自ら進む道
予約投稿がうまくできているのか不安ですが
上手くできていればこれ以降数話が一日ごとに投稿されているはずです
「そうですか...」
「なんだかうれしそうですね」
「いや、別に。何でもないのですよ。それより、カイト君、もう魔法はいいのですか?」
「はい、魔法は使えるということだけで十分ですから」
「そうですか、では、唐突ですが私のお願いを聞いていただけますか?
「もちろんです、俺にできることであれば?」
「その道、良ければ最後にカイト君の師匠らしいことをさせてください」
「師匠らしいこと?」
「はい、これを」
先生は銀色の懐中時計を取り出した
「先生、これは?」
「懐中時計なのですよ?初めて見ましたか?」
「いや、違いますよ、どうして懐中時計なんかを?」
「これは無限の懐中時計といって、決して止まることなく時を刻み続けるマジックアイテムなのですよ」
「マジックアイテム?ですか」
「はい、錬金術で作ることができる特殊な効果を持ったアイテムなのですよ。それに、このアイテムにレシピはありません。亡くなった私の師匠が原型を作り私が完成させました、言ってみれば世界でたった一つのオーダーメイドというわけなのです」
「ありがとうございます、でもどうして?大切なものなのでは?」
「私は今までたくさんの人に錬金術を教えてきたのですよ、でも、今まで教えた誰よりも、センスがあるのですよ。」
「そんなことないですよ」
「いいえ、そんなことあるのですよ。初めてシュトゥルムアイゼンを作ってみて、インゴットの形で作れる人はカイト君が初めてなのです、かくいう私も初めて作ったときはぼろぼろの粒状でしたから、カイト君はきっと私よりも立派な錬金術師になるのですよ。だからきっとこの懐中時計を活用できると思うのですよ。」
絶対にそんなことはないとは思うが先生にそう言ってもらえるのはたとえ嘘でもうれしいことだ
「それに、師匠は昔から旅が大好きな人でした、きっと旅を便利にするためにこれを作ったはずなのですよ。でも、完成を前に亡くなってしまいました。この時計も旅をしながら時を刻むことを望んでいると思うのです」
先生の気持ちをむげに断ることはできなかった
「では、錬金術の応用編を始めましょうか」
「唐突ですね」
「はい、聞きたいことも聞けましたし、渡したいものも渡せましたから。あとは卒業までに私の持っている技術技能を少しでも多く習得してくれれば私は師匠として、一個人といて満足なのですよ」
「ところで、いつから俺は先生の弟子になったのでしょうか、弟子入りを志願した覚えはないのですが...」
「カイト君が錬金術を教えてほしいと私のところに来たときからなのですよ、カイト君に自覚はなくとも私にとっては大切な弟子なのですよ」
「なら、師匠と呼んだほうがいいですか?」
「やめてください、くすぐったいのですよ。先生のままで大丈夫なのです」
「そうですか...師匠って呼んだほうが箔が付くと思うんですが」
「私、そういうのはあまり得意ではないので...」
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