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2ノ第4話: 妖艶なダークエルフ。

【おきて~♪ おきて~♪】


 俺を誘惑するかのように脳内に響き渡る色っぽい声。

 この声は古代文明好きなオタク娘のマーガレットさん。

 そうやって俺を弄んでいるのはわかっている。


【そんな声、出さないでください!】



「リュージさん、おはようございます」


 この声は清楚で可愛いマリアちゃん。


「おはようございます。変態ご主人様」


 この声は俺の妹になった猫耳族のメアリー。


「リュージいつまで寝てるのよ! 今日は出発でしょ!」


 そして裸を見る前に気絶して見逃してしまったミリアだ。

 まあ、まな板を見ても興奮しないけどな。


 俺の朝はとても賑やかになっていた。

 これからこの4人で冒険が始まるのだ。

 

 しかしその前にやらなければいけない仕事が残っている。

 それはマーガレットさんを日本へ転移させるというミッションだ。





【リュージくん準備はいいかしら?】

【こっちはいつでもいいぜ】


 何を準備してるのか知らないが、マーガレットさんの準備が出来たようだ。


「ミリア、俺は用事すませてくるから、停留所で待ち合わせしよう」

「遅れたら承知しないわよ!」


【転送開始】


「行ってくるぜ! とぅ~!」

「リュージが消えたわ!」


 魔法ぽい演出を加えてみたがミリアにはどう見えただろうか。

 空間転移の真っ白から目がなれてくると、綺麗な女性が立っていた。


「だれ?」

「22歳、独身! 彼氏居ない歴22年。コスプレ美女よ」


 間違いない。これはマーガレットさんだ。

 見違えるような変装というかコスプレであった。

 ウィッグと衣装でこれほど変われるのか!?

 びっくりです。


「いいっすね!」

「もう私は大勢のオタクが待つコスプレ美女。アナタの物にはなれないわ!」


 アニメのキャラに成り切っているのでしょうか?

 マーガレットさんはキャラモードに入っているようです。

 こんな美人だと知っていたらお誘い断るんじゃなかった……。

 

 おっと、テレパSIMで聞こえたらまずい!

 無心になるんだ……。


【何黙ってるだわさ!?】


 マーガレットさんはテレパシーで語りかけてくる。

 そして顔を近づけてきては、俺を覗き込む。

 心を読まれないようにそっぽ向きながら本題に入る。


「そ、そんなことより早く始めようよ!」


【そんなに私とヤリたくなった?】


「ちがいます! 日本に帰るんでしょ……ハァ。というか、目の前に居るんだからテレパシーで語りかけるのやめてください!」


 俺を(もてあそ)んでいるに違いない。

 そういうのはもうやめてほしいものだ。


「それじゃまず、これに着替えるだわさ」

「えっ!?」


 どう見ても女性物のウィッグと衣装。

 俺に女装させるきか!?


「私を逃したと分かったら、アナタはキケンだわさ!」

「なんと!」


 ここまで来て後には引けない事をいいことに……俺はハメられたようだ。

 渡されたバッグの中身は重大なものが入っているようで、これを持って研究所を脱出せよという追加ミッションがさらに増えてしまった。



「それじゃスタートボタン押して」


 さっきまでの軽々しい感じは消え、重々しい雰囲気に変わる。

 異次元を超えて命がけで日本へ転移するのだから当然である。

 俺も気を引き締めて行かねばならない!


 コントローラーのスタートボタンを押すとマーガレットさんが『サガ(SAGA)・リターン』に吸い込まれるように消えていった。

 そして俺の視界はゲーム画面の中を映し出す。


 ゲームが始まると練習の時と感じが違っていた。

 気がつくとマーガレットさんを抱きかかえているじゃないか!


