差し上げてもいいわ」


 その手には、立派な剣がそびえ立っていた。

 

 ――ちょっと待てよ、それは見たことがあるぞ。

 これは! まさか、伝説の……。


「聖剣、エクス……カリバー」

「聖剣かはわからないけど。――良い物よ」


 聖剣、異世界、そしてクエスト。

 なんか、冒険らしくなってきたじゃないか!


「おっちゃん! 俺やるぜ!」

「そっか。じゃ、このリストからレベルに合うものを選びな」


「――ちょっと待って! もうクエストは決まっているの、――これよ!」


―――――――――――――――――――――――――――――――

 ラッキーベアー討伐【クエストランク:D】

 条件   : 2名で討伐(助っ人1名)

 基本報酬 : 20,000ゼル

 ドロップ : 不明

 出現場所 : ビソチア遺跡

 内容   : 召喚して討伐するのみ。

―――――――――――――――――――――――――――――――


 やりたいクエストは既に決まっていたようである。

 コスプレ女は依頼書をカウンターに叩きつけ、俺に同意を求めてくる。


「もっと簡単そうなやつからやらないのか?」

「武器欲しいでしょ? 最初にこれをクリアするの! これが私の条件よ!」


 ランクEとかFがあるのに、いきなりDランクからで大丈夫なのだろうか?

 しかしこれをやらないと、武器が貰えない……。


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