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第33話: ドーピングしたい。

「美味しかったわね」


 楽しさのあまりに一日中狩りをしていた。

 気がつくといっぱいのお金を稼いでいたのである。

 

 俺たちはレストランで美味しい料理を食べてお腹いっぱい膨れ上がっていた。

 お腹も、懐も、両方膨れているのだ。

 まさに俺たちは順風満帆(じゅんぷうまんぱん)である。


「で、ミリア先生。その両手に持っているものはなんだね?」

「おみあげのケーキ。ちゃんと1個だけにしたわ!」


「じゃなぜ両手が必要なのかね?」

「こっちがわたしの分で、こっちがメアリーちゃんの分。私は1個だわよ」


 おいおい誰の支払いだと思っているんだ!

 『お一人様1個までとさせていただきます。』を、「2人居るからいいよね」みたいな理屈で俺の財布を減らすな! ハチャメチャだよ!


 まてまて~!

 

 そもそもレストランの中で1個食べたから、それは2個目ってことだろ!

 と、ツッコミ入れたいところだが、今日は気分がいいから細かいことは気にしないことにしよう。



「ねぇ、ねぇ。次にアイテム屋行きましょう!」

「何買うの?」


「あれだけダンジョンに籠もるなら回復アイテムとかも用意しましょ」

「おっ! そんな物があるのか。行こう行こう」


 アイテム屋には様々なアイテムが売られているが。

 狩りの必需品として回復アイテムが売れ筋商品であった。

 そんな回復アイテムを眺めていると……


 『リカバリィタンD』 【あなたの魔力がミルミル回復しちゃいます!】


「すごいなこれ、本当に回復するの?」

「気休め程度だという人も居るけど、効いているという人は多いわ!」


 さらにキャッチコピーは【魔力ハツラツ! 夜もバッチリ!】なんだか心惹かれるワードである。


「気に入った! 俺、これにするよ!」

「あなたって人は……」


「ミリアは何にしたの?」

「わたしはこれ」


 『コラーゲインZ』 【傷もなんのその! あなたのお肌がミルミル再生しちゃいます!】


 女子が買いそうですね……。





 回復アイテムを仕入れた俺たちはアジトへと戻った。


「この回復アイテムがあればお昼休憩もしないで一日中狩りできるかな?」

「やる気満々ね」


「これを続けたら俺たち裕福な生活が送れるね」

「そうねー、でも次は第3ステージ行くわよね?」


 第2ステージであれだけやれた俺たちならば、第3ステージも余裕でクリアできるかもしれない。そうなればさらに高収入が期待できる!


「そうだね! ミリアの行くところ、どこでもついて行くぜ!」

「それじゃ、ついて来て!」


「どこへ?」

お 風 呂(・ ・ ・)


 なんと! こんなことが遭っていいのか!

 (俺の妄想が全力疾走で天まで登る~)


「ミリア! ちょっと待て、その前に『リカバリィタンD』を飲ませてくれ!」

「いいから、早く! 私は我慢できないの!」


 服も着たまま俺はミリアに手を引っ張られてバスルームに連れ込まれる。


 俺はこういう事は初めてだから、どうしたらいいのかわからない。


「何から始めればいい?」

「綺麗に洗ってね♪」


 スポンジと洗剤を手渡されると、ミリアは浴槽を指さす。

 声はすごく穏やかであるが、ミリアの表情は非常に怖い顔をしている。

 変な期待をしてしまったこの有り余るパワーを、俺は浴槽へ向けゴシゴシと洗い始める。

 

「うぉぉぉ~! 喜んで洗わさせて頂きます!」

「もう! お風呂に入ったなら、ちゃんと洗ってよね! 今度忘れたらお仕置きよ」


「ハイ! ミリア様」


 どんなお仕置きなのか気になりつつも俺は浴槽をピッカピカに磨いた。





「おやすみなさい」


 お風呂掃除を終えた俺は早めの就寝についた。

 

 楽しいダンジョンを狩りして、うまいものをたらふく食って、浴槽を洗う!

 なんと充実した一日であろう。


 そして充実した最後のシメは、彼女(ベット)との就寝である。

 もちろん俺とベットは手錠で結ばれている。

 何人(なんびと)たりとも俺たちの仲を邪魔することなど出来ないであろう。

 

 こうして清々しい朝を迎える。

 

「おはようごじゃいますニャ。変態ご主人様」

「メアリーちゃんおはよう」


 朝にこのアジトのお掃除をしてくれるメイドのメアリーである。


「今日もバッチリお掃除しましたにゃ」

「お風呂も洗っちゃったのか?」


「はいニャ!」

「そうか……」(残念だ...)


 俺はお風呂掃除が好きになってしまったのか!?

 思わず俺は奇声を上げそうになる――


「わぁーーー!」


 違う! この奇声はミリアである。

 脅かすように声を上げ、メアリーの背後へ襲いかかる。

 正面で見ていた俺も気が付かないぐらいの狩猟スキルでメアリーをギュッと抱きしめている。

 

「メアリーちゃんカワイイ!! わね~」

「びっくりしたニャ。」


「メアリーちゃん一緒にケーキ食べましょう!」

「いいのかにゃ! ワーイ」


 ふと思ったが、メアリーはすごい癒やし効果を与えてくれる気がする。

 メアリーが居るだけで場の空気が和みほんわかする。

 俺とミリアだけではこうはならないはずだ。


 メアリーが居てくれたなら、きっと俺へのお仕置きも減ってくれる。

 ……そんな気がする。

 

「ご主人様の分はないのかにゃ?」

「俺は要らないよ。俺にはこの『リカバリィタンD』があるからね」


「朝からお盛んだニャ!」


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