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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉
第1章
79/117

79話 決して恋愛小説で言ってはいけないパワーワード

※若干お下劣な会話が出てきてしまいます。

苦手な方は“ラーメンをすするシーン”まででストップ推奨です。

(でも、たぶんここからが本番です)

全ては……結城が……結城が戦犯です。



「へえ、券売機で購入してから中入るんだ。」


珍しそうに眺める結城


「味玉いる??あたしは付ける。あと結城さん、替え玉いるでしょ?足りないよね、結構食べるし」


長年連れ添った夫婦のような会話。

これで親友とか言ってるんだから様子がおかしい。


「うん。足りないと思う、替え玉ほしい。あと味玉食べたい」


「おつけー。」


手馴れた手つきで購入していく澪桜

そして電子掲示板で空席を確認し、店内に入る。


黒い壁に囲まれた縦長の異様な空間。

狭い通路を通り、2階1番奥の突き当たりの空いている席に向かう。


「今日はラッキーだね!1番奥だからゆっくり食べられる」


そう言って席に座る澪桜。

結城はびっくりする


「……席と席の間に仕切りがある……これじゃふたりで食べに来てる意味が無い……」


何故かとても悲しそう。

澪桜は笑った


「大丈夫だって、ちょっと待ってて」


下のストッパーを外す。すると仕切りが無くなった


「わぁ!安達さんすごい」


子供みたいに喜ぶ結城。

すごく可愛い。

目を細め澪桜は優しく注文の仕方を教える


「この紙にね、好みを書いていくんだよ。結城さんはとんこつラーメン初めてだから、味の濃さは普通か、うす味がいいよ。それからスープはあっさりがいいと思うよ。ニンニクとかあとのオプションはお好みでね」


