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第1話: 前世の記憶。

はじめまして。こんにちは。

おかげさまでいつの間にやら160,000文字も書くことが出来ました。

小説慣れしてなくて過去の文章とかなんか恥ずかしいんですよね。

特に第1章とか……。


読むには長すぎるなと思った方には、ぜひ第2章から読んでいただければ、私も救われます(謎


「冒険がしたい!」


 俺は冒険の旅へと走り出したのだ――。



◇◇◇


 さかのぼること3時間前。


◇◇◇



 裏庭の竹藪(たけやぶ)で、竹を伐採していたときのことである。

 竹の生命力は他に類を見ないほど精強(せいきょう)で、俺の庭を(おびや)かしてくる。そんな竹との戦いの日々は俺の日課になっていた。

 

 地味な戦いだなと思われるかもしれないが、俺にとっては領土合戦と言う名の戦争である。

 野望も欲望も無い地味な俺には、このぐらいが丁度よかった。


「俺の人生ってつまらない?」


 そして最後の1本を伐採しようとしたその瞬間――。

 運命の歯車は動き出したのである。

 

「ぎぃゃぁ~」


 上空から悲鳴のような叫び声が聞こえる。

 なぜ上空から悲鳴が聞こえるのか不思議に思いつつも、俺はとっさに上空を見上げると『空から少女』が降ってきたのである!?


 ありえない状況に困惑したがあの高さから落ちたらタダでは済まない!

 ――そう思った俺は必死に受け止めようと両手を広げた。

 

 小さい少女は背を地に向け手足をバタバタとさせ落下してくる。

 もし頭から落ちたら大変なことになると思った俺は、受け止められなくとも体を張ってクッションになれば――。と反射的に行動していた。


 落下地点に入り身構える俺。

 

 ――すると少女は体をひねり出し回転をしながら空中で着地体勢を取る。

 見事な直立姿勢である。


「なにー!」


 お姫様抱っこ的なキャッチングを想定していた俺は、もうそれが叶わぬことを悟った。

 少女の足は見事に俺の顔面を捉え着地したのだ。……見事な着地でした。


 これはかなりの高得点が出るでしょう。

 あれは後方伸身2回宙返り3回ひねりの見事なドロップキックでH難度の大技であったことは覚えている。

 

 だが、その後のことは覚えていない……。


 どうやら俺は倒れ込み意識を失っているようだ……。





 しばらくして意識を取り戻すと俺を覗き込む少女の姿があった。

 そして俺は変なことをいい出していた。



「俺は生きていたのか? 山から落ちた時はもう助からないと思った」



 俺は山登りの最中に崖をよじ登るも滑落し地面に落ちた。

 ん? この記憶に間違いはない。紛れもない事実である。

 

 ――おかしい!

 

 ここは山などではない! なぜ山などと言う言葉が……。


「ここはどこだ? 早く家に帰らないと」


 あれ? 俺は裏庭に居たはず……。

 

 この時俺は、生まれる前の記憶であることに気がついた。

 止まっていた前世の記憶が動きだしたのである。

 今の記憶を上書きするかのように前世の記憶が支配し始めるのだ。



「頭打っておかしくなったのかにゃ?」



 俺がおかしい? ……そうだな、たしかにおかしい。

 この少女はたしか空から降ってきて……。

 そうだ、キャッチに失敗して俺は頭を打ったんだ!


 その衝撃で前世の記憶が蘇り、いま俺は混乱している。



「大丈夫だ。……大丈夫じゃないけど、大丈夫だ」



 少女を見ると、赤い靴は履いた可愛らしい少女で、身長は138cmといったところか、かなり低いように見える。

 

 なぜこんな少女が竹の上によじ登っていたのだろう……?

 というか、こんな少女がどうやってあんなに登れるんだ?

