4話
「弥乃の事件を回避しないと!」
恐ろしい全身白光人間は気になるが、しかし大切な友人の死にざまを見せられて、平静を装うほど人間が汚れていない私だったけれど、しかしまだ私は起きたいと思っていない。
部屋に戻って時計を見ると、2時くらいだ。まだ夜は長い。
私のベットに、全身白光人間がいた。
「うわっ! ああぁ、あああああああ!」
ビックリした、だけではない。
全身白光人間の胸の中に、凄惨な事故が何度と再生された。
気が狂いそうになったので、私はすぐに逃げ出す。もう慣れた異物感。そしてパニックな私は良くもわからずヘンな方角へ進む。
『高津弥乃です、一年間よろしくお願いします!』
パチパチパチ
【なんか気に入らないわ、あの娘】
『えっと、祈里ちゃんだよね、わたし、弥乃っていうの』
『え、どうも。何か用?』
『えっと、英語の宿題のプリント、忘れてるよ』
『そう、ありがとう』
【いい娘ぶっちゃって】
なんだ、この記憶。
改悪されている。この過去は私のものではない、いえ――。
初めての夜、私が忘れた事を無かったことは確かに夢と現実で変えたけれど、もう一つ、違った事がある。
それは宿題は忘れてもしょうがない、という事実。有頂天だった私は特に気にかけなかったけれど、それは確かに正しい事実と異なる。
忘れてもしょうがない、つまり持ってくるのはぬかりの無い証拠――。自分が持て囃される口実を作った――? 宿題を忘れない事実と、同時に。
【あの娘と関わるのやめた方がいいわね】
……。
弥乃の事故を消す為に、元あった正しい過去を書き換え、そして“私が弥乃と関わりを絶った”事実を作り出した。
全身白光人間がまた現れた。
【なんか嫌な娘ね】
【クラス変わんないかな】
【うるさい娘ね】
私はすぐに逃げ出す。
悪意を向けられるのは傷つく。しかしそれ以上に、親友を罵倒するなんて、自傷行為も良いとこだ。
『光の色について――』
これは理科の授業の記憶だ。日付は4月22日。
『光の色についてだが、赤色の光の波長は7.7×10のマイナス9乗ナノメートル、青が3.8×10のマイナス9乗ナノメートル』
『その二つの間に、、橙、黄色に緑、紫に藍色、が並んでいる。では、白色はどうだかしっているか?』
『白色は色と色を混ぜてできる。絵具は混ぜると黒になるんだが、光は白がもっとも混とんとした色で、穢れている』
穢れ……。
穢れとは、自分本位でありたいと言う、傲慢。
わかっていたことを、私は自分の身が可愛い為に何度もやっていた。弥乃とのお喋りも、自分の事ばかりだったと思う。
そうか、私がすべきこと。