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第27話: 漫才したい!わけじゃない。

「ありがとう……」


 俺とミリアはダンジョンへの旅にでた。

 そんなミリアが突然お礼を言ってきたのは試験官の件であろうか?

 ミリアの為というよりはニコラスさんの為に行動した結果、こうなってしまったというのが事実ではある。

 もしニコラスさんの件が無かったら俺は不合格を拒まず受け入れ、のんびりとした学園生活を送っていただろう。

 

 はじめは嫌がっていた学園生活だが、今は満更でもないと思えた。

 決してマリアちゃんともっと一緒にいたかったからだけではない!

 マーガレットさんの誘惑……

 

「えっ? マーガレットさんの誘惑に負けずにミリアを選んだことか?」

「わたしをからかっているの? もう彼氏役は終わったんでしょ!」


 ですよねー。


「うん、マリアちゃんが変なこと言うからさ、仕方ないじゃないか」

「ほんと……あなたのせいで台無しよ!」


 良い事したのか悪い事したのかわからなくなってきた。

 それに俺だけが悪いのか……?

 最善の選択をしたはずだったが……ニコラスさんも喜んでくれるはず――

 

「リュージ何か隠してるでしょ?」


『――ビクッ』


「何にも隠してないし、ニコラスさんから何も言われてないし」


 あっ()! しまった。


「えっ? リュージ、パパにあったの?」

「いや……その……」


「何言われたの!!」

「……ミリアを頼むと...」


 隠し通せそうにない……。

 俺、結構嘘つくと顔に出るタイプだから、いま嘘をつくのはまずい気がする。


「そうなのね……」


 地雷原に不用意に入り込んでしまった俺が悪いのだが、避けられない地雷を踏んだようです。

 ミリアは悲しそうに落ち込んでいる。


 話題を変えよう!

 

「あ~、そういえば、ダンジョンってどんなところなんだろう……ね?」

「……」


 うわっ~。無反応です。


「今日終わったら、ケーキでも食べにいこうかね?」

「……」


 ケーキが負けました。

 あれだけケーキ好きだったのに、これが通用しないんじゃもうダメだ。


 諦めた俺はブツブツと独り言を言い出していた。


「ダンジョンに冒険者カード発行の本部があるとか、謎だわ」

「……ダンジョンは、お店から宿から何でもそろっているわ」


 意外なところで反応するんだな。


「店がいっぱい? モンスターはどこに行ったんだ……」

「モンスターは転送装置で狩りにいけるわ」


 わけがわからない! 転送装置だと? それじゃまるでゲームみたいだ。

 俺の――俺のダンジョンイメージが、壊れてゆく――。


 そう言えば異世界のダンジョンと言ったら、洞窟が何故か明るかったり。

 中に森が広がっていたり。下手すりゃ太陽まで存在することだってあったかもしれない。

 俺の持ってきたテントとタイマツはどうなるんだ……。


 まてよ~。そうなると奥へ進めば定番の温泉なんかもあるかもしれない!

 ダンジョンで混浴!!


「ワクワクしてきた! ミリア急ぐぞ!!」

「そんなに急がなくても、もうすぐよ」


「ダンジョンまで競争だ!!」

「ちょっと!」


「オレに続け!!」

「リュージ、そっちじゃ無いわよ!!」


「あれ? そうだっけ?」

「もう、おとなしくわたしに着いてきて!」


 怒られました……。





 ミリアの先導でダンジョンの入り口にたどり着いた。

 まるで尻に敷かれているように見えるだろうがここからは違うのだ。

 修行をして俺は強くなっている。

 ここからは俺の先導でダンジョンを攻略してゆくのだ!


 さあ、『ダンジョンへ突入』だー。


「――ちょっ、ちょーっと! ミリア待ってくれよ!」


 ミリアまるでハイキングでもしているかのように、無警戒で武器も構えず平然と進んでゆく。

 たとえ入り口は危険じゃないとしても、夢にまで待ったこのダンジョン突入の瞬間を、こんな簡単に終わらしてよいはずがない!



「なによ、中に入らないの?」

「ダンジョンへ突入するときは、こうなんというか、掛け声とか、『突入だー』とか、何かやらないのか!?」



「どう~ぞ、勝手にやってください!」


 ショボーン。 ひどい、ヒドすぎる!

 

 ……しかたない。こうなったら一人でも勝手にやってやるぜ!



「つらくきびしい旅の果てに、俺達はダンジョンへとたどり着いた!」

「えっー、そこからなの――!?」


「思えば長い道のりだった……」

「歩いて1時間でこれるけどね」


「――ち、違うよ! ――道のりってのは街からの距離じゃなくてさ~!」

「ハイハイ、勝手にやってください」


 おし、改めていくぞ。


「そう、そう、魔物の襲来に俺たちの町は危機に瀕していたのだ」

「話盛りすぎだわ。てか、進むどころか戻ってない?」


「俺は決断した!!」

「もう~、先に行くわよ! ――私も決断するわ」


 俺を置いて先に進もうとしているミリアを強引に抜き、ミリアに決め台詞を決めてやった。


「――ちょっ、ちょーっと! 待ってくれよ。行くぞ、新入り! オレに続け!」

「『プフッ。』 ハイ、ハイ」


 笑うところじゃないんだけどな……。

 

 どうも今日のミリアは調子が狂う。いつもなら真っ先に「やー!」とか言って後先考えず突っ込んでいくくせに。

 

 と言っている間に、ダンジョンの入り口に入ってしまった。


「この先俺たちに、一体どんな運命が待ち受けているのだ!?」

「まだ、話続くのねw」


 調子がのってきた俺は、細い通路をどんどん先へと進む。

 通路は細く狭く、数メートル続いている。……意外と短い。

 その先には大きな空間があるようだ。

 細い通路を抜けると、想定外の光景が広がっていた!?



 それはまるで、『巨大ショッピングモール』のようだ。



「――俺のダンジョンを返せーーー!」


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