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プロローグ・1

唐突に思いついたので投下。更新速度は凄い遅い

 「はぁ、またダメか、、、。」


 飾り気のない部屋の中で、学生服を着た青年が封筒の中にある書類を見てうなだれる。その書類にはどこかの造船所の会社の名前が書いており、挨拶もそこそこに『不採用』の文字があった。


 「いつ見てもこの『慎重な審議の結果』が嘘くさいんだよなぁ」


 ここでこの青年を紹介したいと思う。

 名を海道 実 (かいどう みのる)という。18歳の工業高校生だ。家族には共働きの父母、二人の兄をもつ末っ子。ここまではただの高校生だが、、、。


 「どうしてこうも運がないんだろう、、、。」


 そう、彼は、あり得ないくらい運がない。それはもう不運だとか、不憫では語りきれないほど運がない。


 たとえば彼がスーパーに買い物にいこうとする。

 着替えて財布を持ち、靴を履こうとすると紐が切れる。仕方なく別の靴を履き、戸締まりをし出発。そして最初の一歩目を踏み出したときカラスに糞を落とされる。家に戻り体を綺麗にし再度出発使用とすると雨が降る。ゲンナリしながらも傘をさし、スーパーまでの道を歩く。そして交差点に差し掛かったところ、車が突っ込んでくる。なんとか避けるが傘を持って行かれびしょ濡れになる。半泣きになりながらもやっとのおもいでスーパーにたどり着くも、財布が無い。完全に泣きながら来た道を戻り財布を見つけるも中身は空。号泣しながら家に帰るも家の鍵が無くなる。


 そうして玄関の前で号泣しながら親が帰ってくるのを待つ。


 とまあこんな感じで彼は運がない。


 「まぁ、くよくよしてても仕方がない。次の会社探すか!」

 

 実はそう決意し、自室のパソコンを起動して新しい求人が来ていないか調べ始めた。



 翌日実は自身が通う学校の屋上に、自分のクラスの人物といた。ここだけ見れば青春の1ページなのだが例によって実にはそんな青い春は来ない。

 

 ゴスッ


 人間を思いっきり殴れば出るような音が屋上に響く。

 

 「きいたぜ~?お前まだ就職決まってないんだって?」

 「たくよ、俺らがせっっかくこんなに『指導』してんのになにやってんだよ」


 みただけで「あいつらDQN(ドキュン。ここでは不良を指す)です」と言えるような格好をした二人の男子生徒は、殴られその場にうずくまる実をバカにするように話し出す。

 みのるは頬を殴られた痛みでなにも言えない。


 「俺らも暇じゃねーんだよ?『友達』のお前のためを思ってわざわざ協力してんのによ。」


 髪を真っ赤に染めあげた男子生徒がそういいながらうずくまっている実を蹴る。


 「ぐっ、、、」


 蹴られ屋上の端の方へ転がっていく実。そのとき実のポケットから財布が出てくる。なにも今出てこなくてもと、思いながら実は手を伸ばす。

 が、後少しのところでそれを髪を金色に染めたもう一人の男子生徒が拾い上げる。


 「そーだ、授業料とろーぜ!」


 まるで世紀の発明をしたような感じでもう一人に提案する。

 

 「賛成賛成、早速とっちまおうぜ」


 そうして二人は財布から5000円札を抜き取る。だがそこで二人はお金ではない物を見つける。


 「お守り?」


 出てきた物はお守り。販売されているようなものではなく手作りで、表には『合格祈願』とすこし曲がっている文字が見える。これは実の二人の兄が作ってくれたもので中学3年生になったときに貰ったもので、それ以来ずっと財布に入れてあったものだ。


 「うわ、なにこれ」

 「だせぇし、きたねぇ。そんなの捨てちまえよ」


 その言葉をきいて実は、とんでもない!と内心叫ぶ。


 (あれのおかげで勉強もしっかり集中できたし、なにより兄ちゃん達が僕のために作ってくれたものだ!だから)


 あれだけはなんとしても取り戻さなくてはいけない。


 「ああ、こんなの持っててもキモイしな」


 そういってお守りを投げる。


 屋上の『外側』に向かって。


 投げた瞬間実は殴られ蹴られた体に力を入れ、体を起こしお守りに向かって走り出す。そして足に力を込める。その突然の行為に不良二人は驚く。なぜなら実も『外』に投げたお守りにむかって跳んだからだ。

 

 実は空中でお守りをとることに成功したが、体は地球の重力に従って下に落ちてゆく。


 

 そしてすぐ下で、おそらく一生のうちで聞くことがないような、肉と硬い物が思いっきりぶつかる音が、聞こえた。



 地球ではないどこかの小さな村で一つの産声が上がった。


 「奥様、お生まれになりましたよ」


 刻まれた皺がなんとも優しそうに見える5、60の女がベットに横たわる若い女にそう呼びかける。奥様と呼ばれた女は出産時の痛みと子供を産んだ喜びでその少し大きな瞳を潤ませながら微笑む。


 「私の、子供、、、。」


 「はい、男の子です」


 奥様と呼ばれた女は産声をあげている赤ん坊を優しく撫でた。喜びの笑顔をのせて。


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