その優しさが嬉しい結城は甘えたように返す


「ありがと。優しいね安達さんは」


澪桜はその仕草と表情にびっくりして自分の注文書の方に向き直る

アセアセと取り繕った


「はっ……早く注文しないとね!ほら、結城さんも書かなきゃだよ!私はニンニク入れるー!」


クスッと笑いながら結城も書き始めた


「安達さんが入れるなら俺も入ーれよ。」


澪桜はこってり、にんにく普通、超かた


「……超かたにするの?なんで?俺もそうした方がいいかなぁ?」


「超かたはプチプチした食感で美味しいよ。まあ、あたしは猫舌だから、麺が増えていくのを計算して仕方なく超かたなんだよ。地元で食べる時も必ずハリガネで食べてた。」


「ハリガネ?」


「超かたと同じかな?言い方が違うんだよ。上から2番目の固さ」


「1番上はなんて言うの?」


「粉落とし」


「安達さん……すごい!!!プロだ!ラーメンのプロだ!!!」


「ふふん!ちなみに1番柔らかいのをずんだれと言う」


「おおおおおおお!」


パチパチと手を叩いて結城に称賛された。何故か鼻高々の澪桜は胸を張っている。全く要らない知識。

無駄にも程がある


結城も超かたを選ぶ

秘伝たれの項目で手が止まった

「これはねー。私は苦手なんだけど、辛い人がすきであろうなんかコチュジャンみたいなやつ。乗せるか乗せないかはあなた次第です。」


都市伝説か何かか。


「俺も辛いの苦手だからやめとこ〜」


そう言って注文書を店員にまとめて渡した


程なくしてラーメンが来る

独特だが食欲を唆る匂い


結城は喉を鳴らす


「う……美味そう。」


割り箸をパキッと割る

すると澪桜がニコニコしながら結城の方を向く


熱さをものともせずに口に運びちゅるちゅると麺を啜っていく姿がなぜか上品に見える

軽く噛んでプチプチ食感と風味を味わいながら飲み込んだ


「どう??」


「……やば。なんで俺今まで食べなかったんだろう」


その台詞が全てを物語っていた。

澪桜は満足そうに自分のラーメンを見つめる

そして器を結城に差し出した


「こっちも食べてみる?私のは味普通で、こってり。美味しいよ?」


ドキッとする結城。

もう、自分の箸は口を付けたあと


「え……でも。いいの?」


「いいよ!食べてみ食べてみ!」


ドキドキしながら結城は箸を付ける


「……じゃあ、貰うね?」


そして食べてみるこってり。

舌に絡みつく濃厚なスープと麺。

自分のとは違う美味さ。


「どう??」


「うわっ美味っ!……次は俺こっちにする。気分で選べるのめっちゃいい!!」


ふふふーと満足そうな澪桜はやっと食べ始めた

結城は自分の器を澪桜に向ける


「あっさりもイケるよ。食べてみる?」


「あっさりか!食べたことないなぁ。……じゃあ遠慮なく」


そう言って近づく

ツルツルと7~8本程の麺を器用に食べる。

それが堪らなく……色っぽい。


至近距離の彼女に耐えられなくて思わず顔を赤くした


「……ど……どう?」


「これはこれで……美味!!!私次はこれにするかも!おーいしー!」


楽しそうな澪桜

当たり前のように間接キスをするふたり。


俺はドキドキしっぱなしでヤバいんだけど

安達さんはどうなのかな。

全く意識してないのかな。


そんなふうに思う。


「俺の食べかけ食べて……嫌じゃないの?」


ついポロッと本音が出てしまった

ハッとする結城


「別に嫌じゃないよ。……ってごめん、今の完全に無意識だった。結城さんが嫌だったかい?」


澪桜は眉を下げた


「そんな訳ない!!!って……あれ?安達さん、食べてる?」


澪桜のラーメンを見ると……さっきから全く減ってない……ように見える。


「食べてるさ!!!ほら!!」


また7~8本を箸で掴んで持ち上げ軽く宙にかかげて……食べる。

変な食べ方。


結城の方は既に替え玉に行ってる。


「なんでそんな面倒臭い食べ方してるの?」


「麺を噛み切りたくないんだよ。そして口に入り切れる上限がこのくらいの量なんだ!1度麺を全部出さないと……熱いから出してるの!」


理にかなってる。

理にかなってるけど変。


そしてしばらくして結城は食べ終わる。

大満足の結城。

スープまで全て飲み干してしまった。


「あああ。美味かった。こんなに美味しいなんて。

これからは豚骨ラーメン一択かもしれない俺。」


そんなことをいいながらチラッと澪桜を見た。

まだ必死で食べている。……それがまた可愛い。


肘をつき澪桜を見つめる。

あと3分の2ほど残っている。


「ちょっと待ってね!早く食べるから」


「ゆっくりでいいよ。別に焦らなくていい」


目を細め愛おしそうに眺めていた

そのせいで澪桜は余計に焦る


「こ……こっち見るな!!!」


「ごめん、それは無理」


あっさり断られる

意味がわからない


「なんでだぁぁぁ!!そんなガン見されたら食べにくいんだよ!顎も疲れてきたし!」


「てか、なんで麺噛み切りたくないの?噛んだらもっと食べれるでしょうに。」


「こ……ここでは言わない。」


「何でだよ。理由言ってよ?気になるじゃん」


「店内で……しかも結城さんにそんな話……したくない!」


「余計に気になるし、そんなん言われたら。……いいから、ほら耳打ちならできるでしょ?はい。」


そう言って耳を貸す

澪桜は仕方なく手で結城の耳を囲い消え入りそうな小さな声でコショコショ言う


「……噛み切ると歯ク〇が付く!自分の歯ク〇の付いた麺なんか食いたくないからだよ!私は薄ら潔癖なんだ。自分が汚く思えて許せない……こんなとこで言わせるなよ!!(超小声)」


水を飲んでいた結城は思わず吹き出しそうになった。

想像の斜め左過ぎて。


澪桜は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。


「ぶほぉ!!!っゲホッゲホッ!!!あだ……安達さん!!それはダメだ!女の子がそんな事言ったらダメだ!!」


おしぼりで口を拭きながらブンブン首を振る

何かがツボに入った結城は腹を抱えて笑いながら澪桜を窘める


「だから言わないって言ったのに!!!無理矢理結城さんが聞くからだろ!?」


澪桜は理不尽だ!!と言い返した

確かにその通り。


「……そりゃそうだけど、そんな返事が返ってくると思わなかったんだから仕方ないでしょ!?それに何その薄ら潔癖って。初めて聞いたんだけど」


「潔癖症は人の汚いのが許せないんでしょ?あたしはその逆。自分が汚い気がしてなんか許せないんだよ」


「分かるような……分からないような。てか安達さん、全く汚くないし。」


「汚いよ!私はお汚れ様だよ!あ、ちなみに結城さんは石鹸様だね!」


「なんだその嫌な神様は!そして俺を石鹸扱いすんなってば!!!」


二乱の中でもしょうもない会話を繰り広げるふたり。

だがラーメン自体は大満足。

澪桜は豚骨欲を満たされ

結城は2度目の間接キスと初豚骨に感動した。


思惑はそれぞれ違うが最後に残ったのは


澪桜の口から出た歯ク〇というパワーワードだけだった。


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