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第38話: 仲間で分かち合いたい。

 ダンジョンを出ることに決めた俺たちは新たな冒険に向けて各々動き出す。

 昨日の決断から俺たち三人の絆は深く深く結びついた。

 そんな気がした。


「それじゃメアリー特訓よ!」

「はいニャ!」


 お掃除メイドだったメアリーも冒険者の道を目指す事となった。

 そして二人は秘密の特訓だと言って出発する。


「スッと行って、グゥーッっとやって、バァッという感じに、ガーンとキメるわよ!」


 昨日まで調子悪そうだったミリアは見る影もなく元気である。

 事態は良い方向へ向かっていると確信した!


 ところでどんな修行をするんでしょう?

 ミリアのことだから豪快にやるんでしょうね……。


「さて俺は何をしようかな?」


 今日の俺はいつになく気合が入っている。

 今まではまるで仕事でもしている気分であったが、今の俺は違う。

 お金を稼ぐというプレッシャーから開放され、狩りをするのが楽しいという気分が蘇ってきているのだ。

 もう節約生活なんて考えることは無い!


 節約なんて終わりだ。

 ガンガンアイテム使ってバリバリ暴れてやる!


「今日は『リカバリィタンD』2本いくぜ!」

「あらやだ、お盛んですね」


 いつもの如く受付娘のメディカルチェックを受けて狩場へソロで向かおうとする。が、……俺は思いついたんだ!?


 ――俺にはお金がある!

 ――そしてミリアが居ない!


「『今の俺は自由だ!』」


 たまには俺にもご褒美があっても良いんじゃないのか?

 

 (――よかろう!)


 ありがとう! 俺の中の俺!


「やりたいです!」

「な? なにを?」


 前から気になっていたのだ。

 無駄にお金使えないし、ミリアの前では頼みづらかった!!


「あ、あの……えっと……」

「はい?」


 狩りに来ると目に入ってくるこの看板。

 こいつがずっと俺を誘惑していたのだ。


「その……『魔力マッサージ。』やりたいです!」

「はい! ありがとうございます。3000ゼルになります」


 ドキドキワクワクである。

 俺は受付娘に連れられてメディカルルームへ案内された。


「どうぞ、こちらへ」


 魔力マッサージというのは一体どんなものなのだろうか!?

 マッサージなら気持ちいいのだろうけど、魔力と書いてあるからとても興味津々である。


「それじゃ始めますね!」


 えっ! 想定外です!

 こういうものは奥からオバサマが出てきてゴキゴキやられるのが定番と思いきや! ――まさかこの娘がマッサージしてくれるとか!?


 魔力マッサージが始まると、俺の体の中で魔力が流れ出す。

 これはマリアちゃんのヒーリングとほぼ同じような感覚である!

 それにプラス。指圧マッサージの合わせ技である!


「なるほど。魔力を使ってマッサージするんですね」

「そうですね」


 低周波マッサージとはまた違った、魔力波マッサージと言ったところか!?

 これは気持ちいい!

 今までこんな気持ちいいものをなぜやらなかったのだ!!



 『時を止まれ!!』


 『zzz...』



「はい! 終了です」

「えっ! もう終わり?」


 マジか! 俺の脳みそ。時が止まってた……。


「気持ちよさそうに寝てましたね」

「俺――寝てたのか――!」


 なんてこった~。

 こんな気持ちいいものが、気がついたら終わっているだなんて……。


 これは! もう一回イクしか!


「リュージ様、ライフゲージが溢れてますね」

「今日は2本飲んだからな! ――今すぐ減らしてきます!!」


「あらやだ、お盛んですね」


 ――俺は超高速で第2ステージへ飛び、無駄に突っ込み体力を削る。

 ――あっという間に3000ゼルを稼いだ。


「あら、お早いお戻りで……」

「お姉さん! また『魔力マッサージ』お願いします!」


「はい! ありがとうございます。3000ゼルになります」


 だんだん金銭感覚が麻痺してきた。

 だが今日はダンジョン最後なんだ、今を逃したらきっと俺は一生後悔する。


「それじゃ始めますね!」


 やべ~、気持ちいいぞ。

 また寝ちゃいそうだ……。


「Dモールは良いところですね」


 なんとしても眠らないように俺は喋りだした。


「そうですね、治安もいいし、ここは居心地がいいところです」

「犯罪とかもなさそうですもんね」


「それがですね、最近危ないらしいです」

「へ~、何があったんです」


「先程も公園で爆破事件とか起きたって噂です」

「公園爆破するようなヤツがいるのか!」


「それにですね、最近公園では夜中に出没する変態がいるそうです」

「えっ?」


「幼女にお金ちらつかせて連れ去っているとかなんとか……」

「えっ?」「えっ?」「えっ?」



 (俺は関係ない! 俺は関係…… 俺は……) 



 『zzz...』



「はい! 終了です」

「えっ! もう終わり?」


 またやっちまった!


「気持ちよさそうに寝てましたね」

「……」


「変態ご主人様、目が覚めたニャ」 「いいご身分だわね……」


 修行を終えたミリアとメアリーが横に立っていた……。



「おわた……」 俺は灰になったぜ……。

 全てが終わった……。

 ダンジョン最後の思い出は、夢の中に消え去った。


 こっそり贅沢……悪いことはするもんじゃないっすね。


「ミリア俺が悪かった! なんでもする! 許して」

「うん、許すわ!」


「おっと?」

「だって私たち仲間じゃない!」


 ついに! 奴隷→友達→仲間!

 俺はついに仲間まで昇格しているじゃないか!


 メアリーが来てから本当に流れが変わった!

 女なんて不要だ。仲間なんて不要だ。

 なとど考えてたが心改めねばならない。


「俺たちは仲間だ! 仲間って言うのは助け合うもんだよな!」


「リュージ~!」 「ご主人様~」


 ミリアとメアリーは俺によってきてはしがみつく!

 昨日の決断から俺たち三人の絆は深く深く結びついたのだ!

 俺は涙が出そうである!


「――君が仲間のリュージくんかね?」


 突然現れたのはDモールの警備員である。


「ごめんリュージ! 公園破壊しちゃった!」


「ご主人様。やっちまったにゃ~」



 俺たち仲間は、公園の修理代を仲良く分かち合ったのである。


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