「リアルすぎる!」

「異次元空間で興奮して変なことしないでね」


 実体はここにあるのに異次元空間のマーガレットさんを本当に抱きかかえている感覚がしっかりと伝わってくる。そして……


「重い……」

「失礼だわね!」


 体重の問題じゃなく重量が増えた分俺のキャラクターの動きが鈍くなっているのだ。走る速度は遅くなりジャンプも高く飛べない。移動が遅いということはジャンプの飛距離はもっと悪くなるだろう。


「慣れる為に操作練習するよ」

「えっ、あの不思議な踊り、私を抱えたままヤル気なの!?」


 この重量での感覚を掴むため、俺は入念に操作練習を行った。


「おし、行けそうだ」

「私はもう目が回ったわ……」


「それじゃゴール目指して進むぞ!」



 ジャンプして石を飛んだり、細い丸太を渡ったり。

 運動能力が落ちて苦戦したがなんとかゴール地点にたどり着いた。


「よし! 到着!」


 ストーンヘンジのような石造りの柱が円形状に並んでいる。

 そのストーンヘンジの中に入ると中央から光の柱が湧き上がってきた。

 

「ここでお別れね。私はあの光に入って日本へ行くわ。ここまでありがとう」


 マーガレットさんにお別れを告げると光の中に消えていった。

 マーガレットさんを見送った俺はゲームを終了し現実に戻る。


 マーガレットさんは本当に日本に行けたのだろうか?

 うん、きっと行けたのだろう。


【やったわ! 帰ってこれた。間違いない! ここは日本よ!】


 なんと異次元空間を超えてテレパシーが俺まで届いている。


【それじゃ次はアナタの番ね、脱出ミッションスタートよ】


 今度は俺の番か。

 さて逃げるとしますか……。

 自慢じゃないが、逃げるのは得意だ。


【部屋を出たら右に行って突き当りを左、右、→↑←→……】

【ちょっと待て――コマンドみたいに一気に言うな!覚えられん】


 部屋を出ると広い廊下に出た。壁は白くまるで病院のようである。

 内部は女性だけだと言っていたが本当に女性しか見当たらなく、もし女装しなかったら一発でバレてしまったかもしれない。


 しかし、俺は思うんだ。

 

 ほとんどの人が白衣を着ている中、なんで俺だけ赤いドレスってどう考えてもおかしい気がします……。

 このほうが安全だと言っていたが、どう考えても目立ち過ぎだよ!

 マーガレットさんのセンスを疑うよ!


【失礼だわね! いいから進むだわさ】


 マーガレットさんの指示通り俺は廊下を進んでいく。


【先に言っておくけど、カミーラだけは気をつけて】

【誰だよ! そんな事言われてもわからないよ】


【ダークエルフはわかるでしょ? 妖艶な美女には気をつけてね】

【……。遅かった。前から来るのがその人のようだ……】


 今から隠れるのはかえって怪しまれる。

 ここはやり過ごすしか無い!

 目線は真っ直ぐ、そして自然に歩くのだ!


 ダークエルフと言われて俺はすぐにピンときたよ。

 鋭く尖った長い耳と、日に焼けたような肌でグラマラスな体型。

 ひと目見ただけでキケンな女だと俺のセンサーが警告している。


 しかし、あのボインボインに俺の目線はチラチラしてしまう……。

 今まで見てきた中でも、これは規格外だと俺の脳がざわめいている。

 そんな誘惑に負けず俺はなんとかやり過ごした。

 

 ――と思いきや


「ちょっと待て!」


 呼び止められてしまい、俺はビタッっと静止する。

 ボインボイン美女の命令に逆らえず、俺は動けないでいる。


 ゆっくり近づいてくるボインボイン美女。

 品定めでもしているかのように俺をじっくり観察している。


「見ない顔だな……」


 やばい、バレたのか?


「いいドレスだ。あの白衣の奴らにも見習ってほしいものだ」


【若い娘に目がないわ。お触りしてくるから気をつけて……】

【手遅れです……】


 もうケツ揉まれました……。


「よし合格! 行っていいぞ」


【よかったわ。気に入られたようね】

【複雑な気分です……】


【大事な持ち物から気をそらすための衣装だったのよ】

【俺のケツより大事な物だという事は認識したよ】


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