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小説の一行目

さぁ! 小説を書こう! と鉛筆を持ったときに悩むこと……

 一行目に何を書こう…… 

 今回はそんな悩みに対応する方法をご紹介します。


 『小説の一行目』という小説の一行目だけが抜粋された本があるんですが、今回はこの本を参考にさせてもらいました。

 芥川賞、直木賞を授賞した小説の一行目をお伝えしたいと思います。

 では、まずは一作目。

 

 ぼくは小舟の上で眠りながら、水に落ちた経験が一度ある。

 『螢の河』著、伊藤桂一

 昭和三十六年下半期 直木賞


 どうでしょうか。船の上で寝ながら水に落ちるって……一体どんな寝方をしてたのでしょう? そして、水に落ちてぼくは一体どうなったのでしょう……?

 と、小説の中に引きずり込まれます。

 そしてこの作品は昭和の作品なんですが、意外と読みやすく、近代的な印象を受けますね。

 このように、小説の一行目でかなり印象が決まります。


 二作目。


 びっしりと蔦が絡みついた図書館の壁に沿って、一日じゅう陽のあたらない湿っぽい日かげの帯が続いている。

 『僕って何』著、三田誠広

 昭和五十二年上半期 芥川賞


 一行で情景が詳しく書かれていて、小説の世界がありありと目に浮かびます。このように、情景を詳しく書くと物語の世界が現実味を帯びていきます。

 

 三作目。


 かつての日本の植民地の中でおそらく最も美しい都会であったにちがいない大連を、もう一度みたいかと尋ねられたら、彼は長い間ためらったあとで、首を静かに振るだろう。

 『アカシヤの大連』著、清岡卓行

 昭和四十四年下半期 芥川賞


 一行目にしては少し長いような気もしますね。このようにすっごい長い一行目もあり、すっごい短い一行目もあります。

 長さを工夫するのも小説を書くポイントだったりします。

 ということで、昭和の作品でいいな! と思った一行目を抜粋させてもらいました。平成の作品も心にグッとくる一行目がありますので、もっといろんな一行目に出会いたい! という人は『小説の一行目』という本を読んでみてください!

 小説の一行目だけでも、続きを考えたり…… その一行目のシーンを思い浮かべたり…… 英語に翻訳してみたり…… とたくさんの楽しみ方があるので、お暇な人は一行目で楽しんでください!


 四作目


 私って、いったいいつまで私のまんまなんだろう。

 『対岸の彼女』著、角田光代

 平成十六年下半期 直木賞


 引き込まれる言葉で続きが気になります。

 平成の香りもしますし、『私』という言葉だけを漢字にしたのはなぜでしょうね。


 五作目


 河原の石ひとつにも宇宙の全過程が刻印されている。

 『石の来歴』著、奥泉光

 平成五年下半期 芥川賞

 

 タイトルの通り、石がピックアップされて、今にも石の物語が始まりそうです。

 そして、身近な河原の石にポイントを置くことで、石が地球を取り巻く月のように、とても大切な存在に思えますね。


 さて、例を五つだしましたが、ポイントを絞ると……

・自分の思うように書く

・情景から入る

・小説のタイトルと重ねる


 こんな感じで一行目を考えていくとスラスラ書けるんではないでしょうか。

 他に、太宰治や、夏目漱石の小説の一行も、非常に記憶に残る美しい文章を残しています。


 『人間失格』著、太宰治

 恥の多い生涯をおくってきました。


 『吾輩は猫である』著、夏目漱石

 吾輩は猫である。(名前はまだない。)


 この書き出しは有名ですね。私は、『人間失格』は読んだことあるのですが、『吾輩は猫である』は、小学六年生の時に、手に取り、一気に本の半分ほど目で追い、挫折しました。昔ながらの言葉遣いが多く、読みにくかったです。

 ですが『人間失格』は、中学一年のときに読んだので、まだ読みやすかったです。しかし、重いテーマと哲学的な話の内容についていけず、頭痛と戦いながら読み切りました。

 さて、この二つの小説の冒頭はなぜ有名なのでしょう?

 私は、この二つの小説に共通するところを探してみました。

・言葉、文章が全体的にリズミカル

・筆者が主人公の素直な気持ちを一行目に託している。

・印象に残る

 ……という感じですが、この二つの作品はもっと研究する必要がありますね。

 ここまで読んでくださりありがとうございました。

 


 

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