 何か不思議な違和感を感じ、俺は質問攻めしたい気持ちが湧き上がる。


「あの!?」


 俺が質問しようとすると少女は逃げるように走り出す。

 その走り方は独特で、スタスタスタと歩いているかのように軽やかなステップである。

 

「ちょっとまってー、色々聞きたいことが」

「だめにゃ」


 逃げる少女を俺は追いかけた。

 

 逃げる少女に追いかける俺!

 まるで俺がストーカーのようだが、俺は単に質問したいだけなのだ。


「そこの変態! 止まりなさい!」


 突然俺の目の前に美少女が割り込んできて剣を突きつけてくる。

 その剣先の狙いは的確に俺の喉仏(のどぼとけ)に照準を合わせている。


 両手を上げ抵抗の意志は無いと見せつつも、美少女の姿に違和感を感じた俺はすぐさま質問をしたのである。


「その格好は……コスプレですか?」

「なによコスプレって、あんた何言ってるの?」


 短いスカートにおへそが見えるルックス。

 そして先端の鋭く(とが)った細見の剣を持つ、長めの髪の美少女。

 これが普段着の訳がない、コスプレに決まっている。

 

 あれ、剣は本物なのか? どう見ても偽物には見えない……。

 

「君、それ銃刀法違反だよ」

「はぁ? あんた何言ってるの?」


 俺は前世の記憶と今の記憶が混乱していた。

 よく考えたら今まで生きてきた光景となんら変わりがない気もする。

 しかし、前世の記憶が全面に出てきてしまい、その姿に違和感を感じたのである。前世ではコスプレやアニメでしか、こんな姿を見たことがない。


「俺は変な人じゃないです、ないです」

「悲鳴が聞こえて来てみれば、幼女追っかけてる男……。よく変じゃないと言えるわね? しかもわけのわからない言葉を使うし」


「誤解なんだ……。とにかく俺は帰るよ。もういいだろう?」

「まあいいわ。私にも近寄らないでね!」


 いったい今日はなんなんだ……。

 少女にドロップキック貰うわ、そして前世の記憶が蘇るわ、コスプレ女に脅かされるわ。



 とにかく記憶の混乱が激しい。

 まずは記憶の整理をしないとこのままではまずい。

 

 俺は今までどんな生活をしてきたのだ?


「う~ん」


 思い出というものがあまり無いきがする。

 特に何をするでもなく平凡に毎日をすごしていた。

 

 そうだ、俺に家族は居ない。しかし親はこの家を残してくれた……。

 小さい頃に親が居たことは明白なのだろうけど親の顔を知らない。

 生きているのか死んでいるのかすらわからない。


 家の間取りは1LDKの小さな一軒家で、とても家族が住んでいたようには思えないし、親の私物等も見当たらない。

 うんこれは、現世。今の記憶で間違いない。


 10年は養護施設で育ち、その後は自立しアルバイトをしながらここで平凡な暮らしを5年間送っている。

 うん、これも間違いない現世の記憶だ。


 今思えば、なんと質素な生活をしていたのだろう……。


 こんなんでいいのかな……なにか違うような……う~ん。


「なにかしたいな……」


 俺は15年間生活していた街並みを見渡した。

 いつも見ていた光景なのになぜか新鮮さを感じている。


 まるで異世界に転移したのではないかという錯覚を感じるのだ。

 

 中世の街並みにコスプレをした美少女。

 ツルギを掲げる冒険者たち。

 

「冒険者?」


 そう言えば町の外はどうなっているんだ?

 町の外にはモンスターが居るから危険だと言われ俺は町を出たことがない。


「モンスターだと?」


 考えてみればここは前世で遊んだゲームの世界に似ている!?


 こんなワクワクドキドキの世界で俺は何してたんだ……。



 そうだ、俺は『冒険がしたい!』



 たしかダンジョンがあった気がする!

 ダンジョンに行ってみたい!!


「こうなったら今すぐ出発だ!」


 俺は走り出した!

 

 ――俺は走る――走る――走る。「で、ダンジョンってどこ?」


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