あとがき
「くノ一妖斬帖」第六部「幽幻!呪われた山の土蜘蛛」を読んでいただいて、ありがとうございます、辻風一です。
今回は江戸の町を離れ、成木(青梅)街道を旅して、青梅宿、氷川宿をめぐり、土隠山に巣食う人喰い妖怪・土蜘蛛と戦う女忍者三人娘の話でございます。
以前、登場した助平で酒好きの山伏忍者・轟竜坊が再登場し、新しく鎌倉の退魔僧が参戦し、さらに道中でも怪事件や怪現象が起こり、一筋縄ではいかない話となっております。
今度の話は、山奥の秘境・祟り山が舞台となっていますが、もともとは、さいきん書店で「山怪」という本が話題になり、読んでみたところ、面白いな、と思ったからです。
昔話にあるような不思議で怖ろしい話が、現代でもマタギや山の町村では現在進行形で残っているのです。
妖怪退治の本書ではうってつけの舞台だと思い、山での怪現象や怪談などを調べたのですが、一部しか使えなかったのが残念です。
また次の機会で使おうと思います。
それから、敵の妖怪に土蜘蛛を選んだのは、もともとストックしてある話にあったのです。
でも、そのあらすじでは、大和王朝に排除された古代民族の怨念が現代(江戸時代)に復活するという、佐々木守氏脚本路線を目指した話でした。
でも、今回は紅羽の新しい霊刀の登場と、活躍回なので、今回はその路線をやめて、「エイリアン」風のモンスターバトル路線にシフトしました。
「エイリアン」といっても、正しくは「エイリアン2」のほうですね。
なので、そのオマージュ的なものが感じられると思います。
そういえば、「エイリアン2」の元ネタであるハインラインの「宇宙の戦士」に出てくる宇宙生物も蜘蛛型だった……
もっとほかにも、洞窟内でフェイスハガーとか、パワーローダーとかやりたかったのですが、さすがに自粛して、知恵をしぼって、今回のようなクライマックスにしました。
実は他にもドマイナーな怪獣映画が二本、元ネタになっているのですが……ここに名前をあげても、誰も知らない……ドン引きされる……と思って、内緒です。
この話を書くため、蜘蛛について調べまくり、にわか蜘蛛博士になりました。あれ、「蜘蛛博士」って、漢字で書くと、江戸川乱歩の少年探偵団みたいな字面ですね……
夜の銀座に人間大の蜘蛛が現れ、高価な時計や宝石を食べて姿を消し、大富豪の屋敷から、令嬢を密室状態から煙のように誘拐するという話です。
そして、事件の背後に妖しい昆虫学者・蜘蛛博士が登場し、実は彼は二十面相の変装だった……という奴。
それはともかく、実は蜘蛛妖怪ネタでもう一つストックがあるのですが、数話くらいおいてからでないと、使えないですね……
そして、執筆中に大変ももうしわけないことに気がつきました。
今作のメインキャラである松田「半」九郎を、松田「新」九郎と間違えていたことに気がついたのです……
読み返してみると、第四章後半から、半九郎と新九郎が混濁し、五章からずっと間違ってしまっていた。
うっかりしたというか、脳味噌がボケはじめたのかもしれんと、恐怖を覚えましたよ……
SF的には記憶改竄の名残りかも……
って、んなわきゃないか……
小説の登場人物が作者の子供であるならば、名前を間違えるなんて、酷い親……ネグレクトだ……反省。
ひどい間違いに3月からず~~~っと、気がつかなかった事をお詫びいたします。
そして、修正作業中に第五章のクライマックスの「赤沼血汐丸」の章が、データが消えたか、アップロードし忘れたか不明ですが、無いことに気がつき、慌てて再アップしました。
前後のつながりがおかしいと思われた方も多いと思います。誠に申し訳ありませんでした……
さて、クライマックス執筆中に京都アニメーションスタジオの痛ましい事件があり、更新を自粛しようと思いました。
でも、内容的に悪意があるわけではないので、更新することにしました。
事件で亡くなった方々の冥福をお祈りし、怪我をされた方々のいっこくも早い回復を願います。
京アニの丁寧な作品作りの姿勢は、クリエイターの鑑です。
なので、当分、残酷なシーンのあるホラーアクションやチャンバラなどの執筆は自粛しようと思います……




