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妖霊退治忍!くノ一妖斬帖  作者: 辻風一
第四話 対決!雷音寺一門
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雷音寺獅子丸

「これで二勝だ!」

「我が一刀流の勝利だっ!!」


 中西道場の竹刀派・木刀派の門弟たちがいがみ合いを忘れて勝利に喜ぶ。


「いや、待たれい……すでにそちらの門弟二人を当方の剣士が倒している。すなわち、二勝二敗の引き分けでござる……次の仕合で雌雄をつけようではないか!!」


 雷音寺が大音声で叫んだ。確かにさきに山崎と太田黒が河馬山と五里に倒されていた……


「なにを莫迦な……」

「屁理屈だっ!」


 榎本鍋之助ら門下生たちが騒ぎ立てる。中西忠蔵がそれを押しとどめた。


「なるほど……たしかにそうである。では次の仕合で真の決着をつけようではないか」


「ぐははははは……話がはやいっ! 次はわしがいく!」


 巨躯剛力で唐獅子のごとき面相の雷音寺が前に出た。


「では次は……」


「次は道場主殿を所望しょもうじゃ!」


 中西忠蔵子武をさえぎって、雷音寺が叫んだ。道場内は一瞬、静まり返り、つぎの瞬間。怒気につつまれた。


「なにぃぃぃぃぃぃ……無礼にもほどがあるぞっ!」


「我らにはまだ七段、八段、師範代の強豪がおわすのだぞ!」 


 道場主はあごをしきりに撫で、ニヤニヤとしていた。やがて、口を開こうとした瞬間、


「大先生が出るまでもありませんよ……この程度のやつ……俺がかたづけます!」


 三白眼をひからせ、松田半九郎が剣尖を雷音寺にむけて、道場の真ん中で宣言した。


 雷音寺が右のこめかみをひくつかせ、ギロリと半九郎を睨みつける。満面が朱に染まり、赤獅子となった。


「この程度のやつ……だとぉぉぉぉぉぉ……抜かしたな若造! まずは貴様を血祭りにあげてやる!!」


「返り討ちがオチだ」


「きさまぁぁぁぁぁ~~~~!!」


 堅物真面目な新九郎にしては、えらく挑発的な物言いだ。前回の黒駒一家との戦いでもそうだったが、きっと、火がつくと好戦的な人格になるのだろう。 


「……やだぁぁ……素敵ですわ……半九郎さま……」


 中西梢がうっとりとした表情で、熱い視線をおくった。隣に座っていた紅羽が呆れて梢を見る。


「う~~ん……たしかに台詞はカッコ良さげだけど、三白眼だから悪役にも見えるなあ……」


「なんですってぇぇぇ~~~~…」


 梢が紅羽の襟首をつかみ、ブンブンと揺らす。


「ぐるじいぃ……梢殿……落ち着いて……」


「紅羽……お主はいつもひとこと多いぞ……」


 竜胆が溜め息をついて額に手をあてる。一方、道場の中心では凄まじい剣気をはなち、二人の男が対峙していた。


「一刀流・松田半九郎だ」


「東軍流・雷音寺獅子丸らいおんじししまるであるっ!」


「ほう……強そうな名前だ……」


「ふふん、強いのは名前だけではないぞ」


「して、本名は?」


「高橋権左右衛門だ」


「……なんだ、俺と同じでありきたりな名前だな……」


「やかましいっ!!!」


「では、第三……いや、第五試合はじめっ!」


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