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第35話: 幼女お持帰りしたい。

 第3ステージで挫折感(ざせつかん)を味わった俺達は、アジトに戻り反省会を開いている。


「今の俺たちじゃ第3ステージは厳しいね」

「そうね...」


「マリアちゃんが居てくれたらなー」

「そうね...」


「マリアちゃんならあのウイッチアントを倒せるかも」

「そうね...」


 しかしマリアちゃんは冒険者カードを持っていない。

 今直ぐには無理な話である……。


「はぁぁ~」


 俺とミリアは息ぴったりのため息をコーラスのようにハモっていた。


 俺も挫折しているがそれ以上にミリアは落ち込んでいるようである。



「さて、それじゃ寝るか!」

「そうね……、寝ましょう」


 俺は素早くベットに飛び込みミリアにお願いをした!


「――さあミリア! この手錠で俺を固く固く結んでくれ」

「あんたって変態ね」


 そう言ったミリアは、俺を見ているだけで今日は手錠で結ぼうとする気配が感じられない!?

 

「えっ! お仕置(おしお)きはもう終わりなのか?」

「リュージ今までごめんね。ひどい仕打ちをしていたわ」


「平気だよ! むしろやってくれよ」

「リュージ、今日はありがとう……」


「なんだよ急に……」

「助けに来てくれて……嬉しかったわ」


 第3ステージでミリアを見捨てずに助けたことか。


「そうか」

「ありがとう。だからもう、お仕置(おしお)きは終わり!」


 なんだとっー! 結んでくれないのか~!


「イヤでも、男女がひとつ屋根の下で暮らしているんだぞ!」


 そうだ、俺は妄想癖がある危険な男なんだ。



「……あなたを信じてみるわっ」


 なんだとっー!

 いやいや、俺は(ゆる)されたのだ!

 (よろこ)ばしいことではないか!?


 う~ん、なんか嬉しさと寂しさが同時に襲ってくる……。



 こうして『自由』と言う名の、長い夜が始まったのである……。





「うぅ~、だめだっ!」


 俺はベットで就寝するも左右に寝返りをして落ち着かないでいる。

 固定されていない事がこれほど落ち着かないものなのか!


 いつまで経っても眠れそうにない……。


 まてよ! 俺はもう『自由』なんだ!

 外に出てなにしてきても許されるのだ。


「夜の外出じゃ~!」


 眠れない俺は夜のDモール(ダンジョンモール)徘徊(はいかい)した。

 Dモール(ダンジョンモール)は夜になるとほとんどのお店がしまっており、あたりも薄暗く人気(ひとけ)がほとんどなくなっている。

 

 しかしそんな夜の街並みを徘徊(はいかい)するのはなかなか良いものである。


 薄暗い街並みを歩いていると煌々(こうこう)と光るお店が現れる。

 それはDモール(ダンジョンモール)内に1店だけあるコンビニである。

 

 生活するうえで24時間営業のコンビニは非常にありがたいお店である。

 そんなコンビニの横には小さな公園が隣接(りんせつ)されており屋根付きのテーブルや遊具が設置されている。


 俺は公園で一休みすることにした。


 すると公園のテーブルに小さな少女が寂しそうに座っていることに気づく。

 子供のような仕草(しぐさ)で足をブラブラさせ、地面に届かない赤色の靴は(ちゅう)()うようである。


 まさかとは思うがなんとなくメアリーに似ている気がする。

 気になった俺は声をかけてみた。

 

「君!?」

「ぎゃー」


 驚いた少女はテーブルから飛び上がりあっという間に屋根上に登った。

 この身のこなしには見覚えがある!


「メアリーじゃないのか?」

「あっ! 夜を徘徊する変態(へんたい)ご主人様」


 そう言ったメアリーは屋根上から飛び降りてくるのであった。


 今思えば前にもこんな事が『()った』気がする!?

 そうだ裏庭の竹藪(たけやぶ)で、『空から降ってきた少女』だ!


『ドカン』


 俺は飛び降りたメアリーを受け止めた。


「そう言えば昔にもメアリーに会ったことあるよね」

「そうかにゃ? 覚えてないにゃ」


「ところでメアリー、こんなところで何しているんだ? もうこんな時間だぞ」

「ここで夜を明かそうと思ったにゃ」


「家に帰らないのか?」

「家は無いニャ……!」


 俺はまずいことを聞いてしまったのか……?

 家なき子。いや、家なき子猫じゃないか。


「宿に泊まらないのか?」

「お給料が入るのは1ヶ月後だにゃ、それまでは我慢だにゃ」 


 前世のときニートな俺も働いたことはある。

 お金が無い上にお給料が入るまでの厳しい日々は今でも忘れられない。

 可哀想だ……俺にはわかる、その気持……。


「俺のアジトに来ないか? 部屋はあまっているんだ。自由に使ってくれて構わない。それとお給料は日払いにするよ」

「えっ! いいのかにゃ? いいのかにゃ?」


「もちろんだ! むしろ大歓迎だ」


 俺は手を差し伸べ、メアリーの手を引いてアジトへと向かった。

 人助けと言うのはなかなか気持ちのいいものだ。


 (けっ)して! 可愛い猫耳の誘惑に負け、ナンパしたくなったなどという(よこしま)な考えではないのだ!


「それじゃお金渡しておくね」

「ありがとうにゃ、うちを飼ってくれてありがとうにゃ」


「誤解される発言やめなさい!」

「はいニャ、変態ご主人様!」


「メアリーちゃん……」



 こうして俺のアジトに猫耳メイドさんが住み着くようになったのである。


 【赤い靴、履いてた女の子、リュージさんに連れられていったのさ】


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