表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やまたま!  作者: akifly
1/2

プロローグ

これはかつて覇を唱えた最強の男、Kクチにまつわる英雄譚であり―――――悲哀劇である



「Kクチく~ん! おはよう」

道の向かいから挨拶をしてきたのは、名前を和田という同級生


しかし何の変哲もない日曜日の朝、閑静な住宅街で悲劇が起きた

ドンッ!

わ、和田さん・・・?

なんと和田さんは通りすがりの原チャリに轢かれてしまいました。


その日 Kクチはショックが大きく眠ることができませんでした。

でも 眠たかったので 床に就きました。


そして 夢枕に 何とかの神が現れて Kクチにこう言いました。

『やまたま!』

そう言い残して去ろうとしていたので Kクチは慌てて 引き止めました。

「ちょっと待ってくださいまし!」

『なんだ 私の言ったことがわからないのか?』

「 『やまたま!』 だけでは どういうことなのかわかりません!」

Kクチとしては当たり前のことを言ったつもりだ。しかし神は

『仕方ない奴だな まったく……

いいか、よく聞け。 同じことを何度も言わせるなよ?』

神が言うには その昔 島根には 『ヤマタノオロチ』という魔物が巣食っていました。

ヤマタノオロチのおかげで 島根は壊滅寸前でした。


島根もここまでか…


誰もがそう思ったとき 一筋の光りと共に2柱の神が現れました。

『スサオノ』と『スソノオ』でした。

この2柱が死闘の末ヤマタノオロチを退治しました。

ところが ヤマタノオロチの力は あまりに強大で完全に退治することはできませんでした。

そこで 2柱の神はヤマタノオロチの8つの頭を 珠にして封印しました。

珠に封印されてなお その穢れは 衰えることを知らず、

そのまま 天界に持って帰るわけにはいきませんでした。

そこで 2柱が考えた末 この世で腕の立つ拳法家に託すことにしました。

蛇狐流

拳黄流

麦麺流

透過流

野焼流

時現流

髪留流

裾流

8つの流派――8珠は当代の頭首たちに託されました。

そしていつしか この8つの珠を『やまたま!』と呼ぶようになりました。

『と、いうことだ』

わかったか と神はKクチに問いた


「知ってるよ! 僕だって 次期『裾流』の頭首なんだから」

そうこのKクチこそ8大流派が一つ、裾流の次期頭首なのだ


『そう! だからだ。 だからお前のところへ来た!』

「どういうこと?」

『やまたま!を集めてヤマタノオロチを復活させようとしている人間がいる』


!?


「それってやばいんじゃ…?」


『そう、やばいんだよ…… だから次期裾流の頭首

君にそいつよりも早く 『やまたま!』を集めて欲しいのだよ。『スソノオ』の子孫である君にな』

「な、なんで僕なんだよ!

僕はまだ頭首じゃないし、それに実力からいっても現頭首の父さんのほうが適していると思うんだけど……?」

『お前には強い 才能を感じる!

強いなんてのは控えめな表現だ。 君なら途方もない 『裾使い』になれる!

なぜなら才能を感じるからだ!』

神は大事なことだから二度言った


『Kクチ。君の力があればもしかしたら神にもなれるかもしれない』

「そんな力が僕に…?ハハハ、そんなわけないよ。」

『って 1回言ってみたかっただけで、

ホントは お父さん仕事で忙しいでしょ? 

君もうすぐ春休みじゃん?どうせ することないんだろ?

だったら少しくらい手伝えよ、この穀潰し』


いきなり本性を現した悪魔に対してKクチは落胆を隠せない

誰にも――褒められたことのない人生だった、期待などされたことのない人生だった

次期頭首になったのだって父さんの息子だからってだけ

だから才能があるといわれてつい舞い上がってしまった


世界は無常だ

弱肉強食、自然界での絶対法則は人間界とて同じこと

強者は必ず弱者の上に立つ

そう、俺は強者の幻影を纏った弱者でしかなかったのだ


あぁ世界は無常だ


Kクチの夢だからかKクチの背後には虚空の闇が広がりなぜかザザーンと波の音まで聞こえる


『あぁそうだ、集めてくれたら 願い事を一つ叶えてやるよ

どうだ やる気になったか?どうやら彼女が死んで悲しんでるようだしな。プップー』


和田さんを生き返させられる!!


絶望のの淵にいたKクチに希望が湧いたとたん

夢の世界は白く輝き天空から天使が舞い降り、そして足元には茶と白の死にかけの犬がいた


なんだか取り返しのつかないことになりそうだったので

天使は追い返し、犬は教会の外に放り出した


再びKクチは神に向く

「ホントか!? 本当に和田さんを助けてくれるのか!?」

『任せなさい!私は神ですよ?』


「でも8つなら 八流派全部見て回ってくればいいんじゃないの?」

そう、神が直接八流派の元に向かえばこんな面倒くさいことをしなくても済む

『そう思って見てきたんだけど時間が経ち過ぎたせいで見当もつかなくてな…』

「それで神の子孫である 裾流に?」

『そういうことだ。』

「聞いてはいたけど ウチが本当に神様の末裔だったなんて…

母さんなんて父さんの言うことを妄言だと思って泣きながら精神科の先生に縋りついていたのに…」

『あ、そうそう 実は髪留流も神の末裔なんだよ。

だから 今 髪留流のところにもお願いにいってるとこなんだよ。

だから君と髪留流の者に珠集めをしてほしいんだ』


「へぇ 髪留流も神の末裔だったのか・・・」

『そういうことだから、やってくれるか?』

「よし!やるよ! やらせて!絶対に和田さんを救ってみせる!」

『うむ。よい 心掛けじゃ』


こうしてKクチの物語は始まる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