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2ノ第2話: 日本に帰りたい。

「危なかったわね」


 声が聞こえるが空間転移の影響により周りが真っ白で何も見えない。

 でもこの声には聞き覚えがある!


「マーガレットさんですか!?」

「そう! 22歳、独身! 彼氏居ない歴22年。そして処女だわさ」


 プロフィールが一つ増えてますね……。


 転送の光から目が慣れてくると、見たこと無い部屋へ飛ばされていた。

 ベットと机と、壁にはアニメのポスターが埋め尽くされている。

 よく見慣れたオタク部屋の光景である。

 そしてパソコンみたいな古代文明の遺物が机に設置されている。

 おそらくマーガレットさんの部屋なのだろう。


 そしてマーガレットさんは、俺を誘惑するかの如く背後から迫りくる。

 柔らかい感触がムニュっと背中に当たるのだ。

 

 転送で助けてくれた上に気持ちの良いお出迎えをしてくれるマーガレットさんに俺はお礼を言った。


「助けてくれてありがとうございます!」

「いいのよ。アナタは私の大切な人。私のお願い聞いて!」


 えっ!? いきなりの告白じゃないですよね……。


「な? 何のことでしょう?」

「私は日本(・・)に帰りたいの!」


「えっ~~~!?」

「あなたが転生者だってことはわかっているわ!」


「えっ~~~なぜそれを!」

「私が日本へ帰るためには、転生者であるアナタの協力が必要なの!」


 冒険者カード発行の時、マーガレットさんには怪しい目で見られていた。

 その時既に俺が転生者である疑いをもっていたのかもしれない。


 日本を知っているということはマーガレットさんも転生者なのか?

 しかし転生したならば肉体は違うし、日本に籍は無い。

 帰りたいということは、もしかすると『転移者』なのか!?


「全てを投げ捨てる覚悟は出来てるだわさ」


 ハーレム地獄のVIPルームから脱出できた俺は安心しきっていた。


 ところが!

 

 安心しているのもつかの間。

 俺はベットに押し倒されてマーガレットさんに犯されそうになっている。

 

「さあ、私を犯していいだわさ!」


 いやいや、あんたが犯そうとしてるのだろう!

 ベルトを外しズボンを脱がそうとするマーガレットさん。

 必死にズボンを掴み抵抗する俺。


「ちょっとマーガレットさん! 協力する! 協力するから!」

「ありがとう!」


 (あぁ、ちょっともったいなかったかな……)

 俺は何を考えているんだ。


「で、俺は何をすればいいんですか? ところで俺に出来ることなのか?」

「ええ。あなたなら可能のはず。散々調べてアナタのデータベースをのぞかせてもらったわ」


 古代文明の遺物で調べたのか。

 マーガレットさんならそんなことも朝飯前なのだろう。


「あなたの転生理由まではわからないけれど、この世界への転生候補者リストにあなたの成績、能力、生活態度まであらゆる情報が記録されている。それを見る限りあなたならやってのけると確信したわ」


 そういうことか……。

 謎は深まるが、俺の転生について有益な情報が得られた。


「で、俺は何をすればいいんだ?」

「これよ!」


 マーガレットさんは家庭用ゲーム機らしきものを取り出す。

 本体のケーブルがのびた先にはコントローラーが付いている。


「これは見たことあるぞ! なんて言ったかな~。転生前の記憶だな」

「さすが元ゲーマーね。でもちょっと違うの。これは『サガ(SAGA)・リターン』というのよ」


 似ている。でも違うものなのか。


「この中身は魔力で動く古代文明の遺物よ。この理論を応用して出来たのが家庭用ゲーム機ってわけだわさ」


 衝撃的事実を突きつけられた……。

 近年稀に見ぬコンピュータの発達はそういうことだったのか!


「で? これで何をするんだ?」

「そりゃ~ゲーム機ですもんやることは一つ、ゲームよ! 命がけの転移ゲーム! 前世のあなたの廃人的ゲーム能力で、私を日本へと導いてもらうわ!」


 聞くところによると、この『サガ(SAGA)・リターン』をプレイしてクリアすることで、日本の海底都市サガ(SAGA)を通じて日本へリターン出来るらしい。

 何を言っているのかさっぱりわからんが、とにかく俺はクリアすればいいらしいから深く考えないことにする。


「ゲームなら任せろ! って命がけなのかよ!」

「大丈夫。命をかけるのは私。あなたはゲームをクリアしてくれればいいだけ」


「俺にだってミスはある……そんな責任重大は無理だよ」

「もう5年もご無沙汰なの! 私はもう我慢できない。このチャンス絶対逃したくない。やらないなら死んだほうがマシよ!」


 そこまでして日本に帰りたいのか……。

 覚悟は出来ていると言っていた。

 家族に会いたいとか。恋人に会いたいとか。

 命をかけるに値する理由があるのだろう。


「そのゲームは練習できるのか?」

「出来るわ、驚くわよ」


 ゲームを始めるとクオリティーの凄さに驚かされる。


 一見VRゲームのようであるが、明らかに自分がその空間に居るかのように動くデームであった。

 ダンジョンの転送装置は自分が転送されて狩りをしていたが、このゲームは肉体の転送はされず意識でキャラクターを動かしていくリアルなVRゲームである。

 

 まず手を動かす。そして足を動かす。

 俺の目に映像が入ってくる。

 驚くことにその感触までが伝わってくるのである。

 まるで自分がそこにいるかのようである。

 

「これは凄い!」


 コントローラーを使って動かすのではなく、意識を送って操作しそのフィードバックは俺の脳へ直接戻される。


 キャラクターの運動能力は俺の運動能力を超えているようで、力もスピードもある。しかし、能力を超えて指示を出せば体は思ったように動かないし無理な力が入ってしまい痛みを感じる。

 物理の法則を超える無理な指示を出せば転ぶであろう。

 

 ゲームに比べたら重力や慣性まで存在する超難易度が高いゲームであるが、自分がそこに居ると思えば普通にやれそうである。

 俺はまずウォーミングアップとして走ったりジャンプしたり、感触を確かめるところから始めた。


「その不思議な踊りはなに。キモいわね」

「失礼な。操作練習だよ」


 このタイプのゲームはまず徹底的に操作に慣れる必要がある。

 とっさのときに考えなくとも反応しているレベルまでやらねば上位は目指せ無いのだ!

 あっ、これは対戦ゲームでもなんでもない。

 そこまで突き詰める必要もないか……。


「おし、それじゃそろそろ進んでみるか」


 ゲームの内容はというと、障害物競走でもしてるかのようにどんどん前に進むだけの単純なものである。

 操作に慣れた俺はあっという間にクリアしたのだ。


「まあ簡単だね」


 これが成功したら、マーガレットさんは愛を求めて旅立つ。

 

 俺のゲーム能力が人のために役に立つなんて思っても見なかった。

 前世でゲーム漬けの毎日を送ったかいがあったぜ。


「やった~~~! これなら……やっと『コミケ』行けるだわさ!」


 えっ! いまコミケと言ったような……?

 あのオタクの祭典であるコミックマーケットのことか?


 家族に会いたいとか、恋人に会いたいとか、そういう理由じゃないの?


 俺の聞き違いだよね……。


「今どこへ行くと?」

「コミケよ! なんか文句あるの?」


 聞き違いじゃなかった……。


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