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二度目の入り口、そして分かれ道

二度目の初めましてってなんだかいい言葉な気がします

「反応がなくなりましたね...釜の中身を見てみましょうか」

イーリア先生はそういうが、体が動かない

誰しも夢が、願いが打ち砕かれるのはつらい、それが二度目ともなれば尚更だ

「怖いのはわかるのですよ?今まで、何度も同じ光景を見てきました、いい結果も悪い結果もどちらもいやというほど見てきましたから...

でもこれは一種の試験なのですよ。自らの結果は自らの目で、自らが一番に確かめる責任があるのですよ、結果はどうあれ、カイト君はとても良く頑張ったのですよ、だから、その結果に胸を張ってほしいのですよ」


俺はその言葉を聞き一歩、また一歩と釜へと歩み寄る

そして、釜の中を覗き込む

釜の上部には白いもやがかかり底が見えない

釜の中に手を入れてみると、どうやら錬金水が少量残っているらしくひんやりとした感触が指に伝わってきた


「初めてシュトゥルムアイゼンを作ったとき錬金水が残るのはよくあることなのですよ、釜の底をよく確認してみてください」


釜の底を念入りにかき回す

失敗。という二文字が頭をよぎる

また、道が断たれた...

そう思った瞬間

指先に固い何かが当たった

固いものの正体を探り当て、釜から取り出す


感触の正体は、イーリア先生のものほど透き通った色ではなく、大きさも小ぶりで形も整っていないが緑色をしたインゴットだった


「先生...これは?」

「おめでとう。なのですよ、それは紛れもなくシュトゥルムアイゼンなのですよ」

「それじぁ...俺は?」

「はい、錬金術師の卵なのですよ、ようこそ錬金術の世界へ、カイト君の門出をお祝いするのですよ~」


あいも変わらずおっとりとしてはいるが、心から祝ってくれているのが分かる


「先生。ありがとうございます」

「まぁ、実のところわかってはいたのですけどね」

「はぁ!?」

「私も一応は特級錬金術師、人を見る目はそれなりにはあるのですよ?」

「えっ?」

「言ってませんでしたっけ?」

特級錬金術師とは国が認める錬金術師の中で最も位が高い錬金術師であり、そのくらいにたどり着けるのはたった一握りのものだけだ

確かに腕のある錬金術師だということは聞いていたが....

「初耳なんですけど?」

「それは失礼しました、うっかりしてたのですよ」

まぁ、過ぎたことは気にしても仕方ない、それに、理由はどうあれ、先生は俺のことを信じ俺にいろんなことを教えてくれた

そして、俺は錬金術師の卵として新たな道を歩むことができる

それで十分だ



「では、さっそくではありますが、カイト君のこれからについて少しだけお話をしなければならないのですよ」

「これから?」

「はい、はれて錬金術師の卵となったカイト君ですが、これからどうするのか、もちろん、私のように、錬金術の道を進むのか、それとも、別の道を進むのか、についてです」

「どういうことですか?」

「もしも、カイト君さえよければ、このまま錬金術の道へ進んでほしいということです」

「もちろんそのつもりです、もう、この道しかありませんから」

もちろん最初からそのつもりだった、魔導士として生きていくにはあまりにも力が弱すぎる

だが、錬金術ならば、何とかなるかもしれない

最初から俺に進むべき道は1本しかなかったんだ

今回から数回、時間予約で毎日投稿となります

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